モデルプレスのインタビューに応じたmilet、中島健人(C)モデルプレス

中島健人、miletの歌唱シーンで涙止まらず「感情が引き出されたことがこの映画の答え」2人を導いた“運命的な出来事”とは【「知らないカノジョ」インタビュー】

2025.02.03 07:00

映画「知らないカノジョ」(2月28日公開)で主演を務める中島健人(なかじま・けんと/30)と共演するmilet(みれい)にモデルプレスがインタビュー。中島が号泣してしまうほど、素を出して臨んだmiletとの撮影とは。「運命」をキーワードに、2人の人生を変えた“出会い”についても語ってもらった。【モデルプレスインタビュー】

  

映画「知らないカノジョ」

ポスタービジュアル(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
ラブストーリーの名手・三木孝浩監督の最新作は、成功した男が、隣にいた最愛の人と出会っていない、ふたりの立場が逆転したもう一つの世界に放り出され、“愛の試練”に立ち向かう物語。主人公のリクを演じた中島は、隣にいた愛する人を失う危機に際し、必死に奔走する情けない姿をも自然体の演技で好演。ヒロインのミナミに抜擢されたmiletは、すれ違いに悩む妻とトップアーティストを演じ分け、大いなるサプライズをもたらした。

中島健人&milet「初」づくしの映画での覚悟

― まず、中島さんはソロとしての再出発後初の映画への出演で、miletさんは映画自体が初めての出演となりましたがいかがでしたか?

中島:大きな転換点で挑戦させてもらって、ある種期待が大きい分、不安も大きかったです。でも、リク自体が不器用なので、むしろそのときの自分と重なる部分が大きくて、当時の自分の精神性で映画に臨むことができて良かったと思います。新しい自分にとってのスタートの時期だったからこそ、チームのみんなと一緒に大きく1歩踏み出す時期を過ごせたことが印象深いです。

実はずっと前から三木さんの作品のファンだったので、 このタイミングだったんだ…!と。ずっと我が社の俳優がたくさん起用されていましたが、なかなか来ないな、タイミングがなかなかないな…と「アオハライド」(2014)ぐらいからずっと思っていました(笑)。

中島健人、milet(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
milet:常に新しいことをやりたい人間なので、映画は想像もしてなかったことでしたが、シンガーソングライターの役ということもあって楽しみの方が大きかったです。三木監督、主演が中島さんということで不安なところがあまりなく、実際に雰囲気もすごく良かったので、私にとって整った環境だったことへの感謝もいっぱいあります。

ステージに立つときは緊張しないタイプなんですが、久々に緊張を味わいました。レッスンや座学を受けて、学生時代には映画理論の勉強もしていたのに、もうまったく歯が立たないというか…。音楽現場はどちらかというとオタク気質な人が集まるような仕事場が多くて、もちろんそういった現場も好きなんですが、それとはまた全然違うスタッフさんと濃密な時間を現場で過ごさせていただいて、デビュー5年目にして新しいことに挑戦できる環境をいただけたことがすごくありがたいですし、数ヶ月経っても忘れられない楽しい現場でした。

「国民を背負った歌姫」「王子様」…中島健人&milet、お互いに持っていた印象

― それぞれ共演することを聞いたときはいかがでしたか?

中島:国民を背負った歌姫…すごい方が来たなという印象でした。演技をされるイメージがまったくなかったから未知に対しての期待がありました。日本ではレディー・ガガのように精力的に映画に挑戦して女優とアーティストを行き来している人が少ないイメージでしたので、稀有な存在になっていくのだろうなと感じています。

milet:言い過ぎです(笑)。でも、私も最初は王子様が来る、と思ったんです(笑)。何度か歌番組でご一緒させていただいたことがあったんですが、ちゃんと話したことはなくて、どんな方なのかわからなかったけれど、本読みのときにお会いしたらリクのお茶目な部分も感じられるような親近感のあるオーラをまとっていて、中島さんが演じることにすごく安心しました。

milet、中島健人(C)モデルプレス
― ギャップはありましたか?

中島:miletさんはクールビューティーなイメージでしたが、天真爛漫なところもあって、「城から降りてきて城下町を見に来た姫」みたいな(笑)。現場に新鮮さを感じていらっしゃる部分もありつつ、明るくてすごく話しやすい方です。音楽に対する向き合い方もプロフェッショナルで、一人のアイドル、アーティストとして尊敬しますし、いいセッションができました。

milet:突き詰めながらリクを作っている姿は想像通りのストイックさで尊敬します。あと、空き時間の会話ではオタク気質なところもありました(笑)。勢いがすごかったです。映画のことももちろんですが、なんといっても「遊戯王」のお話はすごかった!どの現場でも熱くお話しされているんですか?

