人はなぜ「俳優・河合優実」に惹きつけられるのか 主演じゃなくても視線を奪う不思議な引力
主演でなくても自然と目で追ってしまう、そんな不思議な魅力を持つ俳優がいる。近年では、河合優実がそのひとりではないだろうか。現在放送中のドラマ『ポリティカルパン』(フジテレビ系)でも類まれな存在感を発揮し、大きな注目を集めている。
本作は、野木亜紀子脚本、石原さとみ主演による政界を舞台にしたオリジナルドラマ。平たく言えば、女ルパン・如月弥生(石原さとみ)の活躍を描いた物語である。彼女が狙うのは、使われ方が不明瞭な"ポリティカル・マネー=政治の金"。まずは政界へ潜り込もうと、弥生が選挙に担ぎ上げたのが、河合優実が演じる大物政治家の娘・小早川雅だった。
『アンナチュラル』以来となる野木亜紀子と石原さとみの再タッグ作として、放送前から注目を集めていた本作。高橋一生、渡部篤郎、草刈正雄といった実力派たちも顔をそろえており、若手が存在感を発揮するのはなかなか難しそうな作品である。
ところが第1話で河合が登場するや、SNSには「やっぱり河合優実いいな」「最高のキャスティング」「出てるだけでつい目で追っちゃう」といったコメントが続々と寄せられた。もちろん、演じる小早川雅が魅力的な人物であることも大きいだろう。それでも視聴者の反応からは、役柄の重要性やキャラクターだけでは説明しきれない河合自身の引力が伝わってくる。
思い返せば、彼女の名を一躍広めたドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)でも妙に目を引く存在だった。阿部サダヲ演じる昭和のおじさん・小川市郎が令和にタイムスリップし、不適切な発言を連発する本作で、河合が演じたのは市郎の一人娘・小川純子。仲里依紗演じる犬島渚や、吉田羊演じる向坂サカエなど、個性豊かなキャラクターがそろうなかでも、純子の放つ独特の雰囲気は強く印象に残った。
こうした唯一無二ともいえる存在感は彼女の大きな強みだ。かつての山口百恵や田中裕子を思わせる風貌には、どこか目を奪われるような色気が漂っている。見た目からして人を惹きつける魅力があり、演技でも確かな実力を発揮するのだから、視聴者が自然と注目してしまうのも無理はないだろう。2028年度前期のNHK連続テレビ小説『ほんのモキチ』で主演を務めることが決まっている河合。起用はオーディションではなく、オファーによるものだったという。その理由について「多面的な役柄を演じられる人」を思い浮かべた際、河合以外に考えられなかったと語られており、業界内でも彼女の実力が高く評価されていることがうかがえる。
出世作こそ2024年放送の『不適切にもほどがある!』だが、それまでにも数々のドラマや映画に出演してきた。例えば「初めて河合優実を知った」という声が意外と多いのが、2020年公開の映画『佐々木、イン、マイマイン』。鳴かず飛ばずの俳優である主人公が、高校時代の圧倒的な存在だった友人・佐々木(細川岳)との記憶をたどりながら現在と向き合う青春ドラマだ。
河合が演じたのは、大人になった佐々木が出会う女性・苗村。全体を通して出番が多い役柄ではないが、繊細な演技で観る者の心に引っかかりを残した。俳優デビューからわずか1年ほどしか経っていない時期の出演と考えると、その表現力には驚かされるだろう。
そして翌2021年に公開されたのが『由宇子の天秤』だ。「女子高生いじめ自殺事件」の真相を追うドキュメンタリーディレクター・木下由宇子(瀧内公美)を通して、正義と倫理の揺らぎを描いた本作。河合はキーパーソンとなる女子高生・小畑萌を演じており、複雑な事情を抱えた少女の心の揺れを巧みに表現していた。
比較的最近の作品では、"悪い河合優実"が堪能できる『悪い夏』も印象深い。男を惑わす色気と、どこか投げやりな雰囲気をあわせ持つシングルマザーを演じ、表現の振り幅の広さを見せつけた。こうした役柄も違和感なく自分のものにしてしまうあたり、さすがとしか言いようがない。
もちろん『あんのこと』や『ナミビアの砂漠』といった主演映画での演技も見逃せないのだが、物語の中心にいない役柄でも観客の目を奪っていくところに、彼女のすごさがある。役柄の大小にかかわらず、観る者の心に何かを残す力こそ"河合優実"という俳優の大きな魅力なのだろう。
今後はどんな役柄で、世間の目を引いていくのか。現在放送中の『ポリティカルパン』はもちろん、これからの活躍にも期待したい。
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