東出昌大「震えました」大役に挑戦 宮沢氷魚・上杉柊平ら若手俳優も抜てき<豊饒の海>
2018.06.27 07:00
views
俳優の東出昌大を主演に迎え、三島由紀夫の「豊饒の海」を舞台化することが決定した。
三島由紀夫「豊饒の海」を舞台化
「豊饒の海」は第一部「春の雪」、第二部「奔馬」、第三部「暁の寺」、第四部「天人五衰」の全四作からなる長編小説。全四作を一つの舞台作品として創作。前代未聞の意欲作で、執筆に約6年の歳月を費やした。三島はこの小説を書き上げた1970年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地にて、割腹自殺を遂げた。その自決するまでの時間を費やした「豊饒の海」は、三島由紀夫が目指した「究極の小説」ともいえる。四冊からなる大河小説を一舞台作品として創作する史上初の試み。脚本は、てがみ座主宰であり今、最も注目をあつめている作家、長田育恵。演出はロンドンのオールドヴィック・シアターのアソシエイト・ディレクターで、ロンドンのネクストジェネレーションのトップを走るマックス・ウェブスターが2015年「メアリー・ステュアート(中谷美紀 神野三鈴主演)」以来、3年ぶりに日本で演出、世界のMISHIMAに挑む。
第一部から第四部、それぞれが小説として完結しているが、この四作を通して、通奏低音のごとく響くのは、「輪廻」という言葉。第一部「春の雪」で、「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」ということばを残し、20歳で生命を落とした男・松枝清顕。そして彼の影に取り憑かれた男 本多繁邦。本多の人生に松ケ枝清顕の生まれ変わりとして登場する三つの黒子の人々。四作を通して、夢と転生を描く壮大な物語だが、「清顕」を追い求めた本多にとって、彼の存在はなにを象徴していたのか、そしてなぜそこまで清顕に執着したのか。
今回の舞台化は、清顕という美に憧れ続け、取り残されてしまった人間・本多繁邦を軸に三島が最後に描いたこの「豊饒の海」という世界を、今を生きている我々の人生という「普遍」の世界に投じていく。
東出昌大「震えました」3年ぶりの挑戦
主演の東出は、本多が生涯執着することになる松枝清顕という「美」を象徴する大役に挑戦。2015年の初舞台となった「夜想曲集」以来、3年ぶり二度目の舞台出演。「思春期より三島由紀夫の虜になり、その作品の多くを読んできた私は、『豊饒の海』の舞台化を聞き震えました。役者になって最大の試練になると思います。持てる全てを注ぎ込みます。三島世界の再現を、楽しみに待っていて下さい」とコメントを寄せた。
宮沢氷魚、上杉柊平ら若手俳優も抜てき
また、清顕の影を追い続ける男・本多繁邦を本作では青年時代、中年時代、老齢時代と3人の俳優が演じる。老齢の本多繁邦にはピーター・ブルック、マーティン・スコセッシなど海外の名だたる演出家、映画監督の作品に出演、その唯一無二の存在感を常に作品の中で放つ笈田ヨシが久しぶりに日本の舞台に立つ。
中年時代の本多には、バレエダンサーとしての華々しいキャリアに留まらず、その表現手段を「言葉」の世界へも拡げている首藤康之、若年時代の本多には唐十郎を父に持ち、父親譲りの大胆さと本人の持つ繊細な演技に期待値があがる若手俳優大鶴佐助が演じる。
そして、三つの黒子を持つ清顕の生まれ変わりとして登場するのは、今年7月マームとジプシーの新作「BOAT」初主演 初舞台を踏む宮沢氷魚、今春行定勲監督『リバーズエッジ』で存在感とエッジのきいた演技でその存在感を観客に深く刻み込んだ期待のホープ上杉柊平ら、次世代を担う若手俳優を抜てき。さらに、神野三鈴、初音映莉子と実力派女優がMISHIMAの世界を共に創りあげる。
なお、本作は2018年11月~上演。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】