大東立樹、ドラマ出演への覚悟

本作は、望まずして「夜行」（やこう）という人を襲いその血を啜る人ならざる存在になってしまった少年と少女の残酷な運命を描く、衝撃的なエロティックサスペンス。大東は夜行狩りのリーダーで、夜行に家族を殺されたため夜行を絶滅させようとする黒瀬拓実役を演じる。

「TOBE」に所属した後、すぐにドラマ出演が決まったという大東は、ドラマ出演経験が少ない中でのオファーに驚きつつも「自分が頂いた環境を無駄にしたくないと思いました」とその覚悟を振り返る。「『あの子にして微妙だったな』と絶対思われたくないし、『大東が黒瀬役やって良かったな』と絶対に思わせたいと感じています。このお仕事を頂いた日から、観てくださる方が満足してくださるお芝居がどうしたらできるのかと、毎日試行錯誤しています」。

出演が発表された際には「役作りに人一倍時間をかけたい」とコメントしていたが、今作では特に「素の自分と役に入る時の切り替え」に注力したと話す。「普段、台本を読んで練習する時も、現場でも、素の自分と役がパッと切り替えられるようにしました。このやり方は誰かに教えてもらったわけでもなく完全に我流で、自分なりに何か達成したいと思ったんです。だから僕はこのドラマで、切り替えが上達しました」。掴んだ手応えを語る表情は嬉しそうだった。

大東立樹、役に全力投球「手の震えが収まらないほど」

自身とは真逆という黒瀬。「信念を持っていてすごく男らしいのですが、登場人物の中で1番性格の変化が大きい役なんじゃないかなと思っています。黒瀬は小さい時に両親を殺され亡くしているという役ですが、黒瀬の本性に少し温かみがあることに気がつきました」。特に思慮したのはその魅力を出す瞬間。その見え隠れする心情を表現することに難しさを感じ、だからこそ全力で挑めたとも語る。

「表情は怒っているけど、心では違った優しさを持っている時もあって、全てが表に出ている感情だけではないので、本気で役に入り込みました。『演じている』という気持ちだと、お芝居くさくなってしまうと思ったんです。最終回の最後の方のシーン、ぶっ倒れる勢いで全力で演じたものがあるので注目してほしいです」。全力投球だった撮影を振り返り「カットがかかってもしばらく手の震えが収まらないほど、そのくらい感情を奮い立たせて本気で挑みました」と自信をのぞかせた。

大東立樹、“同世代”龍宮城への思いを明かす

本作の主演は、女王蜂のボーカル・アヴちゃんプロデュースの“スクール型”オーディション企画「0年0組 -アヴちゃんの教室-」で誕生したグループ・龍宮城の佐藤海音、ヒロインは女優の大原優乃が務める。大東は同世代が多く揃う撮影現場は「すごくガッツがある前向きな方たちで、負の感情が一切ない」と明かした上で、「互いに声を掛け合うというよりは、会話なしでも伝わるものがあって、そこが僕はすごく居心地が良かった。こんな環境に入れていることに日々感謝していました」とたくさんの刺激を受けた様子。

さらに龍宮城のライブに参戦して感動したとも話し、顔をほころばせた大東は「みなさん初対面ですが、撮影から1ヶ月半ほどでこの距離感になれたのは僕もびっくりです。ずっと一緒にいたかのような存在になれましたし、撮影終わりにはたくさん話をしました。とにかく僕は、みんなの出で立ちから日々の苦労・努力と、『やってやるぞ』という熱い思いを感じています。それはカメラ越しにも絶対に伝わるし、さらに面白い作品になる。そんな相乗効果になるんだろうなと思っていました」と龍宮城への思いを語った。

大東立樹、今後の夢・目標としている人は？

本作は「音楽劇 秘密を持った少年たち」として舞台化され、大東はドラマに続いてこの舞台にも出演する。ますます活躍を広げるであろう大東が描く夢はなんだろうか？質問してみると「舞台もありがたいですし、このドラマも本当に楽しくて…今後も色々なことにチャレンジしたいですが、特に映像作品で幅広い役を演じられる人になりたいです」と目を輝かせた。

そんな大東の目標とする人物は、『カメレオン俳優』とも呼ばれている菅田将暉。「僕は今18歳ですが今回は22歳の役だったこともあり、もしかしたら15歳の役もできるんじゃないかな、今の僕の年齢は意外と幅広い役を演じられるんじゃないかなと思ったんです。どんな年齢や性格の役でも演じられるように、日々色々な映像作品を観て、研究していきたいと思っています」。新たな一歩を踏み出した大東の夢は始まったばかりだ。

★インタビュー後編では、連続ドラマ初のレギュラー出演への思いや応援してくれている人たちに向けたメッセージなどを語っている。（modelpress編集部）


PHOTO：矢沢隆則

ホラーの名匠・中田秀夫監督手掛ける「秘密を持った少年たち」

ネット上で夜行の存在が噂される社会。自らが夜行であることを隠し生きる少年たちがいた。1人の少年の一途な初恋が、悲劇を招く。幼いころ、少女のために歌った大切な記憶。初めての恋を守りたいだけだったのに、夜行の血の渇きが少年を襲い、残酷な運命が少年、そして周囲の人間を変貌させていく。奪い合い、裏切り、嫉妬、いじめ、浮気―新進気鋭の若手俳優たちが、錯綜する人間関係に体当たりで挑む。

監督は「リング」シリーズや「スマホを落としただけなのに」など、ジャパニーズホラーの名匠・中田秀夫氏。完全オリジナル作品で残酷で美しい物語を描く。

なお、ドラマと連動した舞台「音楽劇　秘密を持った少年たち」も上演。この舞台はドラマ「秘密を持った少年たち」を、音楽と融合したオルタナティブステージとして表現するもので、知られざる秘密のスピンオフストーリーを、歌とダンスを用いて描いていくタイムリミットサスペンス音楽劇となる。ドラマの前日譚として、黒瀬がかつて通っていた学校で起こったある夜の悲劇が描かれる。また、舞台最後には、ドラマに登場するバンド“404 not found”としての初ライブもお披露目される。

大東立樹（おおひがし・りつき）プロフィール

大東は、2004年11月29日生まれ、東京都出身。11月17日～23日まで全10公演・日本青年館で開催される本作を舞台化した「音楽劇 秘密を持った少年たち」に出演予定。