やす子だけじゃない「子ども食堂」を運営する有名人たち はるな愛、庄野真代、小椋久美子の"原点"
お笑いタレント・やす子が、自ら運営する子ども食堂の"リアルな運営費"を明かし、反響を呼んでいる。
東京・葛飾区で8月末に子ども食堂「やすまったり」をオープンしたやす子。9月26日、やす子は自身のXで9月の活動について、180食を無償提供し、運営費は約26万300円だったと公表した。内訳は食材費8万2065円、スタッフ交通費2万9556円、家賃12万円、備品費1万3679円、光熱費約1万5000円。スタッフはボランティアだが、交通費については「仲間を大切にしたいので出します」と説明している。
子ども食堂への思いには、自身の生い立ちが深く関係している。やす子は母子家庭で育ち、経済的に厳しい生活を経験。幼少期は「地獄のように苦しかった」といい、高校時代には児童養護施設で暮らしていた。子どものころ、夏休みなど給食がない時期には満足に食べられず、食事を振る舞ってくれるボランティアに助けられたという。
やす子は9月から週1回、子ども食堂で高校生までを対象に予約抽選制で食事を無料提供している。支援の輪が広がっており、9月25日の開催は寄付された食材だけでまかなえたという。
芸能界では、やす子のほかにも子ども食堂に取り組んでいるタレントがいる。
はるな愛は、2016年にラジオ番組で子どもの「見えない貧困」について聞いたことをきっかけに、自身が経営する飲食店を活用して子ども食堂を開始。東京・八幡山と三軒茶屋の2店舗で毎月第2土曜日に定期的に開催している。
活動資金については、過去に「ほとんど私の自己負担」と告白。今年5月のインタビュー記事では、物価高による運営への打撃について「正直、なかなか厳しい状況」と本音を吐露した。それでも続ける背景には、幼少期に電気やガスをたびたび止められるなど、裕福ではない家庭で育った経験があり、そうした生活の中でも母が作ってくれた料理に優しさと安らぎを感じたという。「飛んでイスタンブール」などのヒットで知られる歌手の庄野真代は、2018年から東京・下北沢で「子ども食堂 しもきたキッチン」を主宰している。現在は不定期ながら、食事会や食料品の配布を継続。その原点には、庄野が小学生だったころ、給食費が払えずお昼の時間に校庭で遊んでいた同級生を自宅に連れてくるよう促し、当たり前のようにご飯を食べさせていた母の姿があるという。
元バドミントン日本代表の小椋久美子は2026年5月、地元・三重県で「つぐみ子どもの食堂」を立ち上げた。ABEMAの密着ドキュメンタリー『NO MAKE』では、公民館を借りて月1回開催し、1回約3万円の費用のほとんどを自費で負担していると紹介された。母親の介護や保育士資格の取得を経て、「社会で手を差し伸べて欲しいと思っている子たちに何かしたい」と考えたことが開設につながったという。
こうした活動が広がる背景には、経済的に厳しい環境に置かれる子どもたちの存在がある。厚生労働省の「2025年国民生活基礎調査」によると、2024年の子どもの貧困率は11.0%。国立社会保障・人口問題研究所の2022年の調査では、過去1年間に経済的な理由で必要な食料を買えなかった経験がある世帯は11.1%で、ひとり親世帯は20.8%で特に高かった。
認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」が今年3月に発表した調査結果によると、2025年度の子ども食堂は全国1万2602カ所。公立の小学校・義務教育学校を合わせた数の約7割に迫る。全国の小学校区の約4割に子ども食堂があるといい、その需要の高さが日本の現状を示唆している。また、子ども食堂は孤独や孤立を防ぎ、人とつながれる地域の「居場所」としての役割も広がっている。
影響力のある著名人が子ども食堂を開き、多くの人の目に触れる。そうなれば、子どもの貧困への関心が高まるほか、食材の提供や寄付、ボランティアなど「自分にもできること」を見つけるきっかけにもなる。こうした支援の輪がさらに広がっていくことを願いたい。
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