V/Photo by Getty Images

BTS・V、ファンを“注意できる”愛の力 強固な信頼関係で悲しみの無いファンダムへ

2019.12.31 17:00

12月30日、BTSのメンバー・Vが満24歳の誕生日を迎えた。世界中から愛される彼だからこそ持つ力が、K-POPを取り巻くファンダムをより悲しみの無いものにしてくれることを、2019年の最後に祈りたい。

  

世界中で愛されるV BTS人気の起爆剤

今月4日、BTSがフジテレビ系「2019FNS歌謡祭」に初出演した。披露した2曲「FAKE LOVE」と「Boy With Luv」でどちらも一番先に画面に映り「この少女漫画のようなイケメンは一体…」とネット上をざわつかせたのがVだ。2017年に「世界で最もハンサムな顔」の1位に選ばれたエピソードもおなじみとなっているが、まさに誰もが認める天才的なヴィジュアルの持ち主。目を疑うような美しい顔と、パフォーマンス中の魅せ方は、人々の視覚を支配する。彼のまなざしに、一体これまでに何か国、何人の人が陥落してきたのだろう。

本名はキム・テヒョン。人懐こく、誰にでも分け隔てなく明るく振舞い、子供のまま大人になったように天真爛漫で自由奔放な性格も彼の魅力。突拍子なく飛び出す不思議な行動や言葉は、もはや「四次元」「テテ語」「五歳児」とも称されているがそれもファンの愛ゆえだ。韓国の地方都市・大邱に生まれ、インタビューなどでは金銭的に恵まれない環境で育ったことも明かしているVだが、そんな性格からか学校では大の人気者だったという。その少年はやがて様々な努力と奇跡を経て、17歳のときにボーイズグループ・BTSのVとしてデビューする。練習生時代はデビュー直前までその姿を公開されず、一番最後に発表されたメンバーだった。まさに“最終兵器”となったVは、その後BTSの人気の起爆剤となっていく。

V/Photo by Getty Images
個人的な見解だが、ラッパー兼プロデューサー志望、ダンサー志望のメンバーが多かったBTSの中で、王道アイドル的な魅力を持つ彼の存在は非常に功を奏した。初期の頃の技術的な面で言えば彼はボーカリストとしてもダンサーとしても中間といった立ち位置で、今でこそ特徴的で美しいハスキーボイスのボーカルパートがBTS楽曲を引き立てているが、デビュー一年目の楽曲などではドスの効いたラップ風パートを担当していることも多い。アーティストとしての自身のポジションには悩まされた部分もあったかもしれないが、彼はファンの心を奪うという点ではデビュー当初から完璧だった。リーダーのRMも、今年6月にYouTubeにて公開された『防弾屋根裏』の動画で「テヒョンの独特な性格や魅力が僕たちを知らなかった人々の目を引いたと思う」と語っている。

カメラの前に立てば自分の魅力を最高の形で表現することができ、ファンと交流するときはこれでもかというほど惜しみない愛をささげる。ファンイベントなどでの彼の“神対応”ぶりは知らない人が見れば驚くような水準で、それは自らの役割としての使命感ではなく、彼自身の天性の人懐こさからにじみ出るようなものだ。幼いころからの環境が彼を、その瞬間瞬間で人を思い切り愛せる人間にしたのだろう。そんな彼無くしてBTSの成功は絶対にありえなかったはずだ。

Vがファンに捧げる愛の大きさ

BTS(C)モデルプレス
BTSとファンであるARMYの絆を象徴する「紫」という色も、彼の発言に端を発したものだ。2016年の韓国でのファンミーティングにて、ファンがペンライトを用いて会場を紫色に染めるサプライズを行い、それを見て感動したVはとっさに「紫色は相手を信じてお互いを末永く愛し合おうという意味なんです」とファンに伝えた。それは彼がその場で考えついたことだったが、その言葉によって韓国語で「紫する」を意味する『ボラへ』という造語が生まれ、今ではBTSとARMYの間にだけ通用する「愛してる」を意味する単語となっている。それもまた、彼の人を愛する力が強固にしたBTSとファンの絆だ。

