超特急&DISH//、約8年ぶり合同ライブ開催「10年後、きっとすごいことになってる」
2021.12.26 15:00
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2011年12月25日という同じ時、同じステージで誕生した超特急とDISH//。以来、同じEBiDANに属する仲間として、そしてライバルとして常に切磋琢磨してきた2組が、10周年記念のスペシャルツーマンライブ『10th Anniversary Special Live「超特急×DISH//」』を12月25日に大阪城ホールで開催した。
超特急&DISH//、約8年ぶり合同ライブ開催
初期は合同リリースツアーで全国を回ったり、冠バラエティ番組「超×D」に出演するなど、苦楽を共にしてきた彼らは、まさに“盟友”と呼べる間柄。そんな彼らが10周年の記念日に相まみえるということで、会場には多くの8号車(超特急ファンの呼称)とスラッシャー(DISH//ファンの呼称)が集い、昔、彼らが交わした“夢が叶った日”を共に祝った。年に一度の「EBiDAN THE LIVE」では毎年共演しているものの、超特急とDISH//としてのツーマンは約8年ぶり。当時から「お互いにもっと大きくなって、いつか大きなステージでまたツーマンしよう」と誓っていたというだけあって、客席を埋め尽くすカラフルなペンライトの動きからも、期待と喜びが伝わってくるように感じられる。
超特急、トリッキーな世界観を爆発
まずは発車ベルが鳴って、ステージ上のターンテーブルが回転すると、先攻の超特急が登場。「10周年だぜ!楽しんでいこうか」(タクヤ)と気合を入れる5人のシックな出で立ちに、いつものメンバーカラーはなく、そんなところからも今日という日の特別感が伝わってくる。もちろん特別なのはビジュアルだけではなく、この日の彼らは、楽曲ジャンルと場の空気が目まぐるしく入れ替わる“情緒不安定”な個性が全開。全力で体を振る「SAY NO」を頭からブチかまし、曲中で“超特急!”“DISH//!”“進め!”とコールすれば、ヘドバンに加えてリーダーのリョウガが変顔を炸裂させる「超えてアバンチュール」と鉄板曲を連ねて、まずは彼ららしいトリッキーな世界観を爆発させる。
史上初のダンサー4人によるパフォーマンス曲「Добрый день(ドーブリジェン)」でも、ロシアンハードベース曲らしく赤・青・白とロシア国旗と同色のライトが点滅するなかで、曲頭のヤンキー座りからアウトサイダーなオーラを放出し、ステージ前面には大量の火花がスパーク。これまでになく“アブない”魅力で客席の心を鷲掴むが、曲終盤、突如現れたタカシはコミカルなサビのダンスを真顔で繰り出して、一転、シュールな情景を作り出す。かと思いきや、次の瞬間には「Dance Dance Dancing!」のスタイリッシュなグルーヴで、ダンス&ボーカルグループならではのカッコよさを見せつけるのだから、まさに感情は迷子状態だ。
超特急、DISH//からのリクエストソング披露に客席のざわめき
ここで「今日は12月25日、僕たちとDISH//が10歳になった記念すべき日ということで、超特急の初めての曲を披露したいと思います」とカイが前置いて届けたのは、10年前の結成ライブでお披露目された「No More Cry」。10年での成長を証明するかのようにメリハリの利いたダンスは、スレイベルの音を加えたクリスマスアレンジと相まって、観ているだけでなんともゴージャスな感覚に。続いて「DISH//からのリクエストソングです」というタクヤの言葉が客席のざわめきを招いた「refrain」では、ストーリー感のあるダンスと、タカシの真っ直ぐな歌声に柔軟なフェイクが情感豊かに響き渡って、寂しいのに温かいという相反した感情をオーディエンスに抱かせる。薄煙のなか、高音域ボーカルと滑らかなダンスで、届かない想いを贈った大人のR&Bチューン「You Don’t Care」といい、それぞれに異なる音楽ジャンルと表情で“別れ”の切なさを描写する姿は一級のエンターテイナーだが、そのエンタメ心がおかしな方向に振り切れてしまうのも超特急らしいところ。
突如8年以上前にDISH//の橘柊生がSNSに掲載し、当時8号車を騒然とさせたタカシの変顔画像がステージ上のLEDモニターに映し出され、許可なくこんな写真を晒されたタカシは、なんて可哀想なんだ!諸君!我々は怒っている!激おこだ!と、歌詞を借用して「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」に突入する。
指を鬼のツノに見立てた可愛い振り付けに、キャラが無限に分裂してゆくタカシの声音は、グループ史上最速BPMに乗って早口でまくし立てられ、最後にはモニターに超ドアップでタカシのリアルタイムの変顔が。長年、封印されてきた画像と、これまで守られてきたタカシの最新変顔の解禁に、オーディエンスもマスクの下で沸き返る。
