(上)生田斗真、(下)ウエンツ瑛士/撮影:宮川舞子(提供写真)

生田斗真主演舞台、延期経てついに開幕 “盟友”ウエンツ瑛士がヒロイン役に<てなもんや三文オペラ>

2022.06.11 18:00

俳優の生田斗真が主演を務める、作・演出・鄭義信のパルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』が開幕した。

  

生田斗真主演舞台「てなもんや三文オペラ」コロナ延期経て開幕

(左から)平田敦子、ウエンツ瑛士/撮影:宮川舞子(提供写真)
本作の原作となる「三文オペラ」は、1928年に初演された、差別と貧困・資本主義社会を痛烈に風刺した音楽劇の名作。これまでも様々な演出家・キャストによって上演されてきた「三文オペラ」だが、鄭が選んだ今作の設定は、1950年代の大阪。原作の舞台・ロンドンの貧民街は、第二次世界大戦で破壊された大阪砲兵工廠(現在の大阪城公園・森ノ宮地域にあった大規模な兵器工場)の跡地に置き換えられる。その名も「てなもんや三文オペラ」。“戦後”をかけぬける、アウトローたちのパワーと、“生きる”ことへの貪欲さ。“戦争”を背負いながらも、逞しく生き抜いてきた当時の人間模様を重ね合わせる。

渡辺いっけい、福田転球/撮影:宮川舞子(提供写真)
主人公である盗賊団のボス、マック(通称:マック・ザ・ナイフ)を演じる生田をとりまく、個性あふれるキャラクターの濃いオールキャストが勢揃い。生田と対立関係にある「乞食の友商事」社長・ピーチャム役には、凶悪で狡猾な役柄からお人よしで生真面目な役まであらゆる役柄をこなすベテラン・渡辺いっけいと、その妻・シーリア役には、映画「焼肉ドラゴン」や舞台「パーマ屋スミレ」でも鄭作品への参加経験があり、第20回読売演劇大賞優秀女優賞も受賞している根岸季衣。

福井晶一/撮影:宮川舞子(提供写真)
実はマックの古くからの盟友でありながら、ピーチャムに脅され、マックを逮捕しようとする警察署長のブラウン役には、こちらも硬軟自在に舞台・映像で活躍する福田転球。マックの昔なじみでありながら、ピーチャムにそそのかされてマックを裏切る”娼婦”のジェニーに、「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役が印象深いミュージカル俳優の福井晶一、ブラウンの娘でマックの子を身ごもっているルーシー役には、一度観たら忘れられないインパクトで、幅広く活躍中の平田敦子など、実力派個性派のベテラン俳優たちのにぎにぎしい競演に注目だ。

(左から)ウエンツ瑛士、根岸季衣、渡辺いっけい/撮影:宮川舞子(提供写真)
そして生田のお相手 “ヒロイン役”は舞台初共演となるウエンツ瑛士。原作版では女優が演じる役で、結婚式・ラブシーンも…。独自の世界観で人間模様を描き出し見事な手腕を発揮する鄭義信が、今回の「てなもんや三文オペラ」でも、舞台を昭和30年代の大阪に移し大胆な翻案を試みる。中でも特筆すべきなのが、原作では、ピーチャムの一人娘・ポリーという女優が演じる役を、一人息子・ポールという役に置き換えたこと。

そのポール役を映画、舞台、テレビドラマ主演など、本格的な俳優のキャリアを持つウエンツが務め、生田演じるマックと対立する「乞食の友商事」の社長・ピーチャムの息子で、マックの恋人であり、結婚までするポールを、生田とは「天才てれびくん」以来の朋友のウエンツがどう演じるか注目だ。(modelpress編集部)

ストーリー

1956年(昭和31年)、秋、早朝。猫間川沿いの川岸には、トタン屋根のバラックが肩寄せあっている。

その目と鼻の先、川向うに、「大阪砲兵工廠」跡地が見える。かつて、そこはアジア最大の軍事工場だったが、アメリカ軍の空爆で、廃墟と化した。数年前に勃発した朝鮮戦争の「朝鮮特需」で、鉄の値段がはねあがると、「大阪砲兵工廠」跡地に眠る莫大な屑鉄をねらって、有象無象の人々がつぎつぎと集まってきた。彼らは、いくら危険だろうが、いくら立ち入り禁止の国家財産だろうが、おかまいなし。目の前のお宝を、指をくわえて見ている阿呆はいない。夜な夜な、猫間川を越え、環状線の鉄橋を越え、時に、弁天橋の警備員詰所を正面突破して、屑鉄を掘り起こした。そんな彼らを、世間の人たちは「アパッチ族」と呼び、彼らの住む場所を「アパッチ部落」と呼んだ―――。

「アパッチ族」の親分・マック(生田斗真)は、屑鉄のみならず、さまざまなものを盗んで盗賊団を組織していた。恋人のポール(ウエンツ)との結婚式を挙げるマックのことを、うとましく思う「乞食の友商事」の社長ピーチャム(渡辺いっけい)と妻のシーリア(根岸季衣)は、警察署長タイガー・ブラウン(福田転球)を脅し、なんとかマックを逮捕させようとするが…。マックの昔なじみの娼婦ジェニー(福井晶一)と、ブラウンの娘ルーシー(平田敦子)をも巻き込み、事態は思わぬ方向へとすすむ…。

コメント

・生田斗真(マック・ザ・ナイフ役)

本来であれば6月8日に幕を開ける予定でしたが、それが叶わず、楽しみにしてくださっていた皆さんに大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。本日、ようやく開幕する事ができます。東京だけでなく、様々な土地にお邪魔する公演ですので、多くの方々に喜んでいただきたいと思います。笑って、泣いて、また笑って劇場で素敵な時間を一緒に過ごしましょう。

・ウエンツ瑛士(ポール役)

この度、子供の頃からの友人(幼馴染と言っても過言ではない)の生田斗真の恋人役を演じます。舞台上で言葉を交わす時、ふっと昔が蘇る瞬間があるのは、いかに当時強いインパクトがあったかと思い出されます。しかし、彼とお芝居をするまではそんな事は全く忘れていました。

この作品は戦後のお話です。作中では輝かしい未来に向かって思いを馳せる。今、僕らは現実にその未来にいる。人間には「忘れる」という素晴らしい能力があり、そのお陰で生きていける。そしてそのお陰で同じ過ちを犯す。鄭さんの元で、大好きなキャストの方々とお客様の前に立てる喜びを噛みしめながら精一杯努めたいと思います。

・渡辺いっけい(ピーチャム役)

踊ります。歌います。叫びます。「三文オペラ」を知らないあなたも知っているあなたも寄ってらっしゃい観てらっしゃい!決して損はさせません。斗真君演じる主人公マックは只の女ったらしの泥棒なのか?はたまたヒーローなのか?どうぞあなたの目で確かめて下さい。どこまでも猥雑でどこまでも汗臭くどこまでも真っ直ぐな我らが「てなもんや三文オペラ」…いよいよ開幕です!スタッフキャスト一同、劇場にてお待ち申し上げております。ひらに、ひらに。渡辺いっけい

・鄭義信(作・演出)

正直、もうドキドキです。誰もが知る「三文オペラ」—大きな一枚岩のような芝居に、穴をうがこうと、キャスト、スタッフと今日まであがいてきました。それがどう評価されるのか…この作品が観客の皆さまの胸に届きますよう、切に切に願っています。
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