「マイハル」広瀬アリス&道枝駿佑のキスシーン制作秘話 「お腹痛い?」に込めた意味も解説<塩村Pインタビュー後編>
2023.12.18 19:00
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TBS系火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(毎週火曜よる10時~)のプロデューサー・塩村香里氏にインタビュー。主演の広瀬アリス、そしてなにわ男子の道枝駿佑が演じる恋の結末に注目が集まる同作。今回は裏側を知るプロデューサーだからこそ知る、キスシーンでのこだわりや、2人に隠された裏設定などこれまで語られることのなかった秘話を明かしてもらった。<後編>
広瀬アリス主演火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』
本作は、やっかいな問題を抱えた30歳の主人公・白玉佐弥子(広瀬)が、謎の大学生・小笠原拓(道枝)の一言をきっかけに学び直しを決意して大学生となり、令和の大学生たちに揉まれながら恋に、勉強に、夢に奮闘するセカンド・アオハル・ラブコメディ。
「マイハル」キスシーン撮影秘話
― 4話、5話での大胆なキスシーンは大きな驚きと反響を呼んでいました。
塩村:視聴者の方の反応を見ていると4話でのキスシーンは早いようでしたね(笑)。とんでもなく恋愛偏差値の低い佐弥子と拓がどう恋人になるか…その展開は色々と考えていたのですが、元々、全話を大学4年間の話で制作することは決まっていたので「もういいんじゃないか、5話で大胆にくっつけば!」ぐらいのことは、当初より想定していました。そんな中で生まれた4話、5話でしたが、予想外に早い展開だったようで、すごく反響は大きかったです。
― キスシーンでのこだわりはありますか?
塩村:5話の最後に拓から佐弥子をバックハグするキスシーンに関しては、監督がすごくこだわって撮影していました。撮影だけではなく、音楽の付け方や細かいカットの選定まで、佐弥子と拓、どちらか一方の目線にならないように意識し、ここからここまでは佐弥子のターン、ここは拓のターンなど演出、編集を繊細に手掛けており、それを受けて、監督と何度も話し合いながら、仕上げていきました。正直、それまでの「マイハル」とは、印象がガラリ変わるシーンだったと思いますが、佐弥子の思いが溢れてしまって、拓がそれに応えるように強くバックハグ、キスをする流れは、絶対に必要だと思っていたんです。佐弥子も拓も、4話のラストから募った思いが溢れる中で、それをコントロールできない…不器用なキスシーンは、後半戦の2人の恋模様を描いていくうえで、大切なシーンとなりました。
また、作品自体が佐弥子の物語なので、拓のキイナ(伊原六花)からの気持ちの移り変わりなどはみなさんにはお見せできないままで、表情から読み取るしかない描き方をしているのですが、実は1つ禁じ手として5話のお風呂のシーンで拓のモノローグを入れて、「彼の気持ちがここから大きく変わりますよ」というのをちらっとお見せしたんです。そういう意味でも、5話はマイハルにとって、ターニングポイントな回と言えます。
「マイハル」道枝駿佑の“初心な演技”作り秘話
― 道枝さんの作る「拓」の初心な感じの雰囲気が視聴者から注目を集めていました。
塩村:キイナにずっと告白できなかった男が、突然キスがうまくなるわけもなく(笑)、そういうお芝居を要求した部分もあります。拓は、家族から愛を注がれて育ってきたわけではないので、愛情表現が得意ではないんですが、自分の愛が受け入れられた相手に対してキャラが崩壊してしまうぐらい心を開くんです。そういうキャラクター設定もあって、自分の大好きな佐弥子が泣いていることに対していろいろな考えを巡らせたうえで、不器用さ全開の愛の伝え方をするのが、拓らしいんじゃないかと思いました。
― 「お腹痛い?」と聞くシーンも面白かったです。
塩村:北川さん(脚本)のセンスだと思うんですけど、拓は恋心に鈍感なので、目の前で女の子が泣いたら「どっか痛いのかな?」と思ったという…(笑)。私たちも何回かツッコみましたが、「お前、そうじゃないんだよ…」と思わせてしまう、まさに“拓”という部分をすごくこだわって書いてくださったんです。
― 拓からの“胸キュン”な言動を受けて「トゥンク」と佐弥子が呟くなど、SNSでも使用されるようなキャッチーなワードを用いられていると思いますが、そういったシーンでのこだわりもあるのでしょうか?
