木村拓哉(C)フジテレビ

木村拓哉、三浦翔平らと本気のぶつかり合い「全員のギアが入った瞬間」を語る<教場>

2019.12.23 12:00

2020年1月4日(土)・5日(日)放送のフジテレビ開局60周年特別企画のスペシャルドラマ『教場』(きょうじょう)で主演を務める木村拓哉。これまで見せたことのない白髪ビジュアルで挑むのは、冷徹無比な警察学校のカリスマ教官役。インタビューでは本作に込めた思いや若手キャストたちと作り上げた熱い現場の様子などを語った。

  

木村拓哉、冷徹なカリスマ教官役への並々ならぬ思い

ベストセラーとなった長岡弘樹の『教場』(小学館)シリーズを原作としたエンターテインメント・ミステリーであり、警察学校が抱えるリアリティーを描ききる衝撃の問題作。トラブルに見舞われた生徒へ非情に退校届を突きつける冷徹な教官・風間公親を演じる木村は、クラインクイン前から警察学校へ視察に訪れ、生徒役のキャストと厳しい訓練を重ねるなど、並々ならぬ思いで本作と向き合い、木村ならではの“風間像”を作り上げていった。

― 実際の警察学校を訪れた際、木村さんの目にどのように映りましたか?

木村:僕はほんの欠片しか感じていないのですが、生徒のみなさん各々にモチベーションがあって、そこで時間を過ごして警察官になっていくんだなと。そのリアルな空気を感じられたからこそ作品の中で生み出せたものもあったと思います。生徒のみなさんにとって、警察学校での1つのクラスが、人生を通じて特別な存在になっているんだろうなと思うと、その関係性を生み出す学校って何なんだろうと感じていました。小学校、中学校、高校といった学び舎とは全く違うものを備えている学び舎なんだろうなと。

撮影現場に存在した役者たちの“教場”

― そこから現場に入って撮影を進めていく中で、どのようなことを感じていましたか?

木村:原作に出てくる教場は生徒を“ふるいにかける場”なので、現在の警察学校とは大きく違うものになっていると思います。強烈な世界観の原作を、「モラハラ」「パワハラ」が叫ばれるこの時代に映像化するのは、僕だけでなく出演者全員、監督はじめスタッフも“筋力”のようなものがいったと思うのですが、僕自身はその誤差をすごく楽しめました。

そしてカメラの前に立つ全員が、フィクションとはいえ、如何にノンフィクションのように立っていられるかということを試される。『教場』とは別の教場が現場には存在していました。真剣に取り組んだからこそ、そういった部分も楽しく感じられたのかもしれないです。

― 生徒に対して冷徹な風間。彼をどのように捉えて演じられましたか?

木村:風間は元々現場で働いていた刑事だったので、彼なりの正義があると思います。だけど彼の幸せってなんだろう?というのは撮影中も、原作を読んだ時も感じていまし。特に撮影する時はその答えをすごく探していましたね。でも、この瞬間なんだろうなという部分はあったので、救われたなと。自分の幸せのために生きている人ではなく、すごく重いものを背負った人なんだと思います。

― 木村さんは風間のどんな部分に魅力を感じましたか?

木村:自分もこうできたらいいなと思うのは、絶対に逃げないところ。逃げられない立場にいるとは思うんですけど、決して逃げない人だなと思います。

フジテレビ開局60周年特別企画スペシャルドラマ『教場』(C)フジテレビ

木村拓哉、三浦翔平・大島優子らと本気のぶつかり合い「全員のギアが入った瞬間」

― 生徒役には、川口春奈さんや、林遣都さん、西畑大吾さん(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、大島優子さん、三浦翔平さんなど、豪華キャストが集結しています。生徒役のみなさんとの印象的なエピソードはありますか?

