フジ上垣皓太朗アナ、“新人とは思えない”貫禄の裏に徹底した自己分析 先輩アナから学んだ「宝みたいな言葉」を生み出す秘訣【モデルプレスインタビュー】
2024.09.01 17:00
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2017年12月から2021年2月まで、約3年半にわたった「フジテレビ×モデルプレス」アナウンサー連載が、この度特別復活を果たした。今回は、2024年入社の上垣皓太朗(うえがき・こうたろう/23)アナウンサーにインタビュー。
「フジテレビアナウンサー×モデルプレス連載」特別復活
テレビで輝かしい活躍を果たすアナウンサーたちも1人の人間。画面から離れたところでは、失敗して泣いていたり、悔しくて眠れなかったり、自分の居場所に悩んでいたり…。それでも気持ちを落ち着かせ、どうしたら視聴者に楽しんでもらえるのか、不快感を与えないのか、きちんと物事を伝えられるのか、そんなことを考えながら必死に努力をしている。ここではテレビには映らないアナウンサーの“素”(=等身大の姿)を見せていく。上垣アナは大阪大学文学部を卒業後、2024年に入社。現在は「めざましどようび」(毎週土曜6時~)にてお天気キャスターを担当し、「BSフジLIVEプライムニュース」(隔週火曜)、「すぽると!on TVer」(隔週火曜)にも出演している。
上垣皓太朗アナ、憧れの人物とは
― アナウンサーになろうと思ったきっかけから教えていただけますか?上垣アナ:幼い頃から放送や声で話をすること、言葉に対する興味があったので、様々なアナウンサーとテレビ越しに出会った経験を通して、自分もアナウンサーになりたいと思うようになりました。
― 特にどなたに憧れを抱いていたのですか?
上垣アナ:最初のきっかけは「JET STREAM」(TOKYO FM)という番組を担当されていた城達也さんという方です。小学校低学年ぐらいの時にCDになったものを聴いていましたが、落ち着いた語りに不思議と心が惹かれていました。
上垣皓太朗アナ、復興まちづくりの経験が活きる瞬間
― 就職活動にあたってはどんなことをアピールされましたか?上垣アナ:愛媛県の西予市野村というところで復興まちづくりに関わった話、それから自分が競馬実況に取り組みたい思いを話すことが多かったです。ただ就職活動が進むうちに、自分が何かを話していることが重要であって、何を伝えようとしているかという中身は、実はそこまで大事ではないのかなとも思うようにもなり、途中からはあまり「これをアピールしよう!」というふうには考えないようになりました。
― 何を話すかより、ご自身の人柄やどのように話しているかが重要だということですね。ただ、先程の愛媛県でのまちづくりについて気になったので詳しくお伺いしたいです。
上垣アナ:(身を乗り出して)いいですか!(笑)野村というところは、松山から車で1時間半ぐらいかかる山間の小さな町です。元々人口が減っている地域でしたが、西日本豪雨の被害も大きく、その地域のシンボル的存在であった酒蔵も壊れてしまい廃業せざるを得なくなってしまったんです。お酒がとても有名な町でしたので、その日本酒を大学で復活させられないかと野村でイベントを開いたり、お酒を実際に自分で売りに行ったり、学生アルバイトという形で復興に携わる活動をしていました。
― どうして「野村」という場所に着目したのですか?
上垣アナ:私は大学で教職課程に入っていたのですが、教員免許を取ることができるだけでなく、教育の色んな見方を教わる機会が多かったんです。その中で、ある教授から「学校が子どもたちを育てるという面もある一方で、地域の皆で一緒になって子供たちを育てるという教育もあるよね。そういう1つの形を体感できる現場が愛媛にあるんだけど、君行ってみーへんか?」と大阪弁で誘われたんです(笑)。そういう面白そうな誘いは「全部1回行ってみたい」と思う性格なので行ってみたらやはり面白かったです。復興や人口減少対策などに対する1つの答えが「地元の学生が元気で、かつ、地域のために何かしたいという思いを持っているか」ということだと感じ、中学生、高校生ぐらいの年代の元気な子どもたちに出会うことができて、すごく刺激になりました。
― そのご経験が今のアナウンサーという仕事に繋がっていると思う瞬間はありますか?