塩村:やっぱり、佐弥子の思いとして自分よりも10歳下の彼氏ができて1つひとつ絶対にキラキラして見えるはずなんですが、それを真に受けてぼーっとしているだけだとお話が転がっていかないので、このようなモノローグなどで「キュンキュンさせるんじゃないよ!」など、つい視聴者の方々がテレビを観ながらXに投稿してしまうようなことをあえて佐弥子に言ってもらっています。佐弥子のキャラクターとしてもいいですし、視聴者の人たちも乗っかりやすいと思ったんです。
「マイハル」佐弥子や拓のキャラクターを魅力的にする裏設定
― 佐弥子は経済的に厳しい家庭育ち、拓は複雑な家庭環境と、暗いバックボーンを映しながらも明るく描くために心がけていることはありますか?
塩村:佐弥子には、どん底でも生きていかなきゃいけない、ハングリー精神みたいなものを絶対に持ってほしかったんです。家族が金銭的に裕福じゃないうえに長女なので我慢しているんですが、にぎやかな家族の中で楽しく育ってきたという明るい設定は大事にしています。キャリアやスキルが足りていない事情も、メンタルの強さや明るさ、前向きさを全面に打ち出してカバーしていけるキャラクターになるといいな、と思っていました。
拓に関しては、ミステリアスやクールといった設定があったと思うんですが、実際にはそういうこともないんですよね(笑)。1話では単に「人見知り」しているということが、そう見えているという…。家庭環境の問題は重い子ですが、本人的には一旦そこを全てシャットダウンして好きな建築に全振りしているところに、佐弥子さんが来たことによって、もっと自分の何かを外に出していいことがわかっていくような設定を付けていました。ちなみに裏設定ですが、拓は大学1年の時に佐弥子さんという少し不思議な女の人に会ったり、キイナから「好きなものは好きって言えばいい」と背中を押されたりすることで、刺激を受け、寮のメンバーとの交流の仕方も変わり、1話ラストの佐弥子との再会の時の「拓」に変化していったつもりです。
「マイハル」寮のインテリアにこだわり
― 物語の舞台である「サグラダファミリ家」は建築学科の生徒ということもありインテリアも特徴的ですが、こだわっているポイントを教えてください。
塩村:やっぱり“サグラダファミリ家”なので、今住んでいる子たちだけではなく、今まで住んできた子たちの要素みたいなのも残したいと話していました。例えば、レンガに書かれている“サグラダファミリ家”という文字の周りに手形を付けたアイデアは、撮影の直前に生まれましたが、シェアハウス感が出せたと思っています。
佐弥子がいま住んでいる部屋は、甘すぎないオレンジ色の壁紙とチェックの壁紙をツートンで使っているのがポイントで、OL時代から使い続けている家具やぬいぐるみもそのまま持ってきたりして、物を大切にする一面を演出できたらと思っていました。拓の部屋は「かっこよさ」を全て詰め込んだような部屋です。アンティーク調の飾りや廃材を使った勉強デスクなど、こだわりが強いものが散りばめられています。
「マイハル」最終話の見どころは?
― 最終話の見どころを教えてください。
塩村:2人がお別れしているなかで、拓が帰国しますが、再会したとはいってもすぐには元の関係に戻らないんです。佐弥子が大学を出てどんな選択をするかはちゃんと描いていかなければならないと思っていたので、彼女がどういうビジョンを描いて卒業に向かっていくのか、 そしてそこに拓がどう関わっていくのかが、10話で描かれます。すんなりと元には戻らない関係の2人が素敵な最後に向かっていくんですが、ラブコメ要素のある、2人らしいゴールを用意できたと思っているので佐弥子が4年間で何を学んで、拓と出会って、どう卒業していくのか楽しみにしていただけたらと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』最終話あらすじ
日向(安藤政信)に抱きしめられる姿を拓(道枝駿佑)に見られ、困惑する佐弥子(広瀬アリス)。一時帰国で戻るところだという拓と短い会話を交わし、拓は出国ゲートの方へと去って行くが……。
卒業が目前に迫る中、内定をもらった大手設計事務所の内定者懇親会に出席するも、佐弥子は自分がその会社で働くイメージが持てないと落ち込んでいた。そんな中、気分転換をしようと思い出の場所に立ち寄った佐弥子は、思いがけない人物に遭遇し…!?
さらに、卒業設計に躓き、教授から厳しい言葉をかけられて自分の進みたい道が分からなくなってしまった佐弥子。そんなある日、佐弥子はたまたま見かけた子供向け建築模型のワークショップで建築士の折戸基子と出会うのだった。
30歳で学び直しを決意して大学に入り直して4年間の大学生活を経て新たに社会に出る白玉佐弥子は果たして自分らしい幸せを掴むことができるのかーー!?
【Not Sponsored 記事】
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