「らんまん」万太郎&綾の衝撃展開・次週予告がない理由 制作統括が解説<インタビュー>
俳優の神木隆之介が主演を務めるNHK連続テレビ小説『らんまん』(総合、毎週月~土あさ8時~/BS4K・BSプレミアム、あさ7時30分~)。同作の制作統括である松川博敬氏がインタビューに応じ、撮影裏話を語った。<後編>
神木隆之介主演「らんまん」
本作は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎(1862-1957)の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。激動の時代の渦中で、ただひたむきに愛する草花と向き合い続けた、ある植物学者の波乱万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描く。神木が主人公・槙野万太郎、浜辺美波がその妻となるヒロイン・寿恵子、志尊淳が万太郎の生家である酒蔵「峰屋」の番頭の息子・竹雄、佐久間由衣が万太郎の姉・綾を演じるなど、豪華キャストで日本の朝に感動のひとときを届けている。
第6週では万太郎が上京。物語は高知編から東京編へと移り変わった。
「らんまん」に込めた思い
― 本作には自分らしい生き方を貫くというメッセージも込められているかと思いますが、そこに込めた思いを教えて下さい。松川:以前「男性が主演で難しいと思いますか」という質問を受けた時に、「それよりは天才を主人公に描いてくことが難しい」と話したことがありました。高知編の第5週は、万太郎だけではなく、綾と竹雄も自分の道を定めていくという話ですが、牧野富太郎という天才をモデルに描くにあたって「天才になるまでの過程をきちんと描きましょう」と長田さんとは話しました。
牧野さんをはじめとした天才たちは、多分最初からブレなかったと思うんです。特に悩みもせずに、一直線に突き進んだんだと想像しますが、「らんまん」では天才になるまでの葛藤を、想像を膨らませて描いています。実際の牧野さんと、我々の主人公の万太郎くんの一番の違いはそこにあって、等身大のキャラクターが人並みに悩みながら、やっと自分の道を掴んでいくところが第5週目まででしたね。東京編では、覚醒した万太郎くんが太陽のような存在になって、周りを照らして、周りが変わっていくという構図になっていくと思います。
序盤の5週で勝負「らんまん」制作秘話
― 視聴者の反響の中で、印象に残っている感想はありますか?松川:ネットの書き込みを見ると、大変高い評価をいただいていて、我々の思いがちゃんと届いて受け止めていただいているということにすごく感激しております。ある程度否定的な意見もあるんだろうなと覚悟していて怖かったのですが、真面目に観てくださっていて嬉しいなと思います。“ちゃんと届いている”ということでいうと「大河ドラマみたいに重厚 」とか、「序盤から飛ばしすぎて息切れしないの?」みたいな感想がありまして、とても制作状況が分かっていらっしゃるなって思って(笑)。
でも、そうなんですよね、序盤の5週にかなり勝負を掛けています。朝ドラは長期のマラソンなので、予算配分にしてもスケジュールにしても、ペースメイクをするのがプロデューサーの仕事なんです。それでもこの序盤5週分はリミッターを外して、やりたいことを全部やる、この5週でちゃんと掴もうという方針をスタッフには早めに伝えていました。そんな気合が伝わっているのが嬉しかったです。
それと、「『らんまん』は命の物語ですね」という感想が、すごく印象深いです。第1週は万太郎の母であるヒサ(広末涼子)が亡くなりましたが、植物は生命であって、命の物語なんだと目から鱗でした。それぐらい壮大なテーマを扱っているんだろうなと思います。
― なぜ好評意見が多いと思いますか?
