大河「べらぼう」監督から見た横浜流星の“惚れる”姿「常に真剣勝負」 中村隼人とのバディのような関係性も【深川貴志ディレクターインタビュー中編】
俳優の横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)の第7回が16日に放送される。演出を手掛ける1人・深川貴志ディレクター(第4回、第6回、第7回などを担当)がモデルプレスらの合同インタビューに応じた。中編では、監督から見た横浜の主演としての姿や、長谷川平蔵宣以役の中村隼人との現場でのエピソードなどを聞いた。【中編】
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
本作は“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児・蔦屋重三郎(横浜)が主人公。森下佳子氏の脚本で、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマを描く。吉原の“伝説の花魁”・花の井(五代目瀬川)役を小芝風花、幕府“新時代”を目指す改革者・田沼意次役を渡辺謙が演じる。なお、15日から16日にかけて、第1回から第6回が一挙再放送。NHKプラスで一気見もできる。
「べらぼう」横浜流星&中村隼人、高め合う現場での姿
― 第6回から第7回にかけて、蔦重と平蔵(中村)との関係性が大きく変化しているように感じましたが、その点についてはどのような構想がありましたか?深川:それについては森下さんの台本による部分が大きいです。2人の出会いが非常に印象的だったこともあり、関係性の変化が自然に描かれています。平蔵さんは蔦重を特別に元気づけようとしているわけではなく、自分の立場から接しているだけなんですけど、結果として蔦重が平蔵さんからエネルギーをもらうような展開になっていきます。この関係性が今後どうなるかはまだ分かりませんが、2人はすごく対等な関係にあるんだなと思って、武士と町民という違いを取っ払った対等な関係が築かれていくのかなと思います。
― 現場で横浜さんと中村さんのやり取りの中で、演出していて印象に残った場面などはありましたか?
深川:元々2人ともすごく仲が良くて僕が入る前からたくさん話し合っていました。特に第6回の最後のシーンについてはよく話し合って、最初のドライからすごく良い空気感でしたね。一方で、「平蔵が真面目な好青年になりすぎていないか?」とか「蔦重に寄り添いすぎているのではないか?」という不安もあったのでそのあたりも含めて話し合い、「平蔵らしさをもっと出していこう」となりました。中村さんはとても瞬発力があって色々な表現を試してくださるんです。中村さんが「今のはどう見えた?」と聞いて横浜さんが「今のだとこういう印象受けるよ」と応じて、2人で演技を高め合っていて、そういう意味ではとてもバディでした。
主演・横浜流星は「本当にストイック」アドリブも多数
― 改めて感じている横浜さんの凄みや印象的なやり取りがあれば教えてください。深川:惚れるというか(笑)。単なる「かっこよさ」だけではなく取り組み方が本当にストイックなんですよね。僕たちは台本を元に作品を作っていきますが、その台本は何度も何度も練り直して完成します。横浜さんはその過程を理解していて一緒に本作りはしていないはずなのに一緒に本作りをしているような感覚に現場でなります。「このシーンでこのセリフを言うためには、事前のこのシーンでこう感じておきたい」というように細部までしっかり考え抜いていらっしゃって、これほどしっかり考えてくる俳優さんがいるんだなと印象的です。また、ご自身が出演していないシーンまでよくご覧になっています。考えすぎると演技が固くなったりするものですが、横浜さんの場合は考え抜いた上で、それを自然に表現できるので本当にすごいと感じました。さらに、僕は声が好きで、大きな声を出す場面はもちろん、小さく囁くようなセリフも、誰のためにどんな気持ちで発しているのかがしっかり伝わってくるなといつも感動しています。
― そういったアイデアや工夫は、横浜さんご自身から提案されることが多いんですか?
深川:多いですね。演出担当によっても違うかもしれませんが、横浜さんは常に「こういう演出はどうですか?」とか「こんな表現を試したい」と自分のアイデアを表現してくれます。平蔵との初対面シーンの見栄の部分も彼のアドリブで、「なるほど、ここでそう来るか!」と驚かされることが多いです。
― 第7回でもアドリブ部分はありますか?
深川:第7回の中で吉原細見を作るシーンがあるのですが、そこはもう何度も撮影を繰り返していて、最終的には「お任せします」という状況になりました。蔦重、次郎兵衛(中村蒼)、新之助(井之脇海)の3人がそれぞれのキャラクターを活かしながら自由に演じてくれたので僕はほとんどほったらかしですごく楽しいシーンになったと思います。
― 深川さんから見て、横浜さんはどんな座長ですか?
深川:本当に「こんなに考えて来てくるならこっちも恥ずかしい仕事はできない」と背筋が伸びる思いが毎回あります。僕が考えていなかったところを横浜さんが深く掘り下げてきて「そっちに行くのか!」と思うことが何度もありました。例えば劇中の本づくりの場面でも「何でこのシーンでこれを今作っているんだろう?」という部分を、しっかりと理解し、自分の中に落とし込んでからお芝居をされるので、当然のことかもしれませんが僕の準備不足は一瞬で見抜かれるし、常に真剣勝負という感じです。
「直虎」「らんまん」からの寺田心の成長語る
― 第4回の田安賢丸(寺田心)と田沼とのシーンでは賢丸が非常に憤った姿が印象的でした。深川さんは以前大河ドラマ「おんな城主直虎」や連続テレビ小説「らんまん」で寺田さんとご一緒されていましたが、改めて彼の成長についてどう感じられていますか?今回の役柄についての印象や、撮影時のエピソードがあれば教えてください。深川:「おんな城主直虎」の頃からご一緒していて、その当時は現場で心くんを抱っこしたりもしていたんですが本人にその話をしたら覚えてなかったです(笑)。 あたりまえですが身体的に大きく成長していますが、役者としての成長も本当に感じます。当時はまだ「可愛らしい」という印象ですが、今はこんなに繊細な表現ができる俳優になったんだなと驚いています。今回の役柄である賢丸は幼少期に病弱でありながら、兄とともに後継者として育てられました。家族の中では当然兄の方に期待が寄せられていましたが、彼自身も文武両道に励み非常に立派な青年だったと言われています。その姿を心くんがしっかりと体現してくれていると感じます。ただ家の中では常にトップに立つ存在ではなく、白河家へ送られる立場にあることからどこか不安定な側面も持っていて、その不安定さを心くんが演じることでよりリアルに表現できているのではないかと思います。幹ではなくしなやかな枝のような存在感とでも言うのでしょうか、それを本人が意識しているかは分かりませんが、ドンと構えているのではなく風に揺られてしまうような若い賢丸をとても上手く表現してくれています。田沼への怒りはあるもののまだ経験も力も足りず、兄を失った心細さを抱えながらもそれでも立ち向かおうとする姿がよく伝わってきました。特に田沼に偽文書を見せられた時の揺れ動く表情や立ち振る舞いは本当に素晴らしかったと思っていて、繊細な演技が表現できる非常に貴重な俳優さんなんだなぁと勝手にジーンとしています。
★後編に続く
(modelpress編集部)
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第7回 好機到来『籬(まがき)の花』あらすじ
蔦重(横浜流星)は今の倍売れる細見を作れば、地本問屋仲間に参入できる約束を取り付ける。しかし西村屋(西村まさ彦)と小泉忠五郎(芹澤興人)が反発し、阻もうとする。もっと詳しくみる
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