山谷花純(提供写真)

「新空港占拠」鶏役で話題・山谷花純「ワクワクが止まらない」撮影現場裏話・役作り秘話も<インタビュー>

2024.01.20 22:54

嵐の櫻井翔が主演を務める日本テレビ系土曜ドラマ『新空港占拠』(毎週土曜よる10時〜)の第2話が放送され、武装集団「獣(けもの)」のメンバー・鶏(重原瀬奈)の正体が俳優の山谷花純であることが明らかに。今回は山谷にインタビューを敢行し、同作への思いや今後の自身のキャリアなどについて話を聞いた。

  

「新空港占拠」鶏の正体は山谷花純

本作は、『ボイス 110緊急指令室』『大病院占拠』の制作陣が送る、完全オリジナルのタイムリミット・バトル・サスペンス。神奈川県内某所で、再び大規模な占拠事件が発生。犯人は面で顔を隠した武装集団。巻き込まれたのは複数の人質と、あの男。1年ぶりに帰ってきた刑事・武蔵三郎(櫻井)に与えられた期限はわずか1日。次々と迫りくる新たな難敵に立ち向かっていく。

鶏を演じた山谷はNHK大河ドラマや連続テレビ小説にも多数出演し、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022~2023)では源頼家の妻妾のせつ(若狭局)を好演。NHK連続テレビ小説『おひさま』(2011)や『あまちゃん』(2013)、『らんまん』(2023)に出演し、女優として着実に人気と実績を積み重ねてきた。

山谷花純「新空港占拠」出演決定は「ワクワクしました」

― 前回から話題作だった『新空港占拠』への出演が決まった時の率直な心境はいかがでしたか?

山谷:前作はもちろん知っていたので、続編はよりドラマの制作の方々も気合を入れて作られると思うので、どのくらいの規模感で撮影をしていくのだろうとワクワクしました。また、作品に出演させていただく身として、裏側も見れるから、この作品と一緒にこの3ヶ月間くらいは占拠出来るんだ!と、興奮したのを覚えています。

山谷花純(C)日本テレビ
― 山谷さんが演じられている“鶏”の役どころを教えてください。

山谷:今回、空港を占拠する敵組織「獣」は、干支をモチーフにしているんですけど、私は“鶏”を担当させていただいていて、名前は「重原瀬奈(シゲハラ セナ)」という社長秘書を職にしていた女性です。上司からパワハラを受けて、それによって自殺をしてしまった親友の同僚の復讐をするために、今回空港占拠に参加することになって、第2話で実際にお面を外して復讐をやり遂げる役どころになっています。

― 演じていく中で意識されたポイントはありますか?

山谷:空港を占拠したのにも、目的があって。ただ、話題になりたいからとか、注目を浴びたいからだけでなく、占拠を行った側にも正義だったり、目的があって、それを緻密に計算して準備して、ここまでに辿り着いて実現させる。それだけでもパワーのいることじゃないですか。「獣」1人1人の思いが強かったから、このドラマは1日という時間軸を細かく割って、物語として描かれているんですけど、すごく濃密な1日を創り上げたなと思います。ただ、「獣」の仲間内でも他人同士ではあるから、どこまで同じゴールを見ていけるのか。「集団は始まりが頂点だ」という言葉がありますが、その「獣」チームもどういう終着点に行き着くのかというのが、予想出来ないから撮影しながらすごく考えていますね。

山谷花純「新空港占拠」撮影裏側告白

ー撮影の雰囲気はいかがでしょうか?

山谷:やはりこういった話題作で、撮影現場もすごく活気があるなと感じています。その場にいるだけで、ワクワクが止まらないです(笑)。スタッフさんたちの動き方や、役者に対しての向き合い方もすごく丁寧で、私自身も勉強になりますし、良い経験をさせていただいています。あとは、差し入れがすごく美味しいです(笑)!

― 山谷さんも銃を扱うシーンやアクションがあると思いますが、そういった撮影を実際にやってみてはいかがでしたか?