上垣アナ:確実に繋がっていると思います。様々な地域のことをすごく想像できるようになりました。例えば今、お天気キャスターとして東京都内で暮らし台場に出勤して帰るという生活の範囲内で起こる「ゲリラ豪雨が降ってきたらどうしよう」などといったことは容易に想像できると思うのですが、そこにプラスして「平野部は晴れているけれども、山沿いの人は天気の急変などの心配があるかもしれない」「農林水産業に従事している人は次の台風で生活が危ういと思っていらっしゃるかもしれない」と思いながら天気を見ています。大学在籍中の期間で自分以外の人たちに対する想像力が高められたのかなと思います。
上垣皓太朗アナ、学生時代にやってよかったことは「ゆっくりとした時間をたっぷり過ごす」
― 今のお仕事にとても直結していますね。復興まちづくりのご経験はまさしく「学生時代にやっておいてよかったこと」の1つだと思うのですが、学生時代を振り返って他にも「やっておいてよかった」と思うこと、反対に「やっておけばよかった」と思うことはありますか?上垣アナ:やっておいてよかったと思うことは学生の時間を楽しむこと。社会人になってからはどうしても時間を気にしながら動かないといけないところがあると思うのですが、学生時代はそこまで厳しくなかったと感じるので、すごく取り留めのないことが面白かったと振り返ってみて思います。例えば、阪急宝塚線の沿線を電車のない深夜帯にずっと線路に沿って歩いた思い出もあります。三国(大阪市)のスーパー銭湯でお風呂入って深夜の1時半になってしまって終電がないから「このまま歩いて帰ろう」と7駅か8駅ぐらいを歩いて帰りました。その1駅ごとに思い出があったりして、千里川が流れている橋を渡る時に「東京に行ってしまったらこの音も聞くことがないんだな」とスマートフォンに川のせせらぎの音を録音したり。本当に取り留めもないことですが、ゆっくりとした時間をたっぷり過ごすということはやっておいてよかったと思います。
反対にやっておけばよかったことは多分たくさんあるはずなのですが、あまり気づいていないかもしれません。もしかしたら「あなたはアナウンサーになったのだからもっと学生時代にやっておくべきこと、身につけておくべき必要な見識がある」とおっしゃる方もいるかもしれないので「何の後悔もないです」というのは違うと思いますが、「ああ、あれをやっておけば良かったんだ」と気づけるのはもう少し先になると思います。
上垣皓太朗アナ、アナウンサー目指す学生にアドバイス
― それだけ充実した学生生活を送っていらっしゃったということですね!今アナウンサーを目指している学生の方はたくさんいらっしゃると思うのですが、上垣アナから何かアドバイスを送るとしたらどんな言葉を掛けたいですか?上垣アナ:まずテレビを見たりラジオを聞いたりして、放送に触れてほしいと思います。自分が就職活動をしていてびっくりしたことの1つが、アナウンサーを目指している人が意外とテレビを見ていないということでした。業界に対する理解があればあるだけ良いですし、実際に面接に行った時も「ここで働きたい」という気持ちが伝わると思います。
初めてオンラインではなく対面での面接に進んだ時「就活生という立場があればその業界の人でなければ入れない敷居を跨がせてもらえる機会があるのだ」と本当に嬉しかったです。会社に入れただけで、アナウンサーに会えただけで、興奮してテンションも違っていましたし、それだけでも本当に充実した顔で帰っていたと思います。
― 上垣アナのその熱い思いが面接官の方に伝わったのですね。
上垣アナ:それは間違いないと思っています。
上垣皓太朗アナ「推しアナGP」に驚き 放送にないやり取りも
― アナウンサーという夢を叶えて入社1週間後に「FNS明石家さんまの推しアナGP」グランプリに輝きました。見学中でかなり驚いたと思いますが、当時を振り返っていかがですか?上垣アナ:見学のつもりで収録スタジオに行ったら、帰りにはトロフィーを持っているという感じでしたので、とにかく驚きでした。湾岸スタジオでの収録だったのですが、しばらく興奮が収まらなかったので、一旦駅に向かったものの、近くの青海埠頭の辺りをしばらく散歩してクールダウンしてから帰りました(笑)。
― トロフィーを持ってきょとんとされている姿が印象的でした(笑)。さんまさんをはじめ共演者の方と放送には映っていないやり取りで印象的だったことはありますか?
上垣アナ:私の声が出演者の皆さんまで全然届かなかったんです…。緊張して声が小さくなっていた上に、思っていたよりスタジオで声が響かなくて、ゲストの方に「全然ここまで聞こえない」「もう声がそこでずっと落ちていくの」とツッコまれ「すみません!もう1回言わせてください!」と何度も言い直していました。とても貴重な機会でした。本当にありがたかったです。
― 先程緊張されていたとおっしゃっていましたが、私たち視聴者からは、さんまさんの問いかけにも落ち着いて答えていらっしゃるように見えました。緊張していても表に出さない方法や秘訣などがあるのでしょうか?
