「青春高校3年C組」生徒と佐久間宣行プロデューサー(C)テレビ東京

佐久間宣行プロデューサーが語る「青春高校3年C組」の変化 枠移動で開化した才能・生徒たちの成長…「それぞれの夢をちゃんと見つけて欲しい」<インタビュー>

2020.08.23 08:00

2018年4月よりテレビ東京にて放送中の青春ドキュメントバラエティ「青春高校3年C組」(毎週月曜深夜0時12分~)。それまで夕方帯だった放送枠が、4月から月曜深夜に移動、放送地域も拡大し変革期を迎えている。モデルプレスは佐久間宣行プロデューサーにリモートインタビューを実施し、番組の変化や7月29日に2ndシングル「好きです」をリリースしたアイドル部について話を聞いた。

「青春高校3年C組」が2ndシングル「好きです」リリース

同番組は、秋元康氏と「ゴッドタン」などの佐久間プロデューサーが手掛け、漫画やドラマの中でしか見たことのない、誰もがなんとなく想像する「理想のクラス」である3年C組の成長を描く青春バラエティ番組。

2020年1月にシングル「君のことをまだ何にも知らない」でメジャーデビュー。ドラマ「あなた犯人じゃありません」(放送未定)の制作も決定するなど、これまで以上に幅を広げて活動している。

「青春高校3年C組」深夜帯に移動して変化したこと

― まず、4月から番組が深夜帯に移動して放送地域も拡大されました。移動する前はどんな狙いがありましたか?

佐久間:生放送の番組から始まって収録に変わって、そこから深夜に移るということだったのでより自由になったと思って、まずは生徒たちの魅力を出すのと同時にちゃんと面白いバラエティを作りたいという気持ちが最初に来ました。今数ヶ月経って当初の目的通り達成できているような気はしていて、“アイドル番組だから”とか“10代の番組だから”とかそういう理由をつけてある程度大目に見れるということではなくて、ちゃんと番組として面白くなっていると思います。生放送で毎日だった頃はある程度成長記録みたいなところもあったので。

― 企画自体はどのように変わっていったのでしょうか?

佐久間:やりたいことと生徒たちを掛け合わせて考えるんですが、生徒たちが成長しているからどんどん面白く変わっています。最初は10代特有の悩みをドキュメント仕立てて企画にしていたんですけど、今は生徒たち自身が努力したいこと・やりたいことを企画に掛け合わせるようになりました。情緒や価値観の成長に合わせて企画を作っているという感じです。

「青春高校3年C組」企画からオンエアまで…リモートで生徒とコミュニケーション

「青春高校3年C組」生徒(C)テレビ東京
「青春高校3年C組」生徒(C)テレビ東京
― 生徒の意見もすごく反映されていますよね。具体的にはどういう風に企画を立てているんでしょうか?

佐久間:作家とディレクターと僕である程度ひな型を作った後に生徒にあててみて、「できる子が何人以上いるから1尺作れます」みたいな感じで想定して、それを生徒に振って上がってきたものにアイデアを乗っけてあげて、面白かった上位7人くらいがオンエアされる感じです。

― 自粛期間中も生徒さんと密にコミュニケーションを取られているなと感じたんですけれど、具体的にスタッフさんと生徒さんはどういうツールで連絡をとられているんでしょうか?

佐久間:マネージャーがアンケートを一斉に投げる以外は、結構こまめにZOOMで打ち合わせをしていますよ。リモート収録になって良い点は生徒が自宅から参加できることで、収録の2日前とかに自宅で一回試してみたりしています。

「青春高校3年C組」リモート収録で才能が開花したメンバーは?

― 5月からほとんどリモート収録だと思うんですけれど、リモートになってから特に才能が開化したと思う生徒さんはいらっしゃいますか?

