【柳楽優弥×SixTONES松村北斗インタビュー前編】Netflix「九条の大罪」実写化に込めた覚悟 2人が語る“最大の強み”と衝撃作の裏側
真鍋昌平氏による衝撃のコミックを、実写化したNetflixシリーズ「九条の大罪」(4月2日より世界独占配信)。主演の柳楽優弥(やぎら・ゆうや/35)と共演のSixTONES松村北斗(まつむら・ほくと/30)が、法とモラルの境界線を極限まで問う本作の実写化に込めた覚悟を語ってくれた。配信ドラマだからこそ踏み込める表現の“深度”、そして日常に潜む闇に切り込む物語の真価とは――。挑戦的な一作に挑む2人の情熱に迫る。【インタビュー前編】
Netflixシリーズ「九条の大罪」
原作は、国民的ダークヒーロー漫画「闇金ウシジマくん」の作者・真鍋氏による同名コミック。法とモラルの境界線を極限まで問い、これまでタブー視されてきた日常に潜む闇に切り込むことで現代社会の真実の物差しを揺さぶる作品となっている。「依頼人を守るのが弁護士の使命」という信念を貫き、半グレやヤクザなど、厄介な依頼人の案件ばかりを引き受け、世間から“悪徳弁護士”と呼ばれる主人公・九条間人を柳楽が演じる。そして、彼とともに働くことになる東大卒のエリート弁護士・烏丸真司役を松村が務める。
「九条の大罪」実写化への想い
― まずは、本作のオファーを受けた際の心境を教えてください。柳楽:那須田淳プロデューサーや土井裕泰監督をはじめとするTBSのレジェンドの方々がNetflix配信という形で「九条の大罪」を手掛けられ、そこに自分が参加できることがとても嬉しかったですし、ワクワクしました。業界の“ビッグボス”たちが、配信の世界に来られるというのは、非常に頼もしく、何より面白い試みだなと感じました。
松村:まず「九条の大罪」という大きな作品にお声がけいただいたことに驚きました。また、これほどまでに緊張感が張り詰めるダークな世界観の作品に、松村北斗を起用しようと思ってくださったことが嬉しかったです。自分自身に対してどこか臆病なイメージを持っていたので、なぜこの世界観に松村北斗を入れようと思ってくださったんだろう、という驚きが大きかったです。
柳楽優弥&松村北斗、作品の“核”としての自負
― 原作には思わず目を背けたくなるような描写も多いですが、実際に演じてみてどのようなことを感じましたか?柳楽:実際に起こり得るようなリアリティのある事件が題材になっていて、そこをしっかり描いている作品だと感じました。だからこそ、物語のリアリティとファンタジーのバランスをどこまで深く攻めるのか、という点は現場に入る前から気になっていたところです。だから、作品に求められているものに対してしっかりと応え、ここぞという急所を的確に攻められるような作品になればいいなという願いを込めて撮影に臨みました。
― そうした表現の深さについて、松村さんや監督と話し合うことはありましたか?
柳楽:監督とは事前にしっかりと打ち合わせをさせていただきましたが、何より僕と北斗くんの2人が作品のコアになれたこと。それが僕自身、今作で一番興奮した部分であり、最大の強みだと思っています。また、劇中で描かれる事件の加害者・被害者を演じる方々も素晴らしい俳優さんたちが集まっています。現場を共にして、それぞれの魅力が存分に発揮されている作品になっていると確信しています。
― 松村さんはいかがですか?
松村:劇中では実際にこの世で起きている事件も多く描かれていますが、そうした現実は、頭では分かっていても自ら見に行かなければ触れられないものですし、どこか、見に行くこと自体が不謹慎だと感じてしまう部分もあると思います。これだけSNSを通じて人と人が繋がりやすい時代だからこそ、逆に遮断されている領域といいますか。そうしたダークな実情を題材とした作品において、僕たちが責任を持って“パイプ”となることで、登場人物たちの表情やセリフが、作品という枠を超えてみなさんの日常に溶け込んでいけるのではないかと考えています。もちろん、描かれている出来事は決して前向きなことばかりではありませんが、あえて一歩引いた視点を持つことで、僕自身は前向きな気持ちで作品に向き合っていました。
「九条の大罪」の真髄――表現者としての覚悟
― 改めて、本作の実写化への率直な想いを教えてください。柳楽:例えば、Netflixで「イカゲーム」シリーズが世界的にヒットしているのは、それだけ視聴者の心に深く刺さる内容だったからだと思うんです。僕の推測にはなりますが、人間が普段隠してしまうような部分を思い切りさらけ出す表現に、どこかカタルシスを感じる方も多いのではないでしょうか。「九条の大罪」は、人間のダークな一面や犯罪を真正面から描いていますが、こうした作品に触れることで「知らぬが仏」と「無知は罪」の間を行き来するような感覚があって。この狭間で揺れ動く感情こそが、視聴者の方々にとって何かを知るきっかけになるのではないかと感じています。
先ほど北斗くんが言ったように、目を背けるだけでなく「改めて知る」ということが、一つの成長のきっかけにもなるはずです。単なるエンターテインメントにとどまらず、事実に触れるという側面においてもリアリティを持って挑んでいる作品だと思うので、そういった意味でも大きな価値があると思っています。
松村:僕は普段アイドルとして活動していますが、アイドルという存在が担っているのは、やはり“陽”の要素を届けるという部分が非常に大きいと思っています。そうした“陽”を求めている方々が、一歩踏み込んでこの作品に辿り着いた時、その方の中でエンターテインメントの幅がどのように広がっていくのか、僕自身とても楽しみです。
ただ、ここまで生々しく、肉体的な痛みを伴うようなグロさを描く作品に携わらせていただく機会は多くなかったので、僕自身も心拍数が上がるような感覚がありました。でも、この作品で大事なのは、そうした表面的な描写だけではありません。雫(石川瑠華)のように、人生や日常そのものに潜む淀みに潜精神的なグロさも描かれています。映像の衝撃に圧倒されながらも、その奥底にある人間ドラマに深く潜り込んでいくことで、肉体的な描写を超越した何かを感じ取っていただけるのではないかと思っています。
柳楽優弥&松村北斗が語る「九条の大罪」撮影秘話
― 劇中には様々な依頼人が登場しますが、特に印象的だったエピソードは?柳楽:雫(石川瑠華)や曽我部(黒崎煌代)のエピソードは、とても印象的でしたね。実際の日常で起こり得そうな事件を題材にしているのですが、それぞれのキャラクターの中に、どこか他人事とは思えない共感ポイントが散りばめられている気がします。全く同じ境遇ではなくても、人間なら誰しもユニークな面や、時にはダークな面があるものだと思います。そうした複雑な人間模様の中に、不思議と自分を重ね合わせてしまう瞬間がきっとあるはずなので、そういった面からも楽しんでいただきたいです。
― 京極役のムロツヨシさんは普段のイメージとは異なりますが、共演されてみていかがでしたか?