しかしジェットコースターのような展開は、ここで終わらず。これ以上ないカオスを極めたところで、常に8号車と自身にエールを贈ってきた「fanfare」を、「超特急、DISH//が10周年を迎えられたのは、ここにいる皆さんがいるからです!」と感動的に投下するのだから、そのテンションの高低差には三半規管もやられてしまいそうだ。
ダメ押しとばかり「最後の曲は超特急の節目だったり、大切なポイントで披露する曲です」とリョウガが伝え、2018年1月の大阪城ホール公演以来、一度もライブ披露されることのなかった「Signal」のタイトルを告げたとたん、客席の8号車からは声にならない悲鳴が。
“夢は見るよりつかみとれ”“railは自分で選ぶから”“たどり着くまで諦めるな”この曲のリリースから7年、きっと彼ら自身の背中を押してきただろう歌詞を今になって聞くと、まさしく諦めなかった結果が今日のステージなのだと思い知る。そんな歌詞の一つひとつを噛みしめながら、動きの一つひとつにまで想いを込めて踊る彼らの顏には、新たな決意が。彼らの進むべきレールは、まだまだ先へと続いているのだ。
DISH//、超特急からのリクエストソング披露
20分の転換ののちに再びターンテーブルが回り、今度はバンドセットが現れると、泉大智(Dr)の力強いカウントから「星をつかむ者達へ」で後攻のDISH//パートがスタート。北村匠海(Vo/G)と橘(DJ/Key)が勢いよくラップを掛け合い、矢部昌暉(Cho/G)と泉が声を合わせるというメンバー全員で挑む姿勢は勇ましく、スタンドに立てたギターをかき鳴らす北村を含め、プレイの激しさも見所だ。「こんばんはDISH//です!最後まで楽しんでください!」と煽っての「Shout it out」は、彼ら初のハリウッド映画吹替版主題歌だけあり、スケール感のあるナンバーで、曲の世界観を投影したダークな映像に北村の甘さと艶を兼ね備えたボーカルが絶妙にマッチ。橘の挑発的なラップに矢部のかきならすギターも狂おしく、そのパッションを内から外へと開放していった「勝手にMY SOUL」で、一面に揺れるペンライトの壮観な様に、曲を終えて思わず北村が呟く。
「すげーな、人が!結成したばかりの頃、一緒にショッピングモールを回りに回って、最後にお台場のビーナスフォートで“今日から我々は別々の道を歩むけど、いつか絶対ツーマンしようぜ”って言った日が今日です。こんなに大きなところでライブできるとは思ってませんでした」そして、「超特急から懐かしい曲のリクエストがあって、これ、やらしていただきます」と「恵比寿物語」の名をコールすると、初期のレア曲登場にスラッシャーも歓喜。
橘の透明感あるピアノ音が印象的な“別れ”を歌ったミドルバラードながら、“恵比寿”というワードや共に思い出を重ねてきた“君”へと綴られた想いに、この場で聴くと別の意味合いを帯びて、ひときわ温かみを感じてしまう。続く「SAUNA SONG」も、メンバーのサウナ愛に乗せて、身体をリセットすることの大切さを歌った、いわばヒーリングソング。モニターに流れるMVではメンバー自身もサウナに入って寛ぐが、お立ち台に腰かけてギターを弾く矢部を橘がタオルで仰いだりと、なんとステージ上でもサウナを再現して、そんなメンバーに「ふざけすぎ」と北村が笑いかけるのが微笑ましい。
北村匠海「もうね、感慨深いです」
10年前のリリースイベントでは3、40人しかお客がいなかったこと、それが今や大阪城ホールにまで拡大したことに、「もうね、感慨深いです。続けてるといいことあるんだなって今日で思いました。本当にありがとう」と重ねて感謝する北村。そこから「ちょっとやりたりないんで、大放出していいですか?自由に、音に乗って音楽してください!」と、以降はロックチューンを豪快に乱れ打つ。ステージ前面から特効の火花がド派手に噴出した「Seagull」では、巻き舌気味でワイルドに攻める北村に、間髪入れず合いの手を入れる矢部と橘、忙しないツインギタープレイ、奔放なビートを刻む泉と、息の合った演奏で爆走。「JUMPer」ではマイクを握った橘がお立ち台に飛び乗り、ジャケットを脱ぎ捨てた北村と丁々発止なツインボーカルの様相を呈する。間髪入れず続いた「No.1」はメッセージ性の強いナンバーで、矢部のアグレッシブなギターソロから北村が“突きあげたNo.1が”と指を突き上げ、“今よりも高い景色が見たいから”と歌い上げる一連の流れには胸を熱くするものが。ダンスロックバンドとして始まり、最初は楽器を持っている“だけ”だった彼らが、今や完全に自分の音で想いを届け、聞く者の心を揺さぶっている。それは間違いなく、この10年における最大の進化だろう。
「これからも僕たちの旅路はどんどん進んで、いろんな足跡を残していくだろうけど、その轍をみんなが踏んでくれるんだろうなって、すごくいい未来が今日見えました。今、この瞬間を、また明日につなげてください」(北村)そう言って始まったラストソング「DAWN」は、過去、現在、未来とつながる時間の中で、“あなた”と生きることを願う壮大なナンバー。声を出せないスラッシャーたちの代わりにメンバーがコーラスを放ち、“確かな今をあなたと掴みたい”と北村が伸ばした腕に、まだ見ぬ明日を今日の先に必ず掴み取るのだという絶対的な決意が見えた。
