舘ひろしはシニア男性のロールモデルになるか 『終わった人』『免許返納!?』が映す"同世代の希望"
舘ひろしはクールでダンディなイメージで、多くのファンの心を掴んでいる。1986年に放送された『あぶない刑事』(日本テレビ系)の"タカ"こと鷹山敏樹役で人気を博し、その後も数々の刑事役を好演。現在は、NHKドラマ10『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(NHK総合ほか)に出演しているほか、6月19日には映画『免許返納!?』(東映)の公開を控えている。今回は、孤高のかっこよさとダンディズムで長年ファンを魅了し続ける76歳・舘ひろしの魅力に迫りたい。
◆孤高のかっこよさでお茶の間を魅了舘は昨年、デビュー50周年を迎えた。俳優業だけでなくシンガーなど幅広い分野で活躍している。中でも代表作として挙げられるのが、『あぶない刑事』シリーズだ。大型バイクにまたがり、ショットガンを構える敏樹の姿を思い浮かべる人は多いと思う。
同シリーズは1980年代から続く人気作で、2024年には劇場版『帰ってきた あぶない刑事』(東映)が公開された。軽妙な掛け合いと、観る者を驚かせる"あぶない"アクションが最大の見どころだ。
2024年の劇場版では「コンプライアンス? どうやって食うんだよ?」という台詞に象徴されるように、現代らしさをユーモアたっぷりに織り交ぜて、話題を呼んだ。
一方、舘扮する敏樹は白髪が年齢を感じさせるものの、バイクシーンや拳銃を構える姿は変わらずクールで、身のこなしは俊敏だった。
また、1979年から1984年にかけて放送された『西部警察』(テレビ朝日系)でも存在感を発揮した。本作で主演を務めたのは渡哲也だが、舘は刑事・巽総太郎を熱演。リーゼントにサングラス、革ジャン姿でハーレーダビッドソンを乗り回す強面キャラクターだが、責任感が強く仲間思いの優しい一面も持ち合わせていた。
幼稚園バスに仕掛けられた爆弾を外して園児たちを救うも、自らは爆発により殉職した。当時、総太郎の死は多くの視聴者に衝撃を与え、涙を誘った。
そのほか、舘の出演作で印象深いのが、2007年放送の『パパとムスメの7日間』(TBSテレビ系)だ。本作では、思春期の娘・小梅(新垣結衣)と列車事故をきっかけに体が入れ替わってしまう父・川原恭一郎を演じている。
世の父親の多くが高校生の娘との関係性に悩むように、恭一郎もまた娘との距離感に苦悩する。見た目は47歳だが、中身は女子高校生という恭一郎を、舘はユーモアを交えながら軽やかに演じつつ、思春期女子ならではの繊細な感情も丁寧に表現していた。6月19日に『免許返納!?』が公開される。本作で舘が演じるのは、アクションスターにして映画賞総なめの演技派俳優でもある南条弘。どこか舘自身を重ね合わせたようなキャラクターだ。
そんな弘が70歳を迎えると、『私、免許返納します』というテレビCMのオファーが舞い込み、マネージャーの川奈舞(西野七瀬)からも「絶対に免許返納してください」「もう二度と運転しないでください」としつこく言われたりする。
高齢者の運転問題は、現代社会における大きなテーマのひとつだ。周囲が運転を控えるように説得しても、本人が納得しないことが珍しくない。免許返納を繰り返し勧めざるを得ない舞の気苦労に共感する人は多いと思う。
一方、免許返納を勧められた側のモヤモヤした気持ちもよく分かる。相手の思い遣りを汲み取りつつも、シニア扱いされるのはよい気がしないし、そもそも加齢によるさまざまな変化は本人には実感しにくいものだ。
本作はシリアスなテーマを扱いながらも、笑いを誘う台詞が数多く散りばめられている。大型バイクで颯爽と駆け抜けるクールな舘を知っているだけに、免許返納とのギャップがなんともおかしい。
さらに、舘は2018年公開の『終わった人』(東映)では、定年退職後の人生に悩む田代壮介を演じた。壮介は銀行マンとして仕事に全力を注いできたために趣味もなく、定年退職後は手持ち無沙汰な日々を送ることになる。それゆえに、定年を"生前葬"とまで思ってしまう。
年齢を重ねるにつれ、若い頃には想像もしていなかった悩みが次々と現れる。そんな、葛藤を抱えたキャラを、舘は説得力をもって演じ続けている。そのリアルな姿に視聴者共感し、思わず笑みがこぼれて、心が軽くなることもあるはずだ。
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