にしおかすみこ

「芸能人の老親介護」 にしおかすみこ、春やすこ、新田恵利のケース

2026.10.01 18:03
提供:ENTAME next

親の介護は、年齢を重ねるほど身近な問題になる。施設への入居、自宅でのケアなど、家族の事情によって選択肢は異なるが、そんな中、テレビで活躍する芸能人からも、親の介護をめぐる体験談を聞く機会が増えた。今回は、自身の介護体験を綴った『ポンコツ一家 最後の2年』(講談社)を上梓した、にしおかすみこをはじめ介護経験がある芸能人を取り上げ、自宅での介護について考える。

◆にしおかすみこの介護体験に共感の声

にしおかすみこといえば、鞭を振り上げて「アーーーーーッ!」「満足かい? この、ブタ野郎!」と絶叫するSM女王ネタのイメージが強い。2007年頃、ボンデージ姿の女王様キャラが大ブレイクし、多くの人を爆笑の渦に巻き込んだ。

2020年のコロナ禍、にしおかは実家に戻った際、家の異変に気付き、家族と共に暮らすことを決意した。母の介護を中心とした実家での生活を綴った『ポンコツ一家』を2023年に出版。翌年には続編の『ポンコツ一家2年目』(いずれも講談社)を刊行し、今月16日には『ポンコツ一家 最後の2年』が発売された。

にしおかの本を読んだ人からは、「思っていることを言語化してくれてうれしい」「すみこさんと今の自分が重なり、1人ではないと思えた」といった、共感の声が上がっている。

にしおかといえば、テレビに出ているタレントであり、私たちとは別世界の存在のようにも思える。しかし実際には、「家に誰かの便が落ちたままになっている」「母に糖尿病の注射を打つよう声をかけるのが日課」「母の悪意のない嘘(認知症の症状)」など、介護をする多くの人と同様の問題に直面しており、悩みも抱えている。

また、にしおかは母の状況を認定調査員に正しく伝えなければと思いつつも、母のネガティブな部分を他人に明かすことに娘として申し訳なさを抱くこともあった。一方、母は娘のそんな気も知らず、認定調査員の前で見栄を張りがちだったという。ケアを担う娘にとって、この見栄も悩みの種になる。母の尊厳を大切にしたい気持ちはあるものの、現状が正しく認識されず、要介護認定が実際より低く出れば、その負担は自分にのしかかってくるからだ。にしおかは『ポンコツ一家 最後の2年』の発売記念会見で印税の使い道を聞かれると、「体にいいバカ高い寝具とバカ高い枕を買いたい」「高級旅館に行って、源泉かけ流しの温泉で肩を癒やしたい」と答えていた。50代になれば肩こりなどに悩まされ、若い頃のように体が思うように動かなくなることもある。にしおかも介護に追われ、五十肩に悩みながらも、本の執筆のためパソコンに向かっていたのだ。

◆芸能人が伝える介護のリアル

内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、令和4年における認知症の高齢者数(65歳以上)は443.2万人(有病率12.3%)と、決して少なくない。

そうした中で、介護の大変さや現実を発信する芸能人は珍しくなくなってきた。たとえば、1980年代の漫才ブームを牽引した春やすこも、自身の介護体験を明かしている。約8年間にわたり、両親を在宅介護し、深夜・早朝を含めて3時間ごとにおむつを交換することもあった。寝たきり状態の大人を車いすに乗せる苦労も、身をもって体験している。

また、おニャン子クラブの中心的メンバーだった新田恵利は、母を6年半にわたって介護し、2021年に『悔いなし介護』(主婦の友社)を出版しているほか、自身のブログにも介護について綴っている。新田の話には、おむつの臭いの強さ、母を「クソババァ!」と罵倒した後悔など、人には打ち明けにくい悩みのほか、介護職員の明るさに救われたエピソードなど、介護経験者なら頷く内容が多い。

近年、子育て中の人を対象としたサポートが手厚くなり、子育ての悩みを抱える人が気軽に集える場も増えてきている。一方、少子高齢化はさらに深刻化するといわれているものの、介護に対する社会の理解は十分とはいえず、介護に携わる人は孤独を抱えがちだ。日本にはデイサービスという便利なシステムがあるが、地域によって事業所の数や提供体制が異なるほか、空き状況や要介護度などによって希望通りに利用できないこともある。

さらに、高齢者の各種負担の増大が議論されるなど、高齢者本人だけでなく、老親を支える中高年世代にとっても厳しい状況になりつつある。

平成を代表する人気芸人や、80年代のトップアイドルにも介護問題はのしかかる。介護の話は他人事ではないし、お金や社会地位があれば悩まずにすむ問題でもない。

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