上白石萌歌(C)NHK

<上白石萌歌「ちむどんどん」インタビュー>黒島結菜ら4兄妹との関係性は「本当の兄妹になってきています」歌手ならではの歌の魅せ方とは

2022.06.18 08:00

女優の黒島結菜がヒロインを務める、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(総合:あさ8:00~、BSプレミアム・BS4K:あさ7:30~)に出演中の上白石萌歌(かみしらいし・もか/22)がモデルプレスのインタビューに応じた。作品の中で主軸となる黒島結菜ら4兄妹の素顔、歌手・adieu(アデュー)としても活躍する上白石が、作中で歌を歌うことへの心境を余すことなく語ってくれた。

  

黒島結菜ヒロイン朝ドラ「ちむどんどん」

2022年に本土復帰50年を迎える沖縄を舞台に、沖縄に生まれ育ったヒロインと兄妹たち家族の50年の歩みを見つめる、笑って泣ける朗らかな、美しい家族とふるさとの物語。沖縄料理に夢をかけるヒロイン、4兄妹の次女・比嘉暢子を黒島が務める。そして上白石は、歌好きでシャイで病気がちな三女・比嘉歌子を演じる。また、主人公を支え、見守る長男には竜星涼、長女には川口春奈、両親役には仲間由紀恵、大森南朋と豪華キャストが出演する。

上白石萌歌、夢の朝ドラ出演

上白石萌歌(C)NHK
― まず、長年の夢だったという朝ドラ出演への心境を教えてください。

上白石:同じ役と1年間向き合うという経験は今までなかったので、長距離走というかまだまだゴールが先にあって、そこに向かってどうやって自分とリンクさせていくか、どういう風にキャラクターを成長させていくかを日々考えながら演じていて、それがすごく楽しいですね。他のキャストさんや他の役との関わりの中で長い時間をかけて描くので、そういう難しさは感じました。

午前中は16歳だったのに午後は28歳というように時系列も結構バラバラに撮るので、年齢感の難しさというか、自分の年齢を超えた役をやることの難しさを色々感じています。なので1年を通して歌子として何か成長する所を見せられたらいいなと思っています。

― ご自身と役の名前に「歌」の文字が入っているという共通点がありますが、何か運命的なものを感じましたか?

上白石:そうですね。自分の名前にある漢字がそのまま役に繋がることは今までなかったので、今まで以上に役へのシンパシーを感じました。沖縄の歌とか、ドラマの中での“歌”みたいな要素になる役でもあるので精一杯取り組みたいなと思っています。

上白石萌歌、黒島結菜ら4兄妹の印象語る

― では、歌子から見た比嘉兄妹の印象を教えてください。

上白石:4兄妹皆さん「当て書きなんじゃないかな?」というくらい、すごく役と似ている所があって。私も皆さんのことをそれぞれ御本人というよりその役として見てしまっている所があるので、4人で一緒にいることがすごく当たり前のようになってきて、最近は本当の兄妹になってきています。

― 具体的にどういった所が似ていると思いますか?

上白石:ニーニー(竜星)はずっと家族の真ん中にいて、明るくて、皆をずっと笑わせてくれるような所やムードメーカーな所。黒島さんは、兄妹の中でもすごくニュートラルというか男っぽさを持ち合わせているし、潔い所もあるし、とにかくまっすぐ行くような感じとか。良子ネーネー(川口)は物語でもある芯の強さとか正義感みたいなものがすごく強いなと思います。

この先もし、皆さんで共演することがあっても「ニーニー」とか「ネーネー」と呼んでしまうんじゃないかなというくらい(笑)。私の本当のお兄ちゃんやお姉ちゃんのようだなと感じています。

上白石萌歌、下地先生(片桐はいり)とのラストを回顧「自分の心が動く瞬間があった」

上白石萌歌(C)NHK
― 人と対することが苦手な歌子の最初の殻を破るきっかけを下地先生(片桐はいり)が作ってくれたと思うのですが、何か印象に残っているエピソードとかありますか?

上白石:下地先生のラストシーンがすごく好きで、「歌うことを辞めてはいけない」というメッセージを、はいりさんを通して頂いた時に、お芝居を超えて自分の心が本当に動く瞬間がお芝居の中であって。歌子はずっとビクビクしてばっかりだったんですけど、間違いなく歌子の人生に一番の影響を与えてくれたのは下地先生だなと思っていて、すごく私の中でも歌子の中でも大事な存在です。

― 片桐さんとは現場で色々お話しされましたか?

上白石:共演の日数は意外と短く、隙間時間にちょっとしたことを話したりしました。片桐さんはすごくおしゃれで、リハの時は皆さん私服なんですけど、すごく素敵なお洋服をお召しだったので「どこのですか?」とか聞いたりしていました(笑)。

― 下地先生とまた再会するという展開は、この先あったりするのでしょうか?

上白石:私も分からないのですが、私的にはすごく再会したいなと思っています!

― いち視聴者として、再会を楽しみにしています。

歌手としても活躍する上白石萌歌ならではの歌の魅せ方

― 上白石さんご自身も歌手として活動されていますが、ドラマの中で歌子として歌う時はどんなことを大事にしていますか?