中島:ちゃんと聞く体制を持ってくれて、熱弁を受け止めてくださったから…(笑)。

milet:撮影が終わる頃には全巻くれました(笑)。面白かった!「遊戯王」も「中島健人」も(笑)。

中島:ありがたいですね。

中島健人、狙いすぎない「素」を大事に 赤裸々すぎて「大丈夫かな?」

三木孝浩監督、中島健人(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
中島健人、milet、三木孝浩監督(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
― 三木さんの世界だからこそ感じた部分はありましたか?

中島:細かいディレクションももちろんありましたが、自由にやらせてもらえた部分が多くて、信頼してもらえていたことが嬉しかったです。三木監督の究極の演出と人柄のおかげで、鎧を着る必要もなく、すべての歯車がちゃんと噛み合っていた気がしました。こうした作品にはなかなか出会えないので、すっぴんの自分を見せられた気がしますし、その分赤裸々すぎて「大丈夫かな?」と思うぐらい。偶然の産物で生まれるいい景色みたいなものに出会える貴重な機会となりました。

狙いすぎると上手くいかないタイプなので、今回は狙わない美しさを追求しましたが、監督に狙う部分を取り除いてもらえたことと、miletさんが一緒に戦ってくれたおかげで、リクとしての真髄にたどり着けた気がします。

― 狙いすぎずに取り組むことも難しい部分がありそうです。

中島:表現の向け方は基本的にぶれていませんが、僕の場合は狙いすぎると違う方向に行ってしまうときもあるんです。今回は自分にとっての正解にたどり着きたくて、意識的に狙わないことでこの映画での素の演じ方は見つかったかもしれませんが、それが他の映画でも通用するかはわかりません。やっぱり作品作りはアンサンブルで、1人だけ頑張って指揮をしてもオーケストラがついてこない…そうしたことを改めて感じさせてくれましたし、ある種完璧な意識で作品にぶつかるとそういう瞬間は生まれないので、補い合っていくことこそが演技だと思いました。

中島健人、眞島秀和、milet(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
― 中島さんにとっては、ヒロインに相手にされないような立場が新鮮なのではないでしょうか?

中島:やっぱり普段はキャーキャー言われる側なので、ミナミに冷たく反応される場面は本当にショックでした(笑)。ファンサ(ファンサービス)をもらったり、うちわに気づいてもらったりした後のライブで覚えてもらえてなかったときのファンはこんな気持ちなんだ…と本職に対する考え方も変わりました。普段から憧れられるアーティストの“milet”がミナミを演じたからこそ作られたものだと思います。

milet、演技経験なしから映画抜擢 中島健人と打ち解けることが鍵に

milet(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
― 確かにmiletさんは初の映画とは思えない佇まいでした。

milet:歌を作るとき、特に主題歌を作るときは誰よりも脚本を読み込んで何かをたぐり寄せて歌の世界に投影したいという意識があるので、そうした読み込む力は活かされたと思います。いつもは1人で曲を作っているけれど、今回の主題歌「I still」はミナミと作ったような感覚。自分だけの視点じゃなく、もう1人の視点を作ることが、曲作りにとってもっと世界を広げられるいいスパイスになりました。

演技の経験がないので準備はしましたが、実際はその場にリクがいてくれるからできるキャッチボールのような感覚でした。リクとして接することはもちろんだけど、リクの裏にいる中島健人さんという人と打ち解けていくことも、ミナミとリクの関係をぎゅっと濃密にする鍵だったと思います。ライブにおいても同じで、1人で歌っているときは特に感情が生まれなくても、オーケストラやバンドが一緒にいると涙が出てくるような瞬間があるので、そのときごとの空気を感じることもすごく大事なんです。

中島健人、miletの歌唱シーンで号泣した理由「恥ずかしいぐらいに自然に出てくる感じ」

― 歌唱シーンも感動的で、見どころの一つだと思いますが、撮影を振り返っていかがでしたか?

milet:歌唱シーンが私のクランクインだったんです。そのときはまだミナミがどんな人物像なのかはっきりと掴めていなかった時期でしたが、そこから撮影を重ねて、最後に再び歌ったシーンはmiletとはちょっと違って、完全にミナミになっていました。撮影期間でリクとミナミの関係性ができあがって、その思い出がミナミの思い出になっていて、それを思い出しながら歌えたことがすごく幸せでした。

中島:序盤にmiletさんが路上でギターを持って歌うシーンがあるのですが、引き込む力がすごくて泣きそうでした。最初のリハの段階で鳥肌が立ってうるっときちゃったんですけど、監督に止められて(笑)。

milet:「まだ早い。ダメだよ」と(笑)。

中島:脚本を知っているからこそ、すごく伝わるものがありましたし、日々の自分にとっての心の中で流れる楽曲になって、この作品に素敵な曲を寄り添わせてくれていると実感しました。

milet(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
― ではその後に撮影した歌唱シーンでも涙してしまった?