鳴りやまない拍手に応え、2組がステージに並ぶと「なんかやりますか」と、まずはDISH//の橘が作詞・曲した「Loop.」を披露。グルーヴィーなノリに合わせて超特急のダンサー4人が踊り、タカシと北村が寄り添って歌声を合わせるという贅沢なコラボレーションに、客席は喜びの声を噛み殺す。
超特急の鉄板曲「Burn!」もDISH//のバンドサウンドをバックに、おなじみのバッテンダンスも普段とは一味違う生々しい躍動感のあるものに。「バンドサウンド気持ちいい」「来年の春ツアー、DISH//も一緒に回ってもらおう」と超特急の面々が沸き立つと、DISH//サイドも「全然バックバンドやるよ」と快諾。確かに一回切りで終わるのが惜しいほど、2組の呼吸もピッタリの上にメンバーは抜群の笑顔を見せてくれていた。
超特急&DISH//、思い出話やトークで大盛り上がり
ここからは、この2組ならではの思い出話やトークで場は大盛り上がり。昔、橘がリョウガの家に遊びに行ってロフトのはしごから落ちた話に、北村は3歳年上のユーキとリョウガが事務所に入ってきたときの印象を「赤と黄色のTシャツを着てたから、リンゴとバナナの巨人」と形容。カイは事務所のレッスンで最初に仲良くなったのが泉で、そのときの関係から未だに泉は彼のみを“カイくん”と“くん”付けで呼んでいるという。また、昔の特典会の話になり、当時はカスタマイZに所属していた泉が「なぜかラグビー部の衣装でツーショット撮った」と言えば、カイは「俺らなんてネギとダルマ持ってツーショット撮ったよ!」と、今では考えられないエピソードも。それもすべて今となっては良い思い出であり、“今”を創り上げた大事な糧だ。「曲作ったんですよ。タカシとDISH//の4人で。そこに超特急のダンサー4人が振り付けをして、僕らの思い出だったり、お互いの視点であの頃とか今の話、これからの話を書いた曲を、最後に1曲やりたいなと」そんな北村の言葉からも、彼らにとって過去は消し去るものではなく、慈しむべきものであることがわかるだろう。
「こうやっていろんなことをDISH//とできて、届けられるのが、心の底から嬉しかった。この曲をやれるのも今日だけかもしれないから」とタカシが念押して、贈られたスペシャルソングの名は「STORYs」。結成から今日までの道のり、そして未来への願いをそのまま描いたかのような歌詞に、超特急メンバーのダンス、さらにDISH//のエモーショナルな演奏は、まさに彼ら自身の物語を感じさせるものだ。“夢見た未来じゃなくたってイマはイマにしかない終着駅”“もう何も怖れはしないさまだ終わらない僕らのストーリーを”等、痛いくらいに率直なリリックを歌い上げ、最後のロングトーンをタカシが朗々と聞かせると、ステージからは黄金色の火花が高くスパーク。華やかで感動的なフィナーレに、リョウガは「僕たちの歴史に残る伝説の1日になった。最高の10歳の誕生日になりました」と顔をほころばせ、タクヤが「10年後、もっと大ごとなことやっちゃう?」と言えば、北村は「10年後、こたつ囲んで飲み会を放送します!」とジョークを飛ばす。
しかし、すぐに顔を引き締めて「お互い掲げているものもあるだろうし、また叶えて会いましょう」と、グッズのスウェットにプリントされた5人と4人が別々の方向を真っ直ぐに見据えているデザインを紹介。ちなみに今回のグッズはすべて、9人の仲でも特に仲のいいタクヤと橘が共同でプロデュースしている。
超特急&DISH//「10年後、きっとすごいことになってると信じてます」
「ライブを観ていて心を揺さぶられた。僕らにとって今、DISH//って輝いて見えてるんですよ。“待ってろDISH//!”って、いい意味で燃え滾る気持ちを持ちながら今日は臨んだ」とユーキが告白すれば、北村も「超特急は僕らなんかよりも全然早くアリーナというステージをやっているし、きっと今、お互いが手探りで生きている。僕らはいつまでも超特急にとって悔しい存在でいたいし、刺激し合える仲でありたい」と返答。そして「10年後、きっとすごいことになってると信じてます」と続け、最後はノーマイクで「ありがとうございました!」と9人で挨拶し、記念すべき一夜の幕を締めくくった。互いのファンに馴染みのある初期曲を固めてノスタルジーに浸るのではなく、両者共に最新の楽曲で最新形の姿を見せたのは、「STORYs」の歌詞にもあった通り“信じてきたこの道は間違いじゃない”という確固たる自信の表れだろう。10年が経ったことで、彼らの歌や歌詞は特別な意味合いを持ち、より奥深い味わいを備えるようになった。それはまるで質の高いワインごとし。そして両者は今後もどんどん熟し、10年後にはより芳醇な香りで我々を楽しませてくれるだろう。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】
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