今作は、ABCテレビが今年4月に立ち上げた、日曜よる10時全国ネットの連続ドラマ枠第3弾となる10月クールの作品で、脚本家・浅野妙子の書き下ろし恋愛ドラマ。大切なものを失いながらも懸命に生きる男女が、運命的にめぐり会う切なくも美しい純愛物語となっている。

ピアニストになる夢に挫折し、現実から逃れるように東京から神戸に引っ越してきた主人公・河野美璃を演じる堀田。記憶を失ってしまう“解離性健忘”という障害を抱えながらも、キッチンカーを運営し懸命に生きる青木空を演じる萩原とは、4度目の共演で初めての恋人役となる。

地上波連ドラ初主演・堀田真由、作品を通して伝えたい希望

― 地上波連続ドラマでは初主演ということで、今作への出演が決まった時の率直なお気持ちを教えてください。

堀田：まずは、主演という形で真ん中に立たせていただけるのはとても嬉しいことですし、初めてということは何度でもできることではないので、楽しみたいなという気持ちで撮影に臨んでいます。

― 堀田さんが演じる河野美璃に対してや今作について、堀田さん自身はどのように感じていますか？

堀田：生きている中で、自分自身がのんびりしているなとか、人と比べて小さく見えてしまう瞬間はやはりありますよね。SNSの普及などで、自分自身を大切にするというより、周りと比べることをすごく感じてしまうのは私も理解できます。

この話を全部読んだ時に、特に空は過去でも未来でもない、今という瞬間をすごく大切に生きている人なので、自分がのんびりしちゃっているのかもと思ってしまった今日という日は、きっと全く無駄な1日じゃなかったんだなと思えました。もしかしたら大切な人に出会ったり、そのような出来事がこれから来る前の日常だったりしたのかもしれないと思うと、すごく前向きになれると、この作品で感じています。

それぞれのキャラクターたちが、人と出会って自分の居場所を見つけていく物語なので、見てくださる方にも自分の居場所となるような、希望となるような作品になるんだろうなと思って、私も意識しながら演じていきたいなと思いました。

― ほかにも役作りで意識されているところはありますか？

堀田：セリフの中で「自分は社会の役に立っていない」というような言葉が出てくるのですが、自分自身は10代からこの仕事を始めているので、意識をしていなくてもどうしても芯の強さが出てしまうんです。最初は「社会の役に立っていない」という言葉が似合うような人で、全話を通して最後にすごく成長したねという見え方にしていきたいので、そこはかなり計算をしてやっていきたいと思っています。

堀田真由、芝居に対する変化

― 今回地上波の連続ドラマでは初主演ですが、ドラマ初主演は「サロガシー」（2021／フジテレビ系）。題材的には少し異なりますが、当時初主演を飾った時と、今地上波の連続ドラマで初主演を務める中で、ご自身で感じている変化はありますか？

堀田：作品に対する気持ちはもちろん全て変わらないのですが、大きく変わったなと思うのは、この数年で自分自身がお芝居を楽しめる余裕ができたことです。「サロガシー」の時も、主演を務めることに対して頑張らなきゃとすごく背負ってしまっていたと思うのですが、そうなるとどうしても1番大切なことをちょっと忘れちゃうんです。その当時にできるベストは尽くしていたのですが、そこから2年くらいでいろいろな作品をやらせていただいて、いろいろな現場を経験して、自分を信じてそこに立てるようになって、自信を持てるようになりました。

― ここまでがっつりとしたラブストーリーは久しぶりですよね。

堀田：そうですね。実は、今までラブストーリーに少し苦手意識があったんです。作品を見るのは大好きなのですが、自分が演じるとなるとちょっと気恥ずかしいと言いますか、イメージができなくて…。そういう意味でも今作は自分にとっての挑戦にもなります。

堀田真由、吉高由里子らから刺激「1番素敵だなと思った姿」

― 地上波連続ドラマでの現場の座長として、現場でのあり方で意識していることや、これまでの出演作の中で刺激を受けた主演俳優さんはいますか？

堀田：現場でのあり方は、あまり変わらないかもしれないです。作品によって変わるわけではないのですが、これまでいろいろな作品で座長の姿を見させていただいてきた中で、座長が意識的にコミュニケーションをとってくださるのは1番素敵だなと思った姿でした。過去の作品だと「危険なビーナス」（2020／TBS系）で先輩の吉高由里子さんと妻夫木聡さんとご一緒させていただいた時はすごくそれを感じて、私もまだ当時は20代前半だったのですが、たくさんの先輩方がいらっしゃる中でもお2人が近い場所にずっといてくださって、コミュニケーションを取ってくださったことがすごく嬉しくて。すごく緊迫感のあるシーンもあったのですが、その中でもリラックスしないと良いお芝居は生まれないと思うので、私はその現場がすごく好きだなと感じました。

