山田裕貴、杉野遥亮と真反対だからこその関係性「僕が火なら彼は水」<「どうする家康」インタビュー前編>
現在放送中の嵐・松本潤が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BSプレミアム・BS4K、毎週日曜午後6時~/BS4K、毎週日曜午後0時15分~)に出演する俳優の山田裕貴(やまだ・ゆうき/33)が、モデルプレスのインタビューに応じた。共演・杉野遥亮との関係性、こだわりがあったという目の演技についても迫る。<前編>
松本潤「どうする家康」
本作は希代のストーリーテラー・古沢良太氏が新たな視点で徳川家康(松本)の生涯を描いた波乱万丈のエンターテインメント作品。山田は家康の家臣団のひとり、“戦国最強武将”・本多忠勝(ほんだ・ただかつ)を演じる。
山田裕貴「どうする家康」クランクアップ前日の率直な心境
― (取材日)翌日、いよいよクランクアップとなりますが、現在の心境から教えてください。山田:今さっきリハーサルを終えてきたのですが(取材当時)、今までで一番気持ちが繋がっていなくて「(撮影が)明日なのにどうしよう」と心配でいっぱいです(笑)。いつも本番になれば何か降りてきてスイッチが入るので大丈夫だと思いますが…。お芝居はいろいろな人とセリフのキャッチボールをするだけではなく、表情を見て受け取ったり、相手の間に合わせようとしたり、あえて合わせなかったり、普段人間が自然にやっていることを頭の中で考えようとしたりしなかったり…いろいろなことを合わせてみて、忠勝としての思いをどう表現するのか考えるときもあれば、考えずにやれるときもあります。結果、観ている方に伝わっていたらいいのですが、多分今はまだ忠勝として、武士として戦っていたいという気持ちと引き際だから引かなければならないという思いが入り混じっている状態です。僕は引き際を分かっている武士がかっこいいと思いますが、忠勝は殿(家康)からの言葉に感化されて「もっと戦いたい」と思ってしまっている。その武士としての感覚と拮抗しているからこそ、分からなくなってしまっているのか…。僕も表現したいことがあるのですが、セットの位置やセリフ、呼吸のタイミングなど心地良く合っているときもあれば合わないときもあって、けれど上手く合っていないのが正解かもしれないし…とずっと悩んでいる状態です。
山田裕貴、家康を見る“目”に秘めた想い
― 忠勝を演じる上でこだわった部分はありますか?山田:衣装として身につけている甲冑など大事なものを見つめてみて、忠勝は助けてもらった相手に対してすごく敬意を持っていて、人のことを想っている人だと感じました。兜に鹿の角がついているのも、戦で逃げようとして迷ったとき、鹿に導いてもらった逸話から「わしを守るのは鹿じゃ」と思ったみたいです。肖像画にも描かれている数珠は、自分が殺した人も失った人も、全部背負って戦うという意味合いでつけているそうで「そこまで他人のことを背負う人なんだ」と第1回からこの考えは頭に置いて演じていました。そういったことから「武士たるもの涙は見せぬもの」と考えていたのですが、こんなにも人のことを想える人であれば誰かのために涙を流すことができる人なんじゃないかと思いました。忠勝はそういった“剛”のイメージがあると思うのですが、実はものすごく繊細でいろいろな人の気持ちを理解してその想いを受け止めて戦っている人だろうと思いました。だからこそ、自分がセリフを発していないとき、カメラが向いてないときも殿を見つめる目にすごくこだわっていました。
― 殿を見つめているときはどういう思いだったのですか?