山谷:今回、マントをまとってお面を被って、顔を伏せた状態でのマシンガンを持ってお芝居をするというのは、なかなか俳優をやっていて経験することのない役なんです。ちょっとした姿勢や仕草、お面を被った中でも口元のお芝居もすごく意識してやっていたので、そこは私自身も新鮮な気持ちで取り組んだので、ドラマをご覧になられる方にも楽しんでもらえていたら良いなと思います。

山谷花純、2023年は「変化が多い一年」

山谷花純(提供写真)
ー 昨年(2023年)は『らんまん』などを始め、多くの作品に出演されましたが、改めて振り返ってみてどんな一年でしたか?

山谷:目まぐるしく、変化が多い一年だったなと思います。それと同じくらい新しい挑戦をその都度、その都度、重ねた一年だったなと。変化に対しての戸惑いというか、新しい世界を自分のものにするまで、適応するまでにすごく体力を使った一年だったなと思います。

ー 先月12月26日には、27歳の誕生日を迎えられましたが、年を重ねていく中で、仕事との向き合い方や考え方に変化はありましたか?

山谷:昔はもっと自分本位で、自分のことしか考えずに仕事をしていたんです。叶えたい夢があって、これを手に入れたい。手に入れるためには、もっともっと自分を前のめりにと思っていました。あと、それと同じくらい人とも比べていました。人と比べて自分を卑下してということがすごく多かったんですけど、結局やるのは私自身だし、選ばれるのも、選ぶのも人だし、流れに身を任せることが一番近道なんだろうなということが、歳を重ねるに連れて強くなっていきました。

その分、その流れに身を任せるには、自分の中で曲げたくないものだったり、パーソナルな部分と向き合って確立していようと、24歳くらい、それこそNHK大河ドラマの『鎌倉殿の13人』に出演させていただいた時くらいから、頑張りすぎずに頑張れるようになったかなと思います。そうすると、仕事が楽しくなったし、人から向けられる目線やいただく言葉も、どんどん良い方向に変わっていったなと。私が優しくなることで、周りの人も優しく感じるようになったなという実感ですね。

山谷花純、転機となった俳優の存在

ー これまでの俳優人生で、山谷さんの力になった言葉はありますか?

山谷:この世界に入った小学校6年生から、私の感覚ではずっと運だけで来ているなと思うんです。今もその運は尽きていないと思うんですけど、本当に運と人との出会い、巡り合わせにものすごく恵まれていて、ただそれだけでは補えない部分があるんだということを教えてくれたのが、吉田鋼太郎さんでした。

鋼太郎さんとは、舞台『彩の国シェイクスピア・シリーズ』でご一緒させていただいた時に強く言われたことがあって、それは「自由にお芝居がしたかったら、努力しろ!」と。誰よりも努力して、自分が本当にやりたいことをやりなさい。と言われて。努力のやり方というのを私に教えてくれた方でした。それは、舞台が終わった今もそうなんですけど、いつもサボり始めると、その言葉を思い出して、「あぁ、もっと台本読まないと!読む回数が足りていないな!」とか、反省した時は半日くらいずっと台本を読んでいる時もありますね。でも、それは人には見えないところじゃないですか。そういう努力で何かが変わっていくんだろうなと思いますし、流れに身を任せた時に、ちゃんと良い流れの方にたどり着けるんじゃないかなと思います。

簡単に一回で覚えられたり、全部を上手く出来たらいいですが、私は不器用で人より何事に対しても理解に時間がかかったりするんです。でもそれは、負けず嫌いな性格が助けてくれていて、だから出来るようになるまでやる。ただそれだけをずっと続けています。

山谷花純、出演作に感じる魅力

山谷花純(提供写真)
― MBSドラマ特区にて放送中のドラマ『彼女と彼氏の明るい未来』では、小料理屋の店員・秋を演じられますが、山谷さんご自身との共通点など感じられた部分はありましたか?

山谷: 秋は人に対しても同じ気持ちを持てるし、人の話を聞いた時にちゃんと答えてあげられる子だと思うので、末澤誠也さん(Aぇ! group)演じる主人公の青山一郎の些細な悩みだったりとか、客観的に聞けばなかなか興味を持たれないような話も、しっかりと聞いてあげて相談に乗ってあげて、心地良いポイントで素敵な言葉を投げかけてあげられる、そんな愛が溢れている子だなと演じていて実感しました。自分に似ているかどうかは分からないけれども、そういう人でありたいなと思っています。

― 『彼女と彼氏の明るい未来』の物語について、山谷さんが感じている魅力はどんなところでしょうか?