佐久間:これは間違いなく日比野芽奈。元々性格が優しいから集団でいると気を遣っちゃって「どうぞどうぞ」とやっちゃうんですよ。振られたら頑張るけど、周りの目も多少気にする子だから。でもリモートは自宅で1人なので、準備してきたものがちゃんと出せるから真面目な子が目立つようになってきてるんですね。要は集団の中にいると気を遣ってあんまり前に行けない子がリモートだと、1人ずつの座席をもらえるからすごく跳ねるようになってきてて。日比野とかおばちゃん(宇都木彩乃)とかきめしゅん(木目田俊)とか黒木美佑もそうかな。やっぱり集団でいると遠慮しちゃって自分から喋れないんですよ。それがワンショットで振られると気を遣わずどんどん才能を開化させているイメージがありますね。

「青春高校3年C組」視聴者層に変化「ライトなファンがすごく増えた」

― 深夜帯になってから反響はどうでしょうか?視聴者層に変化は感じますか?

佐久間:反響はもうすごく増えていますね。やっぱり夕方の時間帯は、あんまり若い人がテレビを観ていないというのがあったので、深夜帯になる前はどうなるのかなと思っていたんですが、認知が格段に増えたし、好きになってくれる人が増えたなと感じます。

― 以前は主婦の方や、元々アイドルファンの方が多かったんでしょうか?

佐久間:親子連れの方とか、あとは本当にコアなアイドルファン。どの時間帯でも観てくれるようなコアなアイドルファンの方が多かったんですけど、今は結構ライトなファンがすごく増えてきてくれた印象があって、良いことだなと思ってます。入り方としては「〇〇が可愛い」ぐらいなんだけど、番組を観てみたら「バラエティとしても面白かったからずっと観ます」みたいな人がすごく増えてきています。

― 生徒と同年代の10代の方とかも?

佐久間:10代もいますね。いわゆるアイドルオタクと言われる人よりももうちょっと若い層のファンが増えてきた感じなので、10代後半から20代半ばとかでしょうか。

「青春高校3年C組」MCも三四郎&バナナマン日村勇紀の3人体制に

― MCも三四郎さんとバナナマン日村勇紀さんの3人体制となりました。変化は感じますか?

佐久間:三四郎は元々生徒との距離が近かったんですよ。相田(周二)さんは相変わらず、生徒のLINE LIVEの配信も観に来てくれるくらい。日村さんはやっぱり毎週やって下さっているから、生徒たちの誰が面白くて誰がこの企画が得意なのか、とかをすごく分かって下さるようになりました。週一だったときはやる企画がある程度偏っていたんですけど今はオールジャンルバラエティの企画をやるときに日村さんもいて下さっているので日村さんが生徒たちのことを知れば知るほど番組自体が面白くなっていっていると思います。

― 収録後にMCの方とスタッフさんで「この生徒のこういうところが良かったね」と言った話もされるんでしょうか?

佐久間:日村さんと三四郎とも、毎回収録が終わる度に「あいつ面白かったね―」とか「あいつもっとこうすりゃこっちがイジりやすいから」とか、そういう軽い反省会みたいなのは、ガッツリではないですけど毎回話していますね。それでスタッフにフィードバックしています。

秋元康氏の関わり方は?気にかけている生徒

― 秋元康さんとは定期的に番組について打ち合わせをされているんですか?

佐久間:してますよ。オンエア全部観て下さっているので「この子が面白いからこれを歌に反映しよう」とか、そんな感じの関わり方をして下さっています。番組の演出自体はほぼ任せて下さっているんですけど、番組の中で面白がっている子の長所をもっと伸ばしてあげたい、としてくれています。

― 秋元さんが最近特に気にかけてる生徒さんは?

佐久間:全員好きなんですけど、西村瑠香かな?西村のあの自然体でガツガツしすぎてない感じを秋元さんはすごく面白がっていますね。

LINE LIVE連携やYouTube企画の狙い

― LINE LIVEと連携している狙いは、制作側でありますか?

佐久間:そこまで明確にあるわけではないんですけど、生徒たちがリアルにメインで使っているSNSの1つなので。ただ個別にやっていたら全然シナジーがないので番組とLINE LIVEをちゃんと連動させてイベントをやっていきたいなと考えています。

― LINE LIVEのアプリから来たファンの方もいらっしゃいますか?