松川:手前味噌ですが、僕自身も本当に見ごたえがある作品になっていると思いますし、自信を持って送り出しています。それをたくさんの視聴者の皆さんにちゃんと受け止めていただいて、朝ドラは注目度が高い枠だなと改めて思いました。皆さんに心から満足していただけるもの、朝ドラの看板に恥じないものを真面目に作らなきゃなというプレッシャーがありましたが、その思いがしっかり届いて嬉しいなと思っております。
「らんまん」制作統括が語る志尊淳&佐久間由衣の魅力
― 主人公の人生に深く関わる志尊さんと佐久間さんの演技も話題になっています。お2人の魅力を教えてください。松川:志尊さんは、今回初めてご一緒しましたが『半分、青い。』(2018年/NHK総合)や『女子的生活』(2018年/NHK総合)などでトランスジェンダーの役を演じられていたので、私もすごく綺麗な男性だなというイメージを持っていましたが、最近、舞台などでの活躍を見て「男っぷりが良くなってきたな」と感じていました。神木さんもインタビューなどで答えていますが、志尊さんの存在がすごく支えになっていて、志尊さんも神木さんが30歳を迎えるにあたって、大事な1年になるから僕がサポートしたいという思いで、この作品に参加してくれています。リアルな友情がそのままドラマに投影されているなと感じます。
佐久間さんは、古いしきたりに囚われてもがきながら、自分の道を探っていくという役どころで、都会の寿恵子とはまた違うタイプの女性であり、素朴さというか、とても古風な雰囲気があるところが魅力ですね。第5週の峰屋の蔵元になることを宣言するシーンは、現場で見ていても感動しましたし、すごい実力のある方だなと思います。
― 役作りで、出演者の方にリクエストしたことはありますか?
松川:あまりないですね。神木さんにはずいぶん前に牧野さんの資料本を渡しているんですけど、大河ドラマではないので、逆にそこに縛られないようにしてもらっています。神木さんも「笑顔が素敵な人だ」「魅力的な人だ」という第一印象だけを残して、長田さんが書かれた脚本を信じてやっている感じです。他のキャストの皆さんにも「実はモデルになる人は、こんな人なんですよ」とは言いますけど、それはあまり気にせず台本に忠実にやってほしいという思いがあります。
「らんまん」万太郎&綾、衝撃事実の裏話
― 本作は主人公である万太郎の人生だけではなく、綾など他の人物にも焦点を当てているような気がします。そこに意図はありますか?また、モデルとなった人物が存在するのでしょうか?松川:牧野さんをモデルにした朝ドラをやるにあたって、私は企画プレゼンの時に「学者版の坂本龍馬」ということをずっと言っていました。牧野さんを知らない方が多かったので「坂本龍馬と同時代の土佐人で、常識に囚われず、道を切り開いていった植物学者なんです」と分かりやすく説明していました。牧野さんに姉弟はいないですが、綾のイメージは坂本龍馬の姉の坂本乙女さんです。負けん気が強くて男気があるというキャラクターが1つのヒントですね。
もう1つ、牧野さんには親戚で許嫁の猶さんという方がいらっしゃって、実際に婚姻関係にあった可能性があります。 その猶さんの存在に長田さんも私もとても惹かれました。そこで長田さんのアイデアで「姉弟として育ったが、実はいとこだった、急に結婚と言われても心は付いていかないから結婚はしなかった」という設定が生まれました。本当にすごいアイデアだなと感じましたね。
― 寿恵子視点の心情まで描こうとした意図はありますか?
松川:寿恵子は鹿鳴館の準備としてダンスの修行をしていますが、新しい世界に踏み出したいという明治時代の新しい女性の象徴です。高知編のヒロインが綾だとしたら、東京編のヒロインは寿恵子に引き継がれています。
寿恵子は古い因習に縛られている綾とは違い、さらに上の新しいステージに向かっていく新しい女性として、実行実現をしようとしている存在を描いています。
「らんまん」次週予告がない理由
― 朝ドラでは毎週金曜日の放送ラストに次週予告を流すのが通例ですが、今作は次週予告がない日もあり話題になっています。そのようにした意図はあるのでしょうか?松川:実は第1週の編集前ぐらいに上司と話し合って、「予告は週によってあったりなかったりでも良い」という方針になりました。金曜日の15分を純粋に見て、予告が入った方が面白いと思ったら入れるし、本編だけで面白かったら入れない、ということです。
第5週に関しては、私が試写を見て「東京編の予告が見たい」と思ったんです。でも、お芝居も切れないということで、結果的にタイトルバックをなくしました。柔軟な運用をさせていただいているので、今後も予告を見たいと思ったら入れます。面白いものを余すことなく届けたいと思っています。
― 今後の放送も楽しみにしています。ありがとうございました。
(modelpress編集部)
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