山田:どう思うのかはシーンによって様々です。例えば、瀬名さん(有村架純)が死んでしまったときに殿を見る目は、悲しむ殿を見て悲しい、と思いながら見つめていました。
「どうする家康」ならではの「関ヶ原の戦い」
― 「関ヶ原の戦い」では、忠勝は常に家康の横にいる印象がありました。山田:そうですね。ずっと殿のそばにいることが多かったので、どうやって忠勝は殿の隣にいたのかということを考えていました。自分の想いを言葉にする部分もあまりなかったので、その意味は僕から忠勝を通して説明ができないというか、佇まいだけで殿をどう思っているのかを見せなくてはならないという難しさを感じていました。
―「どうする家康」ならではの「関ヶ原の戦い」のポイントを教えてください。
山田:「関ヶ原の戦い」には、ものすごく刀を交え合って、鉄砲の弾もバンバン飛んで…みたいなイメージがあるかもしれませんが、戦いは9月15日の開戦前から始まっていたんです。というのも、関ヶ原の地にどれだけ昔からの徳川派の武将がいるか調べると、僕と直政(井伊直政/板垣李光人)しかいないんですよ。あとは豊臣派の福島や黒田、藤堂が前線に張っていて、それが敵方にひっくり返ったら一貫の終わりです。忠勝が殿の一番近くにいたのは、きっと裏切られたとき、すぐに殿を守れるように布陣していたのだと思います。アクションでは大きく描かれていないですが、どれだけ殿の命が大切なのか、どれだけこの戦で死んでもいいと思っているのかが伝わると思います。力で戦う戦というよりも、誰についていきたいか、家康がどれだけの武将たちを引き込めるかの話で、裏切られていたら恐らく負けていたと思います。戦前から結果が決まっていたというところを「どうする家康」第43回で描いているのでそこは見どころだと思います。小早川秀秋(嘉島陸)も戦場にいながら、どっちにつくかわからないという立ち位置でしたが、小早川だけがそういう想いだったのではなく、きっとみんなそうだったんです。
山田裕貴、“真反対”杉野遥亮への思い
― SNS上では「平平コンビ」として忠勝と杉野遥亮さん演じる小平太(榊原康政)のコンビが人気ですが、「土曜スタジオパーク」では杉野さんが、山田さんについて「負けたくないと思える存在だった」という風にお話していました。山田さんにとって杉野さんはどのような存在だったのか、また平八郎にとって小平太はどんなような存在だったのでしょうか?山田:平八郎と一緒かもしれませんが、杉野氏と僕の根底にある魂の感覚みたいなものは全く違います。彼は戦国時代に向いていないと思っていて「僕、戦う気を持ってないから。でも山田くんは持ってるからいいよね」とよく言っています。多分、僕が火なら彼は水で、全然違うものとして捉えているので、“負ける、負けたくない”というより“だからいいんじゃない?”と思いますし、僕は誰に対しても“負ける、負けない”も考えていません。だから平八郎も「お前にはお前の役割があるだろ」と思います。僕が思っていることと平八郎が思っていることはもしかしたら一緒かもしれないですね。
僕も杉野氏も「ここのシーンはああしよう」という相談を常にしていたりするわけではないのですが、そうやって「平平コンビ」と言っていただけるのはすごく嬉しいです。
― ありがとうございました。
インタビュー後編では、松本に救われたこと、山田の描いた忠勝像に迫る。
(modelpress編集部)
山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、テレビ朝日系「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。2022年、エランドール賞新人賞を受賞。主な出演作に「HiGH&LOW」シリーズ(16~19)、「燃えよ剣」(21)、「余命10年」(22)、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」(22)、「耳をすませば」(22)、「夜、鳥たちが啼く」(22)、「ブラックナイトパレード」(22)、「女神の教室~リーガル青春白書~」(23)、「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(23)、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-」(23)、「キングダム 運命の炎」など。映画「ゴジラ-1.0」が現在公開中。「どうする家康」第44回あらすじ
家康(松本潤)は大坂城で、関ヶ原の戦勝報告を行う。茶々(北川景子)から秀頼と孫娘・千姫の婚姻を約束させられ、不満を隠せない。時は流れ、征夷大将軍となり江戸に幕府を開いた家康。ウィリアム・アダムス(村雨辰剛)らと国づくりに励むが、秀忠(森崎ウィン)の頼りなさが不安の種。そんな中、忠勝(山田裕貴)が老齢を理由に隠居を申し出る。
一方、大坂では大野治長(玉山鉄二)が茶々の下に戻り、反撃の機会を伺っていた。
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