佐久間:以前は関東ローカルだったので、番組は知らないけど配信を観ていて「この子が可愛いから好きになりました」ということはありました。

― YouTubeチャンネルも沢山更新されていると思うんですが、企画は生徒が中心になってされているんでしょうか?

佐久間:元々は生徒の意見だけでやっていて、4月くらいからはYouTubeのプロも入ってきて一緒にやっています。

― YouTubeからファンを増やす狙いもありますか?

佐久間:まあやっぱりあの世代の子たちにとってはテレビより近しいメディアですから、そうやって親近感持ってもらうのも大事かなと思います。

佐久間P「青春高校3年C組」コロナ禍のMV撮影に込めた思い

青春高校3年C組アイドル部(C)テレビ東京
青春高校3年C組アイドル部(C)テレビ東京
「好きです」のMVは、クラスメイトに会えなくなる夏休み前のもどかしい思いがコロナ禍の現状と重なるように描かれた切ない青春ソングに。監督を務めた佐久間プロデューサーを中心に、緊急事態宣言明けのロケ撮影で、バラエティの手法を活用したサプライズを企画。

アイドル部13人は当日までロケ地を知らされず、最寄駅から1人ずつスタッフが現場まで連れてくるという徹底ぶりで個別の撮影が進み、1人きりで寂しく撮影を行っていると、そこに別のメンバーが現れるというもの。ドッキリの洗礼を受けた13人は最後に全員で中庭に合流し、ラストのダンスシーン撮影に挑んだ。

― MVはすごくエモい仕上がりになっていました。ドッキリはどういう経緯で思いつかれたんでしょうか?

佐久間:コロナで当初やろうと思っていたものが全くできなくなったので、最初はリモートだけで撮ろうかという話が上がっていたんですけど、自粛期間中に沢山新作を皆観たくないだろうと思ったので制限が解けてから曲は出そうという風に決めていたんです。それだったらその期間に個人で練習して再会させるというテーマにした方が今の時代に出す意味があるんじゃないかなと思ったのがきっかけです。

― 「自粛期間中に沢山新作を観たくないだろう」というのは?

佐久間:これは他のテレビに関する取材のときも言っているんですけど、リモートで離れることになったときに皆の心情的にこの状況を上手く活かしたもの、と大々的に言われてもなんか観たくないんじゃないかなという気がしたんです。面白いものを観る心の余裕がまだない気がしたので。なので自粛期間中はちゃんとニュースを観てもらってある程度心の態勢が整ってから面白いものを出すのが大事なんじゃないかなと思ったんですよね。

あとは、災害があったときって今までは被害者とそうではない人たちがいて、被害者を支えるためのコンテンツがあったりしたけど、今回は皆家に籠もっていなければいけないのでほぼ全員被害者みたいな感じなんですよ。こんな状態はあんまりないから、そんな中だと新しいものというよりは日常を感じさせる内容の方が観たいんじゃないかなという気がしました。

― 実際のMV撮影で、生徒たちの生のリアクションはどうでしたか?

佐久間:監督をやりながら仕掛け人をやっていたので、再会の瞬間は全部僕いなかったんですよ。というのも僕がいると生徒は僕のリアクションを気にしてしまって「どういうこと?」と僕の顔を見てしまうので。その直前まではいましたけど、実際の再会の瞬間はちょっと離れて見ていて、顔見知りのスタッフは外しました。

― 監督としてできあがった作品をご覧になっていかがでしたか?

佐久間:良い素材が撮れていたので、後はあの子たちのストーリー、感情のラインにのっとって編集するだけでしたね。すごく良かったです。

佐久間Pが語る「青春高校3年C組」アイドル部の強み

青春高校3年C組「好きです」web盤/頓知気さきな、日比野芽奈、持田優奈(C)テレビ東京
青春高校3年C組「好きです」web盤/頓知気さきな、日比野芽奈、持田優奈(C)テレビ東京
― 今は多くのアイドルグループが存在する中で、「青春高校3年C組」アイドル部の強みは何だと思いますか?

佐久間:まずは仲の良さとあとは性格が良いというのと、面白いことが大好きという気持ちですね。やっぱり芸人さんとずっと絡んできたので。

― 「性格が良い」というのは?

