「らんまん」佐久間由衣、2度目の朝ドラで感じた成長 神木隆之介から得たヒントとは<インタビュー>
2023.04.15 08:15
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連続テレビ小説「らんまん」(毎週月~土あさ8時~ NHK総合※土曜日は1週間の総集編、毎週月~金あさ7時30分~ BS4K・BSプレミアム)に出演する女優の佐久間由衣(さくま・ゆい/28)にインタビュー。
強い女性の役を演じることが多い佐久間だが、素顔はとても柔らかくキュート。そんな彼女が2017年度前期の「ひよっこ」以来、2度目の朝ドラ出演を果たした。
6年間の成長、芝居に対する考え方の変化とは――。共演者とのエピソードや、見どころなどとともにたっぷりと語ってもらった。
神木隆之介主演「らんまん」
俳優の神木隆之介が主演を務める同作は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。幕末・明治から大正・昭和そして未曽有の敗戦へ―そんな混乱の時代の渦中で、愛する植物のために一途に情熱的に突き進んだ槙野万太郎(神木)とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈の生涯を描いていく。佐久間が演じるのは万太郎の姉・槙野綾(まきの・あや)。気が強くしっかり者で、弟の万太郎のことを誰よりも気にかけている。幼いころ酒蔵に迷い込んだことをきっかけに、酒造りに魅了される役どころである。
佐久間由衣、2度目の朝ドラ出演
― 本作で2度目の朝ドラになりますが、出演が決まった際の心境を教えてください。佐久間:本当に嬉しくてたまらない気持ちでした。もっと自分が力をつけて、また朝ドラという場所に帰ってこられたらいいなと思いながら「ひよっこ」から巣立っていったので、改めて大事な存在の朝ドラからオファーをいただいたというのと、最初に「らんまん」のあらすじを読ませていただいた時に、すごく面白かったので、これは絶対にやらせていただきたい!という思いでどちらも嬉しかったです。
― ご自身で成長を感じた部分はありますか?
佐久間:「ひよっこ」の時よりも、自分の中で選択肢が増えたような状態で挑みたいと思っていましたが、そこが自分に対しての良い意味ではないプレッシャーになったら嫌だなと思って、これまで経験してきた作品を通して「らんまん」と向き合えたらいいなという心情で演じさせていただいています。最初は朝ドラという特別な舞台で、意気込みすぎている部分もあったかもしれませんが、今は1つの作品として丁寧に、自分の持っているものをたくさん出せたらなと思っています。
― 選択肢が増えたという実感はありますか?
佐久間:どうですかね…(笑)。「ひよっこ」の時は闘牛のように真っ直ぐ走ることで精一杯でしたが、今は周りのスタッフさんや役者さんを含めて話し合って、お互いに意見交換をさせていただく余裕は持てているような気がします。でも、昨日できたお芝居が今日はできないということがあるので、前進していると思いつつも、その場の生ものとして、毎日を乗り越えている感じです。
― 朝ドラ出演に対する思いや、考え方に変化はありましたか?
佐久間:「らんまん」は後悔がないように、燃え尽きるぐらい全力で挑もうと撮影しています。半年間も長く演じられるという贅沢なことはないので、もっと楽しもうと思っています。「朝ドラだからこういう風にしなきゃ」ではなく、もっと自由に楽しむ余裕を持ちつつも、後悔のないように、綾という役は一生やれないと思いながら大事に演じていきたいです。
佐久間由衣、神木隆之介から得たヒント
― 綾の印象を教えて下さい。佐久間:すごくしっかりしていますし、色々な環境や時代のしがらみみたいなものの真っ只中でも、決して卑屈に思わずに受け入れつつ、ちゃんと自分の意志を持って前に進んでいく姿に尊敬しています。そこに追いつけるように、自分も頑張りたいと思いながら演じています。
― 綾を演じる上で心掛けていることはありますか?