柳楽:まず、ムロさんに入れ墨が入っている姿なんて初めて見ましたし、僕の中でもムロさんが京極を演じるとどうなるんだろう、と未知の感覚がありました。普段は周囲を笑顔にすることに長けているムロさんが笑いを一切封印して悪役に徹している姿は、とても見応えがあると思います。
松村:ムロさんが本来持っているユーモアが、むしろ“凶器”のように見えました。
柳楽:たしかに。そのユーモアセンスが、ある種の知性に見えてくるんですよね。
― 接見室でガラス越しに会話するシーンも印象的ですが、撮影の裏話や思い出を教えてください。
松村:アクリルパネルが思っていたよりも分厚くて、とにかく声が届かない(笑)。実際の接見室にはマイクとスピーカーが備わっているのですが、それなしで段取りをしてみたら本当に何も聞こえなくて驚きました。
柳楽:表情から汲み取ってたよね(笑)。「今あっちが口を閉じたから、次はこっちが喋る番だな」みたいな。
松村:そうなんです(笑)。相手が口を閉じたからこっちが話し始める、という。
柳楽:途中でスタッフさんが「あれ、声が全く聞こえていません!」と気づいてくださって。
松村:それでマイクとスピーカーを仕込んでいただきました。
柳楽:接見室ならではの体験でした。
柳楽優弥、座長として描く“日本作品”の未来
― 柳楽さんは座長としてどのような意気込みで現場に立たれていたのでしょうか。柳楽:ここ数年、民放のテレビドラマや映画という枠組みの中に配信作品という新しい形が加わり、視聴者の方々に刺さるポイントがそれぞれ違うと感じています。配信作品というのは、ドラマと映画、それぞれのプロフェッショナルたちが集結して作り上げるもの、というイメージが僕の中にはあります。また、世界的にヒットしている韓国作品の存在も大きいです。特に「イカゲーム」がエミー賞を受賞したことは、そんなことがあり得るんだ、と大きな衝撃でした。それはつまり、日本作品でも同じことが起こり得るということであり、配信の世界ではそれが決して非現実的な夢ではなく、十分に可能な時代に突入しているんだ、という意識を持って作品に挑もうと決めていました。やっぱり、革新的なことが起こる方がワクワクしますから。
― そんな柳楽さんの背中を見て、松村さんはどのように感じていましたか?
松村:常に現場の士気を高くキープし続けてくださる、そんな座長の在り方だったなと思います。仕事に向き合う時、全員が同じ目標に向かって100%のエネルギーを注ぐことは、ある意味では当たり前のことかもしれませんが、柳楽さんはそれ以外の“余白の時間”の中で無理に「頑張りましょう!」と鼓舞するわけではなく、今お話しされたような高い志や、いろいろな会話を通じて、自然と現場の士気を高めてくださる。なんとなくみんなの体温が上がっていって、より大きなエネルギーを放出できる。全員が自発的に同じ方向を向いているような感覚にさせてくれるんです。柳楽さんが力ずくで引っ張っているのではなく、みんなが自発的にエネルギーを高めていると錯覚させてくれるような…。この技術、全現場に必要だと思います(笑)。どうしても撮影が進むにつれて疲労との戦いになってしまうものですが、それを一切感じさせない座長でした。
柳楽:そう感じてくれるバディが隣にいてくれたからこそ、僕もその士気をキープできていたんだと思います。僕1人で思っていても、そうはならなかったはずです。だからもう、最高の“ナイスバディ”です(笑)!ぜひ、作品をご覧ください(笑)。
★インタビュー後編では、約6ヶ月の撮影を経て深まった2人のバディとしての絆や、互いの芝居に受けた刺激について語ってもらった。
(modelpress編集部)
柳楽優弥(やぎら・ゆうや)プロフィール
松村北斗(まつむら・ほくと)プロフィール
1995年6月18日生まれ、静岡県出身。2020年にSixTONESとしてCDデビュー。俳優としても高く評価されており、映画『夜明けのすべて』(24)で「第98回キネマ旬報ベスト・テン」主演男優賞を受賞。2026年には「第50回エランドール賞」受賞のほか、「第49回日本アカデミー賞」にて優秀主演男優賞・優秀助演男優賞・話題賞の3冠を達成。近年の主な出演作は、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(24)、『アンサンブル』(25)、映画『ファーストキス 1ST KISS』(25)、『秒速5センチメートル』(25)など。待機作に映画『白鳥とコウモリ』(26年9月4日公開)がある。もっと詳しくみる
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