広瀬すず/「anone」第1話より(C)日本テレビ

広瀬すずが魅せる新しい顔 坂元裕二脚本「anone」で真骨頂

2018.01.10 09:30

女優の広瀬すずが主演する日本テレビ系新ドラマ『anone』(毎週水曜よる10時~)が10日よりスタートする。青春物語のヒロインを数多く演じてきた広瀬だが、今作ではキラキラ感一切なし。孤独や深い闇を感じさせる鋭い眼差しで“生きるとは何か”を訴えかける。

  
社会派ドラマ「Mother」(松雪泰子主演/2010年)、「Woman」(満島ひかり主演/2013年)に続く日本テレビ、坂元裕二氏オリジナル脚本の第三弾となる今作。家族を失い社会からもはぐれてしまい、生きる方法さえ見失ってしまった少女が、一人の老齢の女と出会い、真実の人間愛を見つけていく様を描き出す。

共演には「Mother」、「Woman」にも出演した田中裕子をはじめ、瑛太、小林聡美、阿部サダヲら実力派俳優が揃う。

今までにない広瀬すずの顔

広瀬すず/「anone」第1話より(C)日本テレビ
広瀬にとってこれが10代最後の連ドラ主演作。もともと坂本作品のファンということもあり、次屋尚プロデューサー曰く、撮影当初はかなり気負っていたというが、「作品の中心人物に自分がなれるかどうか、不安がっていましたが『そのままの広瀬すずでいい。10代最後だから、あなたが持っているすべての魅力をもらうよ』と伝えると、徐々に慣れていって、大御所俳優に囲まれながら、本を読み込んで読み込んで、一生懸命頑張ってくれています」と、ひたむきに役に向き合っているよう。広瀬自身の気迫や覚悟のようなものが作品にも滲んでいる。

“私を守ってくれたのは、ニセモノだけだった”

広瀬すず、田中裕子/「anone」第1話より(C)日本テレビ
物語は通称“ハズレ”こと辻沢ハリカ(広瀬)が、老齢の女と出会うところからスタート。ハリカは清掃のアルバイトをしながら同年代の美空(北村優衣)と有紗(碓井玲菜)と共にネットカフェに寝泊まりしている少女。スマホのチャットゲームの中でだけ会える闘病中の“カノン”さん(清水尋也)と日々の他愛ない会話を交わすのが楽しみ。

一方、林田亜乃音(田中裕子)はその日、自宅1階の廃業した印刷工場の床下で、大量の1万円札の束を見つける。

ある日、友人とのドライブ中に札束の入ったバッグが捨てられているのを見たという有紗の記憶を頼りに、 ハリカたちは「柘」という町を目指すことに。「つげ」は、かつてハリカが祖母(倍賞美津子)と暮らした 幸せな記憶のある町の名前だった。

阿部サダヲ、小林聡美/「anone」第1話より(C)日本テレビ
一方、医者から半年の余命宣告を受け店を畳もうとしていたカレー屋店主・持本舵(阿部サダヲ)は、客・青羽るい子(小林聡美)と意気投合し、2人で死に場所を探す旅に出ていた。カレー屋のワゴンで2人が流れ着いたのは柘という町。捨てられた大金がきっかけとなって、出会うはずのない人たちの運命の糸が引かれようとしていた。

田中裕子/「anone」第1話より(C)日本テレビ
欺かれ、裏切られ、人を信じる心さえなくしてしまっていたハリカと亜乃音。やがて何かを感じあい、一緒に暮らすようになる。ニセモノの家族、ニセモノの人生、ニセモノの記憶。そしてある事件により物語は大きく動いていく。――私を守ってくれたのは、ニセモノだけだった。

坂本ワールド真骨頂―台詞回しだけでなく“物語性”にあり

広瀬すず/「anone」第1話より(C)日本テレビ
『Mother』、『Woman』のほか、『カルテット』(TBS系)、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)など、芯をつくような心に響く台詞が坂本作品の魅力の一つ。今回もはっとさせられる言葉が散りばめられているのだが、着目すべきはそのストーリー性。残酷なほど重く浮き彫りになるリアリティ、どう転がっていくのかわからないサスペンス要素、“ニセモノ”を象徴するファンタジー感、くすりとできるコメディリリーフ…とさまざまな要素が凝縮され、「生きるとは?」という大きなテーマを視聴者に突きつける。

広瀬すず/「anone」第1話より(C)日本テレビ
それは次屋プロデューサーも意図していたところで、「坂元さんには物語性を重視してもらっています。ちゃんとした作品性を問うドラマを届けたい。視聴率を獲るためだけの仕事はしたくない。こういった作品が今後必ず必要になってくるドラマだという信念を持って作っている」と話し、「生きる上で一番大切なものは何か。ドラマを通じて見ていただいた方がそれぞれの立場で探してほしい。ちょっと気軽に観られるドラマではない、じっくり観てもらいたいドラマです」と呼びかける。

広瀬すず×坂元裕二の化学反応で魅せる、ずっしりと胸に響く「anone」。テレビの前でじっくり味わってみて欲しい。(modelpress編集部)

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