佐久間:実際に高知に行かせていただいた時に、元気でパワーがみなぎる方が本当に多いなと感じたので、強弱で言ったら弱くならないようにとか、どちらかで悩んだ時は、エネルギーを出す方向でやれたらなという意識は常にあります。
― ご自身との共通点はありますか?
佐久間:世話焼きなところぐらいかなと思います(笑)。私は世話焼きな方なのですが、綾のようにテキパキと周りを見ながらはなかなかできていない気がします。
― 万太郎との仲睦まじい関係性も見どころの1つかと思いますが、神木隆之介さんと姉弟役を演じる上で話し合ったことがあれば教えて下さい。
佐久間:具体的に話し合ったことはないのですが、現場の中で空気感をお互いに感じつつやらせていただいています。神木さんご自身がいつも自然体で、少年の心を常に持って現場にいらっしゃるので、個人的には万太郎と重なるなと思う瞬間も多いです。そのおかげで、綾と万太郎の関係性のヒントをいただけている気がします。
あと、綾は弟をしっかり叱るとか、自分が思ってることを伝えるという意志の強さを持っているのですが、私自身は人を叱るという経験があまりなかったので、叱るという愛情深さをどういう風に表現したらいいのかなど、お芝居をしながら神木さんを通して経験させていただいています。
佐久間由衣、現地で土佐弁を習得
― 実際に高知県に行かれたとのことですが、いかがでしたか?佐久間:牧野さんが幼少期を過ごされていた佐川町や植物園など、色々な場所に行かせていただきました。方言の音声テープをいただいた時に現地の土佐弁を聞きたいなと思っていたので、実際にタクシー運転手の方や、町を歩いている時にすれ違う方の土佐弁を聞いて、耳を慣らしていけたらなと思いました。
― 現地で感じたことや、芝居に活かしたことはありますか?
佐久間:今と「らんまん」の時代は違いますが、寒暖差とかは土地柄あるのかなと思っていて、天気もすごく豊かで、そういう自然とともに色々な種類の植物たちが生まれているのかなと思いました。人間も自然と通じている部分があると思うので、人もそうやって逞しくなっていくのだと感じました。
高知県のスーパーに行かせていただいた時には、ほとんどの野菜が高知県産で、1つの土地で色々なことが成り立っているというのは魅力的だと思いました。肌感覚で感じられたことが役としても、自分自身としても良い経験で、感化されるようなことがたくさんありました。
佐久間由衣、芝居に対する考え方に変化
― 高知では男勝りの女性のことを“はちきん”と言いますが、まさに綾は強い女性だと感じました。今、お話をされていて佐久間さんご自身は柔らかい女性なのかなという印象を受けたのですが、これまでも強い役柄を多く演じられてきて、自分と違う役柄を演じることの面白さや醍醐味があれば教えていただきたいです。佐久間:なぜか強い女性の役柄をいただくことが多くて、いつも苦戦しつつ楽しんでいます(笑)。最近は“強い”という一言の中でも、どんな強さがあるのかなと考えつつ、幅を広げられたら良いなと思っています。
私はお芝居を続けていく上で、物語にどう共感できるかみたいなシンパシーを大事にしてきましたが、最近は共感できる、できないではなく、自分軸ではない世の中の社会軸とか視野を広げた部分で、物語が存在する意味みたいなところをキャッチしつつ、自分の役割を全うできたらなと考えています。もう少しフラットに、違う視点で納得を持って演じられたら、今まで理解できなかった感情を理解できるきっかけになるのかなと思います。
― とても素敵なアプローチだと思うのですが、考え方を切り替えようと思ったきっかけがあったのでしょうか?