佐久間:性格が良いというか、「青春高校」自体が元々陽キャじゃなくて中高の頃あんまり友だちがいなかったからもう1回青春をしたい、という生徒が集まってくるので、そういう意味で言うと、ちょっとずつ自分を出せるようになって友だちといるのも楽しくなって「毎日笑えるようになって嬉しい」という子が多いから、僕はなんか背中を押してあげたくなります。ほとんどの子が今までの人生が上手くいっていたわけじゃないので、他のグループは分からないですけど、ちょっと違うんじゃないかなと思います。

日比野芽奈考案のキャラクター“桃山あすか”の人気が爆発

― 他の部活の活動については今後どう考えられていますか?

佐久間:まずはオンラインでも劇場公演を早めに復活させたいですね。それで復活させた上で、やっぱり週1の番組の中だとバラエティとして活躍できる子に焦点が当たってしまうので、他の子はライブとかから頑張ってもらって、そこで表現したい生徒も沢山いると思うので。

― 今後、特にプッシュしていく部活などはありますか?

佐久間:それはあんまり決まってないですけど、それぞれの部活に新曲が来ていて、その曲がすごく面白くて良いので、それをどういう風にあの子たちがモノにできるかというのはちょっと興味があります。あとは日比野が作ってきた“桃山あすか”というキャラクターが変な盛り上がり方をしていて、勝手にやってきたんですけどMCも面白がっているし、LINE LIVEも桃山のときだけコメントと視聴者数が爆発してたんですよ。僕らが仕掛けたものでも何でもないんですが、日比野が楽しんでやっているんだったらコンテンツとしてやりようがあるのかなと思っています。

佐久間P「それぞれの夢をちゃんと見つけて欲しい」生徒への思い

― では、番組が始まるときの触れ込みであった「漫画やドラマの中でしか見たことのない、誰もがなんとなく想像する理想のクラス」になっていると思いますか?

佐久間:理想のクラスというよりは、今はそれぞれあんまり自分の青春を送れなかった子たちが友だちを見つけて楽しくやる、という意味での理想のクラスはできたと思っていて、またそこから夢や生きていく意味を見つけたりして友だちと一緒に成長する場所というイメージがあります。成長するということは理想じゃないことも沢山あると思うんですよ。その場所にいるのは楽しいけど成長はできないし、学校はいつか卒業しなきゃいけないから。「ずっとここにいろよ」というのはあの子たちの人生のためにならないので、それぞれの夢をちゃんと見つけて欲しいという時期に入っていると思います。そのために沢山背中を押したいと思っています。

― 卒業の定義はあるんでしょうか?

佐久間:ないです。だから面談して、やりたいことがあったり、「この時期にこういうことやった方がいいよね」という子がいたらという感じです。

― では最後に、今新しい視聴者も増えていると思うので、「気になっている」という方に向けて番組自体の魅力を改めて教えて下さい。

佐久間:今時珍しいぐらい、本当に素人に近い10代から20代前半の子たちと、バラエティのプロのMCたちが、毎回手探りしながら化学反応で作ってるバラエティ番組です。今までそんなに人生が上手くいってなかった子たちが、一生懸命頑張って、それが面白くなったり、感動したりっていう、バラエティとドキュメントの両方が楽しめるものになっていると思うし、これからグイっとさらにもう一段階面白くなりそうな気がしています。正統派美少女もいるしずっと引きこもりだった男の子もいるし本当に個性的な生徒ばかりでどういう入り口からでも応援したくなる子が見つかると思うのでぜひ時間があればご覧頂きたいと思います。

「青春高校3年C組」アイドル部インタビューも公開中

(左上から時計回りに)持田優奈、日比野芽奈、頓知気さきな、川谷花音/リモートインタビュー(C)モデルプレス
(左上から時計回りに)持田優奈、日比野芽奈、頓知気さきな、川谷花音/リモートインタビュー(C)モデルプレス
モデルプレスでは「好きです」リリースを記念し、表題曲を歌うアイドル部の頓知気さきな、日比野芽奈、持田優奈、川谷花音の4人へのインタビューも公開している。(modelpress編集部)


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