上垣アナ:緊張していても良いのかなと思っているので「何かこれをしよう」と思っていることはないです。ただ、お天気キャスターでいうと「自分は天気をお伝えするに値する人、ふさわしい人なんだ」と暗示をかけるようにしています。その上で堂々とできたら自分の出すどの結果もふさわしい結果なのだと思えるからです。
上垣皓太朗アナがぶつかっている壁
― 7月に「めざましどようび」のお天気キャスターとしてデビューされました。放送を重ねる中で上垣アナが今悩んでいること・ぶつかっている壁はありますか?上垣アナ:本当に課題はいっぱいあります。例えば、今暑さのことをお伝えすることが多いのですが、暑さという話題には、季節の風物詩として「この時期といえば暑いですよね」というテンションと、最近は「災害級の暑さ」で体調不良になってしまう方がいる状況下で朝に「警戒してください」と呼びかけるテンションの、2つの面があると思っています。後者では「暑いですよね」ではなくて「暑いです。気を付けてください」と強く言う必要があります。なので「今日はどの温度感・テンションが1番いいのか」というのに毎回迷っていて。朝のお天気コーナーという元々の枠に求められている明るさみたいなものもありますし「めざましどようび」でいえば決まった時間に天気を伝えるので、毎週同じ時間に時報代わりとして出てくる役割もあると思います。ゆったりとした和やかな雰囲気を自分も協力して作り出せるようにしていけたらいいと考えつつ、阿部華也子さんとのやり取りなど、本番までかなり悩んでいます。
― 温度感・テンションのお話など、視聴者の方々からどう見られるか客観的に自己分析されているのかなと感じたのですが、放送に向けてどのように準備していますか?
上垣アナ:天気のことはより普段からよく調べるようになりました。地理、気象に関して元々興味があるので、担当させてもらえて公然と好きなことができる状況になり本当に嬉しいです。土曜日の朝は起きたらまず各地警報が出てないかどうか、雨量や暑さの予報などをチェックするところから始めて「今日はどんな感じになるかな」と考えながら会社まで移動して、早めに入るようにしています。ベテランの気象予報士や天気担当のディレクターと「今朝はこういう感じですかね」と他愛もない話をしながら準備しています。
最近は原稿も一緒に作成するようになり、予報士が書いた素案を元に自分なりの言葉で変えています。予報士とは天気予報として絶対に間違いがないかというすり合わせ、ディレクターとは何曜日から何曜日が赤枠で囲われていてといった画面に出るグラフィックとのすり合わせをして、自分がチームの一員としてどうすればいいかを考えられるようにしています。
上垣皓太朗アナ、先輩のアドバイスで成長 自身の「ぴったりハマった」言葉とは
― そういった入念な準備の中で課題を抱えた時、相談する先輩はいらっしゃいますか?上垣アナ:私はあまり相談できない人間なので相談すべき時でも自分で考えてしまうことが多いのですが「めざましどようび」の先輩方にはお世話になっています。例えば、自分にとって未知の仕事が入ったのでどうすればいいか分からなかった時、西山さん(西山喜久恵アナ)にアドバイスをもらったり、スポーツに関しては「めざましどようび」の先輩で「すぽると!on TVer」でもご指導いただいている大川さん(大川立樹アナ)に相談したりしています。
― いただいたアドバイスの中で印象的なものはありますか?
上垣アナ:スポーツナレーションを担当したいということで、野球のVTRに合わせて練習したものを大川さんに送った際もらったアドバイスが印象的です。連敗を脱出したい西武ライオンズが逆転のチャンスを迎え、打席に源田壮亮選手が立ったというシーンで、僕は「打席には6番源田」と言ったのですが、大川さんに「チームとして連敗を脱出したい、最後にここで1発出れば逆転できるかもしれないという場面で、打席に立っている気迫に満ちた源田選手のことを形容するには『6番源田』ではなくて『キャプテン源田』と言わなきゃダメなんじゃない?」とアドバイスをもらいました。
それを聞いた時に競技に対する理解や選手に対する愛情を持つことで出てくる1番ぴったりくる言葉を追い求めていく努力を忘れてはいけないと感じました。ただ漫然と話していたらその宝みたいな言葉を取り逃がしてしまう。それはスポーツに限らず、お天気でも、他の報道においても、絶対に試行錯誤を忘れてはいけないのだと学びました。
― ご自身がこれまで出演された中で「これはぴったりハマった」という言葉はありましたか?
上垣アナ:「めざましどようび」の最初のロケでウナギ漁に行ってその場でウナギを調理して食べるリポートがあったのですが、煙が猛然と立ち上ってしまって目がもう痛いのだけれどもリポートを続けたく、でもうどうしようもなくなって「ウナギのことを伝えたいのでもう目をかっ開いて見たい!」と言ったんです。
― そのシーンは私も見ていてとても印象的でした!