昨年BTSが大賞を受賞した「2018 MAMA」にて、泣きながら「僕がまた死んで生き返ってもARMYの皆さんは僕たちにとって本当にかけがえのない贈り物です」と話したことも印象的だった。彼の“用意したのではない”“難しく飾らない”ファンへささげる言葉たちは、世界中どこにいても、遠く離れていてもいつまでも相思相愛だと感じることができ、そんな安心感に世界中の人々がさらにBTSに引き込まれていく。

V(C)モデルプレス

ファンを注意できるVの愛と勇気

そして、それだけファンと強い絆、ゆるぎない信頼関係を築きあげている彼だからこそできることがある。それは、ファンがやってはいけないことをしたときに“注意する”ことだ。

そもそも常に相手を思い、人々に平等に愛を与えられる彼だからこそ、アイドルだという理由で受ける時折過激すぎるほどの愛情は彼を苦しめてきてもいただろう。「つらい」というネガティブな感情を決して表に出さないVゆえ(彼自身も過去に「疲れた」「つらい」などと言わないようにしていると発言したこともある)、それを他者が感じ取ることはあまりできないのかもしれないが、多くの人から注目されるスターという理由でついた傷や、人間関係の諦めもあったかもしれない。愛しているはずの人々から受ける恐怖というジレンマはどれだけ苦しいものだろうか。

V/Photo by Getty Images
そんな中でも彼は、それによって再び自分自身の心的負担を増やすかもしれないにもかかわらず、愛するファンを注意してくれる時がある。韓国のスターたちにはおなじみの空港での出待ち。ファンや報道陣の呼びかけに快く応じることもあるVだが、マナーがあまりにひどいときには自分から自粛のお願いや注意喚起を呼び掛ける。SNSでファンと身近に交流するBTSだからこそ、VはSNS上のモラルについて言及することもあった。

最近ではライブ配信アプリ「V LIVE」の放送で、飛行機に乗る際に自分たちのフライト情報を不当な方法で知り、近くの席に座るファンがいることを指摘。「そうしないでくれると嬉しいです」と正直な思いを打ち明け、さらにファンのコメントに答える形で「怖いです。本当に」と語った。しかもこの時Vは、前置きとして「これは僕が代表して言わなければいけないのですが…」と話した。BTSのメンバーは優しい。ファンに対し愛溢れる言葉をかけることは多くとも、ファンの行為に不満を言うことなどほとんどない。これはBTSに限らずほとんどのアイドルに言えることだろう。彼らはファンに愛や感謝を伝えることはできても「これが迷惑している」と伝えるすべを持っていない。しかしVには、それを伝えられる勇気と、それまでに築き上げてきたファンとの信頼関係がある。だからといって彼にとって簡単なことではないだろうが、近年Vは大きなファンダムを通して巻き起こるネガティブな事象を事前に阻止するためにも、自分で発言しようとしている姿勢を感じることがある。

「ファンダム」がより悲しみの無い場所になるように

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多くのファンを抱える彼らがどれだけの危険や恐怖に脅かされているかは計り知れない。空港に押し掛けるファンの行動だけでも、今年は様々なことが問題になった。最近ではTWICEやGOT7のメンバーの転倒事故も起きている。Vが言及した、彼らのフライトまでを脅かすようなファンは“私生ファン”と呼ばれ、タレントの私生活に介入する迷惑行為あるいは違法行為で問題に。フライト情報だけでなく、泊まるホテルや収録が行われる放送局にまでタレントを追いかけ行うストーカー行為や、盗撮行為なども取りざたされる。最近ではTWICEのダヒョンのパスポート情報が流出する事件もあったが、ファンに電話番号を知られいたずら電話を掛けられるなどのケースも後を絶たない。ニュースとして報じられないレベルでもそのような迷惑行為は数えきれないほどだろう。ソーシャルメディア上の言葉のナイフもそうだ。時には命の危険に脅かされることもある。

天真爛漫で自由奔放に見えるVは、実は誰よりも自分がその場で何をすべきか分かっていたりする。世界中で愛される彼の言動が、彼らを取り巻く世界を変えていき、彼らの心も本当の愛だけで満たされることを願う。そんなことも不可能ではないと思わせてくれるのがVであり、BTSとARMYなのではないだろうか。(modelpress編集部)
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