佐久間:普段から小説が好きで読んでいるのですが、小説を選ぶ軸も自分軸が多くて、好きな作家さんの作品なのに、色々と幅を広げていた時に理解できない、ここに辿り着けない自分ってなんだろうということが小さく積み重なっていたような気がします。
佐久間由衣、松坂慶子の演技に感銘
― 綾の祖母・タキを演じる松坂慶子さんの迫真の演技が話題になっていますが、松坂さんと向き合ったお芝居をされた感想はいかがですか?佐久間:松坂さんご自身はとてもチャーミングで、普段喋られる声がずっと微笑んでいらっしゃるような可愛らしさがある方ですが、綾のおばあちゃんとなると、いわゆる“はちきん”と呼ばれる強い女性に切り替わって、そんな瞬間を間近で見させていただいています。綾としてもタキさんみたいな女性に育ててもらっていることは、きっと影響を受けている部分があると思いますし、憧れのような、象徴みたいな存在です。
― 綾がタキさんにそう思うように、佐久間さんご自身も松坂さんを参考にした部分があるのでしょうか?
佐久間:おこがましいですが、しがみつくように追いかけている感じです。
― 松坂さんとの撮影中のエピソードはありますか?
佐久間:タキさんは叱るシーンが多くて、セリフ量もすごいので、台本を読んでいて「怒ってばっかりで、エネルギーが…」「怒るのって疲れるのね〜」といつもおっしゃっています(笑)。それも含めて可愛らしいなと思っています。
佐久間由衣の“考え続けているテーマ”
― 本作では自由を求めて行動する姿も描かれますが、演じている中で自由や生き方について考えたことはありますか?佐久間:作品を通じて私も考えるきっかけが増えたのですが、自由と言っても好きなことをただやることだけが自由ではないですし、作品の中でも「自由って何?」という万太郎のセリフがある通り、私も未だに考え続けているテーマの1つです。この作品がきっかけで、自問自答を繰り返しています。
― 綾の生き方を見て、感じたことはありますか?
佐久間:脚本家の長田(育恵)さんが「綾は自然の中で言うと、火とか土のイメージ。万太郎は水とか流れるようなイメージ」とおっしゃっていて、どうにも変えられない環境や時代の中でも、やっぱり考え方次第なのかなと思いました。綾も万太郎も筋を通した上で、決してネガティブではなく、おひさまの方に向かって伸びるという力強さを持っているので、どんなに激動で大変なシーンでも「悲劇にはならないぞ」というポジティブさみたいなものは根っこで持つように心掛けています。いつの時代も色々なしがらみが常にあると思いますが、前に向かって進んで行く力みたいなものは、エネルギーとして届けられたら良いです。
― 注目してほしいシーンはありますか?
佐久間:綾が酒作りにどのように関わっていくのかというところと、酒作りに対する思いがより強くなるきっかけとなる恋模様にも注目していただけたらと思います。女性としても、綾という1人の人間としても成長に繋がるシーンがあるので、そこを見ていただきたいです!
― 最後に視聴者の方にメッセージをお願いします!
佐久間:初回から2週目までの放送では、子役のみなさんが綾や万太郎の幼少期をすごく魅力的で可愛らしく力強く演じてくださっていました。第3週から物語がさらに動いていく中で、好きなことを貫く純粋な強さとか、色々なしがらみや宿命みたいなのがある中で、全てを変えることは難しいですが、自分にできることとか、前に向かって進んでいく力みたいなものを感じていただける作品になっていると思うので、ぜひ楽しんで観ていただけたら嬉しいです。
― 今後の放送も楽しみにしています。ありがとうございました。
(modelpress編集部)
佐久間由衣(さくま・ゆい)プロフィール
生年月日:1995年3月10日出身地:神奈川県
2013年に「ViVi」の専属モデルオーディションで全4158名の参加者からグランプリを受賞しデビュー(2017年卒業)。2014年には、映画「人狼ゲーム ビーストサイド」に出演し、女優活動を開始した。2017年前期NHK連続テレビ小説「ひよっこ」ではヒロインの幼なじみ役を熱演。以降、ドラマ「彼女はキレイだった」(2021年/フジテレビ系)、「最愛」(2021年/TBS系)、映画「ちひろさん」(2023年/Netflix)など、数多くの作品に出演している。
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