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史上最高視聴者数も達成、とにかくドラマが面白いNHK『しあわせは食べて寝て待て』が描く圧倒的リアル

2025.04.22 18:03
提供:ENTAME next

NHKドラマ10の新作となる『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合、火曜午後10時)が、ドラマファンの間で高い注目を集めている。同作は、女優の桜井ユキが主演を務めるドラマで同名漫画が原作。4月1日から放送がスタートしている作品で、38歳独身の麦巻さとこが主人公となる。

さとこは、一見するとどこにでもいる女性だが、膠原病を患ったことでこれまでの生活がガラリと一変。キャリアウーマンとして働くことを諦め、病気と付き合っていけるよう週4日のパート勤務に切り替える。収入が減ったことで引っ越しを決意するのだが、家賃5万円の団地を内見した際に、加賀まりこ演じる大家の美山鈴、薬膳料理が得意な宮沢氷魚が演じる羽白司と運命的な出会いを果たして物語は進展することになる。

この『しあわせは食べて寝て待て』だが、SNSでドラマファンを中心に話題となり、第1話が「NHKプラス」の視聴数にて、大河ドラマと朝ドラを除くNHKのドラマ史上で最高の数字を達成。派手な演出や複雑な考察などがないドラマなのだが、熱狂的なファンを生み出し続けている。なぜ、『しあわせは食べて寝て待て』は人気を集めているのだろうか?

まず、同作の魅力は誰にでも起こり得る状況に主人公が置かれているところだ。主人公のさとこは膠原病を患うが、病気や何かしらの原因によって、誰もがいまある日常をおくれなくなる可能性はある。だからこそ、病気になったさとこに圧倒的なリアリティが感じられる。

同作では、病気に悲観して自暴自棄になるわけではなく、いまできることをやろうとする等身大の女性の姿が淡々と描かれる。その日常が痛いほどにリアルだ。お金がなくギリギリの生活をする中で、さとこは「薬膳にもお金がかかる」とつぶやくシーンが印象的。

普通のドラマであれば、薬膳料理がテーマなら、物価に関係なく食材が並んでいるもの。しかし、さとこは食材が買えなく、思ったような料理が作れない現実に直面する。このリアリティある主人公を、桜井が繊細に演じていることでストーリーに視聴者は引き込まれていく。

また、病気になったさとこに投げかけられる言葉がリアルだ。第1話では、通院している病院で、仕事がフルタイムで出来なく生活に不安があると明かすさとこに担当医は「婚活してみるとか?」と無神経な一言を浴びせる。

さらに、母親は「だから言ったじゃない、仕事辞めないほうが良いって」とし、「命に関わる病気じゃなくても、人生つまずいちゃうものなのね」と悪気ない小言をぶつけてくる。病気を患う前に働いていた会社では、同僚から冷遇を受けるのだが、自分がさとこの境遇になったら同じようなことが起きそう…と、安易に想像できてしまう。この、リアリティを感じるストーリーは、多くの人の共感を生むことになりドラマはヒットを記録していると推測できる。さて、ストーリーが秀逸な『しあわせは食べて寝て待て』だが、魅力的に物語を作り出す俳優陣の演技も秀逸だ。

まず、主演の桜井だが、感情の起伏を抑えた演技を見せて原作のキャラに忠実ながら新たな魅力を生み出している。病気で自信をなくしたさとこを繊細に表現しながら、新たな出会いに感動して生きる希望が湧いていく様を細かい表情やセリフで感じさせる。

特に、3話ではこれまでのさまざまなモヤモヤが晴れ、一生付き合っていく病気と本当の意味で向き合う場面が静かな感情の変化で描かれる。決して派手ではないものの、自然体の演技でさとこというキャラを視聴者にわかりやすく演じられている。

桜井といえば、NHK連続テレビ小説『虎に翼』の桜川涼子のように、シャープで自立した女性の役が多いイメージだ。そんな桜井が、新境地となる演技で作り出すさとこは、新鮮味がありそれだけでも見る価値のあるドラマになる。

また、さとこの隣の部屋に住む羽白司を演じる宮沢もすばらしい。司は、さとこの自宅の大家・美山と同居する不思議な青年で、季節の旬の野菜などを使う「薬膳料理」を作るのが趣味。何かしらの原因で仕事を辞め、いまは鈴の身の回りの世話をするお手伝いさんとして生活している。

さとことは薬膳料理を通じて交流を深めるのだが、恋愛関係になるのかと思いきや司は人間関係に深入りしない性格。2人の間には適度な距離感があるからこそ、このドラマは陳腐な恋愛ストーリーにならずにおもしろさを保っていると言える。

そんな司は親切で頼りになりそうな設定ながら、どこか情けない部分もあり掴みどころのないキャラだ。宮沢といえば、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で田沼意知を演じるなど注目度の高い俳優。今回演じる司は、宮沢が丁寧に原作のキャラに近い設定で演じているように思える。どんな人にも親切だが、どこか壁がある司をしっかり表現でき、ドラマに独特なテンポ感を生み出している。

他にも、老獪な加賀の演技も見ていておもしろく、桜井、宮沢との相性が抜群。この3人が中心となってドラマが展開することで、民放のドラマにはない空気感を見られる。前述したように『しあわせは食べて寝て待て』には、ときめくような恋愛模様や複雑な考察、派手なアクションシーンなどは無い。なのに、幅広い世代の視聴者を引き付ける魅力を持っている。NHKのドラマ班のスタッフのセンスの良さを感じられる作品となる。

前シーズンで、奈緒と松田龍平が主演の『東京サラダボウル』という傑作ドラマを制作したNHK。今回も、繊細な仕事と力のある役者の起用で、派手さはないものの名作となる『しあわせは食べて寝て待て』を作り上げた。ここ最近、とにかくドラマがおもしろいNHKから、今後も目が離せなくなりそうだ。

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