木村:(はなし始めたら)夜になりますよ(笑)?現場では、カメラの前に立つ前の、“どこにも伝わることがないであろう教場”がありました。最初はみんな警察学校の制服のコスプレのようなゼロの状態から始まりました。風間役をやる自分としてその現場に行ったんですけど、はじめはこう言われたらこう動けばいいんだっていう振り付けをみんなにしたような感じです。今まで一度もやったことのない動きや姿勢、使ったことのない筋肉を「はい、こうして下さい」って。

そんな会を3回くらいやった時、三浦翔平が、役柄を担う人たちで一度パーソナルな時間を作りませんかと提案してくれました。それでみんなで集まったんですけど、各々感じていたことや、思うところがあったらしく、彼らから「どうですか?」と聞かれたんです。なので僕は「どうですか?じゃなくて、カメラの前に立つ状態が10だとしたら、逆に今いくつだと思う?」と。そうすると、「2ですかね」って。続けてみんなに聞いていったら、「2もいっていないと思う」と声が上がったので、「じゃあ今日中に5まで上げようよ」っていう話をしましたね。

― 現場でも教官のように?

木村:風間のようにではなく、現場では木村として立っていました。でもみんなが訓練する場に立ち会うなら、自分もしっかり風間公親の状態になっているべきだなと思って、ビジュアルも風間に非常に近い状態で現場に入るようにしていました。そうしたら、待ち時間に背もたれを使う人が誰1人いなくなって、かわいそうだったんですけど(笑)。

― 風間のビジュアルで訓練を見守られて、みなさん背筋が伸びたのでしょうね。

木村:そこから撮影当日に向けて全員のギアが入ったように感じました。1シーン終わって「帰っていいよ」となっても、誰も帰らず、「すみません、付き合って頂いていいですか?」と言うので、「いいよ」と号令をかけて。これは、“工藤阿須加だから”、“大島優子だから”、“三浦翔平だから”、ということではなく、全員がそんな姿勢でしたね。現場の熱量はすごいものがありました。生徒の間にそれぞれ「もっとやれよ!」という思いがどんどん生まれてくる。もちろん相手を思うことができる大人なので無駄な衝突のようなものはないですけど、自分というものを表現しつつ、全員が自分以外の全員を感じているようで、とても素敵な現場でした。

“人生を通じて繋がっている存在”ドラマ「教場」を経て感じた思い

― 『教場』で描かれている警察学校の厳しい規律について「ここまでやるのか」と驚いた設定はありますか?

木村:「ここまでやるのか」というのはないかな、それが警察学校なので。訓練にしても、たとえば一人だけできなかったことでも連帯責任になる。その瞬間は「ここまでやるのか」と感じることもあると思いますけど、その一人が全員に対して抱く想いがある。逆に全員が、その一人に対して抱く想いもある。みんなが自分以外の全ての人を感じながらクオリティをあげていく、全員にアンテナを張っているという関係性が、「人生を通じてあいつとはまだ連絡取り合っちゃうんだよな」というような深い関係性や絆に最終的につながっていくんだろうなと思います。

若い役者たちとまっすぐに向き合い、本当の生徒と教官のように真剣にぶつかりあった木村。その現場の熱量は、画面越しから確かに伝わってくるものがあるはずだ。木村拓哉の2020年の幕開けを彩るドラマ「教場」は1月4日(土)・5日(日)よる9時より2夜連続で放送。(modelpress編集部)

木村拓哉(きむら・たくや)プロフィール

1972年11月13日生まれ。東京都出身。1987年、ジャニーズ事務所に入所。近年の出演作はドラマ「アイムホーム」(2015年系、テレビ朝日)、「A LIFE~愛しき人~」(2017年、TBS系)、「BG~身辺警護人~」(2018年 、テレビ朝日系)、「グランメゾン東京」(2019年、TBS系)映画『無限の住人』(2017年)、映画『検察側の罪人』(2018年)、『マスカレード・ホテル』(2019年)など。2020年は1月8日にオリジナルアルバム「Go with the Flow」をリリースし、キャリア初となる東京大阪ライブツアーを開催する。
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