綾瀬はるか

綾瀬はるか主演映画がまさかの"圏外" 人気も実力も抜群なのに映画ではなぜ苦戦するのか

2026.10.20 18:03
提供:ENTAME next

綾瀬はるかの主演映画『ファーストボイス』が、興行面で苦戦している。テレビドラマでは数々のヒット作を生み、CMでも引っ張りだこの国民的女優だが、近年の主演映画では興行収入が伸び悩むケースが目立つ。人気も演技力も申し分ない綾瀬は、なぜスクリーンではヒットに恵まれないのか。

10月2日に公開された『ファーストボイス』は、1989年に提訴された日本初のセクシュアル・ハラスメント裁判に着想を得た作品だ。綾瀬が演じるのは、困っている人を放っておけない弁護士・朝日道子。職場で理不尽な嫌がらせを受けて仕事まで奪われた女性から相談を受け、新人弁護士とともに当時の「常識」に立ち向かっていく。

前田哲監督がメガホンを取り、ファーストサマーウイカ、松本穂香、鈴鹿央士、木村多江、筒井道隆らが共演。声を上げた女性たちの勇気が社会を動かす姿を描く、意義深い題材の法廷エンターテインメントだ。

しかし、全国299館という公開規模にもかかわらず、興行通信社が集計する週末観客動員ランキングはトップ10圏外。綾瀬の人気や知名度を考えると、かなり厳しい結果と言わざるを得ない。

映画での苦戦は今回が初めてではない。2023年に公開され、華麗なガンアクションを披露した『リボルバー・リリー』は興収約6.5億円にとどまった。2024年の『ルート29』も初週末の動員ランキングでトップ10入りを逃している。どちらも、ヒットの一つの目安とされる興収10億円には届かなかった。

今年5月には、世界的に注目される是枝裕和監督の『箱の中の羊』で千鳥・大悟とダブル主演を務めた。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれた話題作で、興収は7億円を突破したものの、話題性に見合った大ヒットには至っていない。一方、4月公開の主演作『人はなぜラブレターを書くのか』は興収10億円を突破。それでも、国民的女優にふさわしい大ヒットと呼べるほどの勢いではなかった。一方、主演ドラマでは着実に実績を積み重ねている。2025年のNHK『ひとりでしにたい』は、初回のNHKプラス視聴数が朝ドラ・大河ドラマを除く同局ドラマで歴代最多を記録。TBS系の『義母と娘のブルース』(2018年)や『天国と地獄~サイコな2人~』(2021年)は、最終回の平均世帯視聴率がそれぞれ19.2%、20.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に達した。フジテレビ系『元彼の遺言状』(2022年)も見逃し配信で好調な数字を記録するなど、ドラマでは確かな結果を残し続けている。

好感度の高さも健在だ。2026年上半期のテレビCM露出量は関東地区で全タレント中2位(ビデオリサーチ調べ)。映画が不振でも、決して本人の人気に陰りが出たわけではないと考えられる。

では、映画の興行的な伸び悩みは、なぜ起きているのか。綾瀬の近年の出演作を振り返ると、作家性や社会性の強い作品が目立つ。『ルート29』は風変わりな少女と孤独な女性の旅を通して心の変化を描くロードムービー。森井勇佑監督の独特な世界観を前面に打ち出した作品で、幅広い層に訴求するタイプの映画とは異なる。

『箱の中の羊』は亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎えた夫婦を描き、家族とは何かを問いかけた。『ファーストボイス』は、ハラスメント裁判という社会性の強い題材を扱う。どちらも興味深いテーマだが、娯楽性を求める観客にとっては、やや取っつきにくく映るかもしれない。近年の綾瀬の主演作は、題材や作風の面で興行的なハードルが高いように見える。

ただし、こうした作品選びからは「この映画に出たい」「この監督と仕事をしたい」という彼女の確かな意思もうかがえる。『ルート29』への出演について、綾瀬は森井勇佑監督の前作『こちらあみ子』が好きだったことを明かし、脚本も「読めば読むほど毎回大好きになる不思議な台本でしたね」と語っていた。

興行的な成功だけを追うのではなく、作家性や社会性の強い作品に積極的に取り組む。そうした姿勢からは、女優として表現の幅を広げようとする意欲が感じられる。ヒットするかどうかだけでなく、自身の心が動かされる脚本かどうか、ともに作品を作りたい監督かという点を出演作選びで大切にしているのかもしれない。

映画での「不遇」ぶりがネガティブに書き立てられることもあるが、この挑戦の積み重ねが綾瀬を女優としてさらに進化させ、新たな代表作につながる可能性は十分にあるように思う。

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