中島:もうすごかったですね。すごかった。ボロボロです。恥ずかしいぐらいに自然に出てくる感じ。何テイクか撮ったんですけど、すべて新鮮な気持ちで臨めたことが不思議でした。アーティストのmiletを知った上で聴いても、聴いたことのない表現、届け方の楽曲になっていて感動したんです。実際のライブで「I still」が歌われた日には洪水が起きるんじゃないか、というぐらいの力がある曲。役柄に思いを馳せすぎてしまった分、すごく感情が引き出されたことがこの映画の答えでした。

中島健人&miletが感じた「運命」

milet、中島健人(C)モデルプレス
― 最後に、「運命」がテーマとなっている作品ですが、お二人がこれまでの人生で感じた運命的な体験を教えてください。

milet:フルートの先生との出会いは運命的で、小学校の文化祭の管楽器を体験できるブースで出会って、そこからクラシックが好きになって、大学に入るまでフルートを吹き続けたんです。フルートを吹くときと歌うときは呼吸の仕方が似ているんですが、その先生のおかげで体作りができて今の音楽に繋がりました。クラシックに没頭したからこそ、その後のロックとの衝撃も大きくて、あのとき出会っていなかったら音楽の道は目指していなかったのかな、と思っています。

中島:オーディションです。14歳のときに新しい自分に出会いたくて「昨日までの自分じゃダメだ」とオーディションに行き、それが新たな人生のスタートになりました。中学3年生から自分をリブランディングしようと決意して、どう自分を出していくかと考える時間もなく最初から腹を括っている人間だったから、自分から手放したものも多い分、その勢いでロケットスタートができたのかもしれません。

残酷だけど、中学時代は教室の中が社会で、自分の表現をすればするほど浮いてしまう感じがあって、輝かしい時間もあれば後ろ指を差される時間もありました。「じゃあ俺、教室が狭いかも」と思ったことがオーディションに向かうきっかけになったんです。ただ結局どこへ行っても同じ社会だとは感じているので、だからこそ進化を求める性格なのかもしれません。

― ありがとうございました。

中島健人&milet取材裏話

差し入れのマスカットを前にインタビューを行っていたことを受けた、miletの「マスカットにインタビューしているみたい」といったお茶目な発言で場が和みつつ取材が開始。偶然ハイトーンでそろった2人の髪色は映画での役柄とはまた違った印象をもたらしていたが、中島「(アーティストとして)デビューするんじゃないかな?」、milet「ユニット感が強い!」といった会話もあり、緊張感を感じさせない和気あいあいとした雰囲気でスタジオ全体に笑いが溢れた。(modelpress編集部)

中島健人プロフィール

中島健人(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年11月にSexyZoneのメンバーとしてデビュー。2024年3月にグループを卒業し、ソロアーティストとしての活動をスタート。その後、キタニタツヤとのユニットGEMNを結成、7月にテレビアニメ「【推しの子】」第2期のオープニング主題歌「ファタール」を配信リリース。2024年12月25日にはソロデビューアルバム「N / bias」をリリース。俳優としても活動し、近年の主な出演作に、映画『ラーゲリより愛を込めて』(22)、主演映画『おまえの罪を自白しろ』(23)、海外ドラマデビューとなるHuluオリジナル「コンコルディア/Concordia」(Huluにて独占配信中、毎週金曜新エピソード更新/全6話)などがある。

miletプロフィール

milet(C)2025「知らないカノジョ」製作委員会
2019年、1stEP「inside you」でメジャーデビューし、翌年「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。2021年には初の全国ホールツアーを行い、『東京2020オリンピック』の閉会式での歌唱が話題に。映画やドラマ、アニメへの曲提供も多く、最近ではドラマ「スカイキャッスル」(EX/24)、日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS/24)、アニメ「『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」(23)や「葬送のフリーレン」(24)などを担当。2024年初のアジアツアーを敢行し、全公演チケットは完売。さらに同年末「輝く!日本レコード大賞」にて最優秀歌唱賞を受賞するなど国内外問わず活躍し続け、今作が映画初出演作となる。
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