松坂桃李、コロナ禍を経た今伝えたいこと 時代劇に懸ける熱い想い「世間の捉え方を変えていきたい」【「雪の花 ―ともに在りて―」インタビュー前編】
映画「雪の花 ―ともに在りて―」(2025年1月24日公開)で主演を務める俳優の松坂桃李(まつざか・とおり/36)にモデルプレスがインタビュー。松坂が救われた言葉・共演者の存在から、コロナ禍を通じ実感したこと、時代劇への熱い想いまでたっぷりと語ってもらった。【前編】
松坂桃李主演「雪の花 ―ともに在りて―」
原作は、吉村昭氏が1988年に発表した「雪の花」(新潮文庫刊)。江戸時代末期を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘と闘った一人の町医者の実話を描いた物語。松坂は、自らの利益を顧みずに、天然痘に侵された日本を救おうと立ち上がった“知られざる町医者”・笠原良策を演じる。松坂桃李、小泉組初参加に感慨
今作で映画「居眠り磐音」(2019)以来の時代劇に挑戦する松坂。「事前に史料を読み込んで、良策さんが実際にやられてきたことや、良策さんがどういう人物なのかを理解していきました。また、史料には記載されていなくても台本で描かれている場面があったら、監督と想像を膨らませながら話し合って作っていきました」と徹底した役作りを明かす。メガホンを手掛けたのは、巨匠・黒澤明監督の助監督を長く務め、自身の監督デビュー作「雨あがる」(2000)でヴェネチア国際映画祭緑の獅子賞を受賞した小泉堯史監督。初タッグとなる名監督からオファーを受けた時の心境を「オファーをいただいた時点では、まだ作品の内容は知らなかったのですが、小泉組に参加できるなんて一生にあるかないかぐらいの本当に貴重な機会だと思ったので『ぜひ参加させていただきたいです』とオファーを受けました」と振り返った。
松坂桃李が救われた言葉・共演者の存在
これまで幅広い役柄を演じ、多彩な表現力で視聴者を魅了し続けてきた松坂。数々の賞も受賞し、日本を代表する俳優の1人として高く評価されている。そんな彼でも、初の小泉組参加、加えて実在する人物を演じることに大きな緊張感があったという。しかし、共演者・監督…ともにいる仲間の存在によって、そのプレッシャーを跳ね除けていった。「(小泉監督は)リハーサルや本読みを何度も重ねる方ですが、本番に臨む時には『あとはもう自由にやってもらえれば十分だから』と声を掛けてくださります。その一言によって、僕の中では肩の荷が降りたような、緊張の糸がほどけたようなものがありました。また、リハーサルや本読みを入念にやったからこそ、あとは相手のセリフを聞いて自分から素直に出てきた言葉や表情が正解に繋がっていくと思うので、そういった意味で共演者の方々にもすごく助けられました」
助けられたという共演者の1人に、良策の師匠となる蘭方医・日野鼎哉役を演じる役所広司の名前が挙がった。今作で5度目の共演となるが、撮影を振り返り「役所さんが初めてこの衣装とメイクで出てきた時は“赤ひげ”が来たかと…(笑)。それぐらいの迫力と風貌、そして慈愛に満ちた空気を纏っていました。『利を求めず、名を求めず』というセリフもありますが、それは良策だけでなく僕自身にもくれた言葉のような気がしていて、役を飛び越えた説得力と感情がありました」と役所への尊敬の念をあらわにした。
コロナ禍を乗り越え感じたこと
本作の題材となる未曾有のウイルス「天然痘」。江戸時代末期では、死に至る病として恐れられるも予防法が見つかっておらず、病にかかった人を隔離し見守ることしかできなかった。これは、2020年頃より世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスを彷彿させる。松坂自身もそのことを強く実感し、過去と現在の繋がりを考えさせられたという。そんな彼が、コロナ時代を生きた今だからこそ感じることとは――。「本作のサブタイトルに『ともに在りて』とあるように、ともにいてくれる人がいるからこそ、何かを成し遂げることができるのだと考えさせられました。
今も昔も恐怖や不安で未知のものに手を出せない人がたくさんいると思います。でも良策には献身的な妻がいて、尊敬できる師がいて、友がいて…。いろいろな人たちの支えによって、多くの命を救うことができました。人間は1人じゃ何もできないのだと改めて強く実感しました」
松坂桃李、時代劇に懸ける熱い想い「世間の捉え方を変えていきたい」
コロナ禍から約4年――身を持って経験したからこそ、本作の描写に共感したり考えを巡らせたりする人も多いはず。その1人である松坂が、本作ならびに時代劇へ懸ける想いの強さはひとしおだ。「この作品を通じて時代劇に対する世間の捉え方を変えていきたいです。特に今回は実話を基にしたお話なので、距離感を持って観てしまうと歴史の教科書を眺めて『ふーん、こういうことがあったんだ』くらいの感覚で終わってしまいます。当時の方々がいろいろなことを成し遂げたからこそ“今”があるので、今と昔を分けて物事を考えてしまうのはすごくもったいないと思います」と力強く訴え、「コロナ禍を経験した今、渦中で戦い抜いた方のお陰で多くの人が救われているという事実を、より感じられると思うので、どんな感想を持つのかは個々の自由ですが、たくさん生まれた感想の中の1つとして受け取ってもらいたいです」と伝えた。また「日本では時代劇が年々少なくなっていますが、海外で『SHOGUN 将軍』が注目されたように、世代を問わず時代劇を観る風潮を日本でも広げていきたいです。そのためにも、時代劇に対するハードルの高さを取っ払い、いずれは現代劇と同じような感覚で観てもらえるようになったら嬉しいです。だから演じている身としても、時代劇だからといって何か特別なことをするのではなく、笠原良策として向き合い続け、フラットに参加することが大切だったと思います」と熱を込めて語った。
★後編では、松坂が考える一歩踏み出す勇気を持つ方法、“夢を叶える秘訣”などについて語っている。
(modelpress編集部)
松坂桃李(まつざか・とおりプロフィール)
1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年、テレビ朝日系ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。映画「孤狼の血」で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、映画「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。近年の主な出演作はドラマ「VIVANT」(2023/TBS)、「離婚しようよ」(2023/Netflix)、映画「流浪の月」「耳をすませば」「ラーゲリより愛を込めて」(2022)、「ゆとりですがなにか インターナショナル」(2023)、「スオミの話をしよう」(2024)など。2025年は、TBS系新春SPドラマ「スロウトレイン」の放送を1月2日に控えるほか、TBS系日曜劇場初主演作となる「御上先生」が1月19日よりスタート。5月23日に映画「父と僕の終わらない歌」、6月には映画「フロントライン」が公開予定。もっと詳しくみる
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