上垣アナ:ありがとうございます(笑)。ただ自分としてはそこを使われると思っていなくて、むしろ煙が目に入って全然見えなくて困った時に「ウナギの焼き色をとにかく見たくてしょうがない」という心からの叫びが溢れて言ってしまった言葉だったんです。でも結果的に色んなスタッフに「あれはハマっていたよ」「正解だったんだよ」と言われました。作り込んで準備して言うこと、狙いに行って言うことではなくて、溢れ出る言葉が1番大事なのだと感じた瞬間でした。
上垣皓太朗アナが挫折を乗り越えた方法
― これまで挫折や失敗など1番辛かった経験を乗り越えたというエピソードはございますか?上垣アナ:僕はあまり悔しさを感じる感性がなくて、本当はもっとドーンと落ち込んでもいい場面も「まあいいか」と思えることが多いので、乗り越えるというほどではないのですが、フジテレビにご縁をいただくまでの間、就職活動の際受けていた会社で不合格になった時は少し落ち込みました。しばらく空を見て2時間ぐらい経っていたのですが、その後には振り返りができるようになっていました。
準備することも好きなのですが、振り返ることはもっと好きで「あの時の面接を1個1個思い出してみよう」「カメラテストを1個1個思い出してみよう」「あの時の社員の方にかけていただいたあの一言の意味は何だったのだろう」と銭湯に浸かりながら振り返って考えていました。そうすると、自分はあの時何かを狙いに行こうとする意図があったというか「こう思われたい」という欲があったということをとても反省して、ゆっくりそれに向き合い続けました。
すぐに気持ちを切り替えることも大事だとは思いますが、切り替えるというよりむしろゆっくりそのことを考えて、自分なりに「こうだからダメだったんだ」「ここまでは自分の責任でここまでは運の範囲だ」と腑に落ちたら受け入れられますし、その経験も味方だと言えると思います。その経験を経てとても素直に身軽な状態でフジテレビを受けたのでとても楽しかったです。何も考えることはなく、すっと全ての言葉が出てくるようになりました。
上垣皓太朗アナの夢を叶える秘訣
― アナウンサーという1つの夢を叶えた上垣アナの「夢を叶える秘訣」は何でしょうか?上垣アナ:何か1つを叶えるために努力をするということに関してはあまり得意ではないので、そんなことを語る資格はあまりない気もしますが…。大雑把に構えて自然とそうなったのが正解だと思える気持ちの持ち方は大事だと思います。
アナウンサーも確かにやってみたい仕事で夢だったということは間違いないのですが「絶対にならなければだめ」とは思っていませんでした。自分には教員という道もありましたし、全く別の仕事に就活中に出会って、そのままそちらの人生に行くという道もとても面白かったと思うんです。アナウンサーにならなかった“ルートB”の人生も多分楽しかったのだろうなと思いますし、色んな道がある中で偶然の結果に任せる、偶然に連れて行ってもらう方が好きです。色んなことに興味があるので、今選んだ道が1番幸せの濃い時間ではあるのですが「そうでない時間も幸せで、これをしている時ではないと幸せではない」ということがないという感覚です。どんな選択や未来であっても、心の健康を保てていれば恐れずに次に行ける気がします。
― ありがとうございます。それでは最後にアナウンサーとしての目標を教えてください。
上垣アナ:抽象的になりますが、本当に伝えたいこと、人生をかけて伝えたいことに巡り合いたいです。今はもちろん会社の中でありがたくも仕事をいただいて、それに対して全力で向かっているところですが「本気でこれを伝えるために自分は今生きているんだ」と思えるぐらいのことに出会えたら素晴らしいと思いませんか。
もしかしたらとてもシリアスな話に巻き込まれたり、自分が事件の取材をしていて絶対に自分なりにちゃんと検証して伝えないといけない責任を負う場面に出会ったりする可能性もありますし、競馬実況をこれから深めていって、どうしても自分の中で思い入れのある1頭の馬が引退する最後まで絶対に自分がその魅力を伝えたいと思うかもしれません。「自分が伝えたいと思うことに出会えたらいいな」というのは同期とも話していて、それぞれにこういう分野でそういう話題が見つかったらいいなというのが、どうもあるみたいなんです。そういうものに出会って、もうやらずにはいられなくなれたらアナウンサーとして本望です。
― ありがとうございました!
(modelpress編集部)
上垣皓太朗アナのとあるスケジュール
5:30 「めざましどようび」お天気コーナー原稿の検討・練習、中継先に出発6:00~8:30 「めざましどようび」お天気コーナーの中継に出演
10:15 フジテレビ夏のイベント「お台場冒険王2024」ステージで司会務める
12:30 「お台場冒険王2024」アナウンサーによる太鼓演奏の直前
上垣皓太朗アナプロフィール
生年月日:2001年1月6日出身地:兵庫県
出身大学:大阪大学文学部
入社年:2024年
担当番組:めざましどようび、BSフジLIVEプライムニュース、すぽると!on TVer
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