山谷:ファンタジー要素を使って描いているラブストーリーではあるのですが、伝えたいことは現実的で、「人ってどこまで人を許せるの?」とか、「目をつぶれるの?」とか、「受け入れられるの?」とか。それでも、譲りたくても、受け入れたくても、どうしようもないことがあって。自分の心の中の衝動だったり。そんな葛藤を主人公の青山一郎は背負って生きていて、果たして彼女に対する愛情だったり、好きという気持ちはどちらが勝つのか、といったところがすごく繊細に描かれています。『星の王子さま』の言葉で、「幸福の味ってどんな味?」と台本に書かれているセリフがあったんですけど、私はすごくそのセリフが大好きで。みんなが教科書を読んで知っている物語を例題として、物語で観ている方に問いかける作品だと思っているので、すごく主人公が自分と近い距離に感じられる作品になっていると思います。

山谷花純、2024年「オロオロしないで」

山谷花純(提供写真)
― 今年はどんな一年にしたいでしょうか?

山谷:2024年は、去年の変化をちゃんと自分のものにして、それを日常にする一年にしたいなと思っています。もう少し、変化に惑わされず、オロオロしないでどっしりと構えられるたくましい人間として生きていきたいと思います。ただ、楽しく仕事をしたくて、私と一緒に仕事をする人が楽しいなと思ってもらえることが一番です。そんな時間を一分一秒でも多く重ねて、年末を迎えられたら良いなと思います。

山谷花純の悲しみを乗り越えたエピソード

ー 不安を抱えているモデルプレス読者へ向けて、山谷さんのこれまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」を教えてください。

山谷:私は、悲しいことがあった時は、“忘れない”ようにします。乗り越えているのか分からないですけれども、絶対に忘れないようにしますね。無理に忘れようとすることはないと思うし、時間が何でも解決してくれると思うので、ひたすら毎日悲しいな、苦しいな、辛いなと思って思い続けて。幸運なことに、そんな悲しい経験を物語としてお芝居に活きる時があるんです。だから、その時に、ずっと忘れないで取っておいた悲しみをお芝居に乗せて発散出来た瞬間は、乗り越えられたのかもしれないです。

自分を無理やり許す必要もないと思っていて、事実は受け止める。人って許すことが一番楽になれると思うのですが、私自身はあえて辛い方法で悲しみと向き合っているかなと思いますね。結果的に数年後に良い経験だったなと言える自分が一番良いと思っていて、きっとそうなっていくと思います。

山谷花純の夢を叶える秘訣

― 山谷さんの夢を叶える秘訣を教えてください。

山谷:夢は、その時々によって変わっていくものだと思います。1個叶えたら終わりではないし、また新しい夢が出てくるし、人はものすごく欲張りな生き物だなと思って。だからこそ、今を大切に過ごすことが、結果として、まだ見ぬ未来に繋がっていくと思うので、先にあるものを叶えるために、目の前のことを一生懸命に取り組んだり、そばにいてくれる人を大切に思ったり、ちゃんとありがとうと思った時に感謝を伝えられたり出来る人であり続けることが、夢を叶える秘訣なんじゃないかなと思います。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

山谷花純プロフィール

山谷花純(提供写真)
1996年12月26日生まれ。宮城県仙台市出身 みやぎ絆大使。2007年、エイベックス主催のオーディションに合格し、翌年ドラマ『CHANGE』でデビュー。ドラマ『あまちゃん』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『トットちゃん!』、映画『シンデレラゲーム』、舞台『ヘンリー八世』『東京喰種トーキョーグール』などに出演。2018年、映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』では末期がん患者役に丸刈りで臨み注目される。その後、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』(蜷川実花/2019)や、ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK大河/2022)、『親友は悪女』(主演/BSTX/2023)、『らんまん』(NHK朝ドラ/2023)、『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』(NHKBS/2024)などに出演、今後の活躍が期待される若手女優。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』がマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。
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