― 堀田さんも今回の現場で座長としてコミュニケーションを取っていますか？

堀田：…まだできていないです（苦笑い）。（※インタビュー当時は撮影に入ったばかり）本当はあまり大人数が得意ではなくて、人が多いところも苦手だったり、あまり自信がなくて自分の発信することがどう伝わるんだろうと考えてしまったりするんです…。だけど、やはり踏み出さないと、言葉にしないと人には伝わらないこともあると感じているので、今回主演という形で携わらせていただくこの作品の中で、今までは先輩方に甘えさせていただいていたところを、今度は自分自身が体現していきたいなと思っています。

今回の作品では、大先輩の方もいらっしゃいますし、年齢が近い方もいらっしゃるのですが、年齢という数字にとらわれず、みんなが自分たちの思ったことをその場で表現できるような現場にしていきたいです！

堀田真由「甘酸っぱい」萩原利久と4度目の共演で本格ラブストーリー

― 萩原利久さんとのご共演は4回目となりますね。

堀田：初めてお会いしたのが10代の時で、映画「あの日のオルガン」（2019）という作品だったのですが、作品の中では全く関わりがない役だったんです。その作品も「たとえあなたを忘れても」と同じ関西での撮影だったので、初めてお会いしたのも関西という偶然が重なりました。

ドラマ「3年A組ー今から皆さんは、人質ですー」（2019／日本テレビ系）で学生役として出演した時に席が前後だったのでそこで仲良くなって。「ラジエーションハウスII ～放射線科の診断レポート～」（2021／フジテレビ系）では幼馴染の役で、萩原さんが私を好きになるけど、私は彼に対しては幼馴染みの感情しかないという役柄だったので、今回「あ、4度目の共演にしてやっと結ばれそう。お互いの矢印が同じ方向に向きそうだな」と感じました。

いろいろな関係性を演じさせていただいているので、すごく楽しみです！オリジナルストーリーで、どのように話が進んでいくかがわからない中、萩原さんは同い年ですし、作品に対していろいろなことを話せる人だなと思うと、本当にご一緒できて良かったな、萩原さんで良かったなと思いました。

― ビジュアルの撮影の時などは恥ずかしそうにしている瞬間もありましたね。

堀田：恥ずかしいです。撮影期間として一緒にいる時間が長かったのが「3年A組」だったので、大人になった同級生と再会して恋をしている感覚です。萩原さんも「なんか2周くらい回って逆に恥ずかしいね。変に意識しちゃうよね」と言っていました（笑）。甘酸っぱいですね。

インタビュー後編では、葛藤を続ける役者人生の中でも仕事を続ける理由、夢を叶える秘訣に迫った。

（modelpress編集部）

「たとえあなたを忘れても」第1話あらすじ

ピアニストになる夢を諦め、東京の実家を離れて神戸に一人移り住んだ河野美璃（堀田真由）は、音大時代の奨学金返済を抱えつつも、神戸在住の従兄弟で心療内科医の遠山保（風間俊介）見守りの下、音楽教室のピアノ講師としてささやかな生活を送っている。そんな日々の中で美璃は、帰り道の公園で初めて見かけたキッチンカーに、大好きなメロンジュースがあることを知る。今の美璃にはちょっと手が出ない高級品。だが、大事な予定が控えたある日、美璃は景気づけに購入を決意。この一杯が美璃に、店主・青木空（萩原利久）の微笑みと、何かが始まる予感を運んでくる…。

堀田真由（ほった・まゆ）プロフィール

1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。アミューズ主催の「オーディションフェス2014」に応募し、WOWOW賞を獲得。2015年、WOWOWドラマ「テミスの求刑」にてデビューを果たした。NHK連続テレビ小説「わろてんか」（2017）で注目を集め、その後、テレビドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」（2019）や、映画「かぐや様は告らせたい～天才たちの恋愛頭脳戦～」シリーズ（2019・2021）、「ハニーレモンソーダ」（2021）などの話題作に多数出演。2022年はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、2023年はNHK総合ドラマ10「大奥」と時代劇での好演が続いたほか、フジテレビ系月9ドラマ「風間公親－教場0－」、主演映画「バカ塗りの娘」などにも出演。2023年3月29日には、初の写真集「MY（読み方：マイ）」を発売した。