上白石:どの曲も歌子の心情に沿っているような曲が多くて、例えば「翼をください」では人と同じような健やかさとか幸せみたいなものを願う気持ちを歌子に重ねています。なるべくまっさらな歌い方というか、その歌の持つニュアンスやその時の歌子の心情みたいなものを意識するように歌っています。

自分だけじゃなくて比嘉家のその時の状況ともリンクしている部分があるので、その繋ぎ目が歌子の歌であればいいなと思っています。

― 歌手としての歌唱とドラマの役としての歌唱に心境の違いはありますか?

上白石:普段、自分が歌う時は限りなく自分に近いと思って歌っているんですけど、やっぱり役として歌う時はその役の心情の延長線に歌があるので、普段歌っている時とは自分の中では全然違うなと思っていて…。

(歌子は)緊張して上手く歌えないことがあるので、足先から肩にのぼってくるようなガチガチの緊張と歌を上手く両立させるためにはどうしたらたらいいのかというのを自分なりに考えて研究して、歌子なりの歌が歌えたら良いなと思ってお芝居しています。

― 歌手・女優として活躍しているからこそのスキルが生かされたのが歌子役だと考えているのですが、ご自身ではどのように感じていらっしゃいますか?

上白石:うーん、どうなんだろう。役の中でここまで歌うということは今までなかったので…。普段音楽をやっていることも多少は生かされているのかなと思うんですけど、役としてセリフを発するよりも歌の方が本音な所があったりするので、役の中で歌うということを一番大事にしています。

― 歌子が三線を弾いているシーンも印象的ですが、弾いていてどうですか?

上白石:今まで一度も触れたことがなかったので、未知というか、最初は触っているだけで不安になっていたし、三線を弾きながら歌うというのはすごく難しくて。沖縄の言葉の難しさとか演奏と自分の声とのバランスというか、「弾き語りってこんなに難しいんだな」ということを何度も実感しています。

なので、まだまだガチガチで歌いながら演奏しているんですけど、自分でも弾いていて沖縄の風とか海の音を思い出すのでよく家でも弾いています。

― 三線で弾きながら歌うのは難しいと思うのですが、収録でも全てご自身で演奏されているのでしょうか?

上白石:今の所、全部自分の音でやっています。

― すごいですね!三線を弾く場面を含めて上白石さんの歌を楽しみにされている方も多いと思います。

上白石萌歌、沖縄撮影で印象的だったことは?「4人が兄妹になるきっかけになった」

上白石萌歌(C)NHK
― では今回、沖縄が舞台ということで、沖縄での撮影で印象に残っていることがあれば教えてください。

上白石:とにかく気候がすごく良くて、海の近くに立っているだけで色んなものが満たされるというか。こういう気候で、この自然の中で育った人たちは自然と歌とか踊りを愛することになるんだろうなとすごく感じました。

あとは4兄妹で海の近くを歩いたり、深い話をしたりする機会が沢山あったので、4人が兄妹になるきっかけになったというか、兄妹みたいなそういう雰囲気になれたのも沖縄での時間があったからだなと思っています。

― 地元の方と接することはありましたか?

上白石:ありました。あんまり撮影以外で外に出ることはできなかったんですけど、海の近くで三線の練習をしていたら地元の自転車に乗ったおじいさんが「おお、よう頑張ってるな」と言ってくれたりとか、他に三線を弾いている方がいらっしゃったりして。

東京に居ると歌や踊りは本当にエンタメとしてあるものだと思うんですけど、沖縄ではそうではなく、普通に暮らしている方にもすごく馴染みのあるもので。飲みの場で皆急に踊り出す文化もあると聞いたので、土地がそうさせているんだなと感じました。

― おじいさんと沖縄の言葉でお話できましたか?

上白石:急なことだったので、それはちょっとできなかったですね(笑)。でも話しかけてくださったのはすごく嬉しかったです。

上白石萌歌「沖縄の良さをこのドラマを通じて全国に届けていきたい」

― そんな沖縄ことばについての質問です。歌が上手い人は耳が良い印象があって、上白石さんも歌が上手なので、沖縄の独特なイントネーションをすぐに聞き取れたのではないかと思うのですが、いかがでしたか?

上白石:そうですね。最初に沖縄ことばのテープを聞いた時は「難しすぎてどうしよう!」となっていました。なんせ私、鹿児島県出身で沖縄の方言は結構鹿児島弁と似ているので、「鹿児島弁を喋ってしまわないか?」っていう心配はあったんですけど、黒島さんや仲間さんなど沖縄出身のキャストの方が周りにいるので会話の中で教えてもらったり、現地に行って現地の方の言葉を聞いたりして最近はあんまり方言テープに頼らなくても喋れるようになってきました。

― 最後に、沖縄の視聴者に向けてのコメントもお願いします。

上白石:ロケで訪れて、沖縄の美しさや風の心地良さとか、すごく色々なものを吸収できたので、そこで吸収できた沖縄の良さをこのドラマを通じてこれからも全国に届けていきたいと思います。皆さんぜひこれからも観ていただきたいです。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

上白石萌歌(かみしらいし・もか)プロフィール

2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞し、芸能界デビュー。主な出演作に、映画「羊と鋼の森」(2018年/第42回日本アカデミー賞新人俳優賞)、「子供はわかってあげない」(2021年)、「KAPPEI カッペイ」(2022年)、ドラマ「義母と娘のブルース」(TBS系/2018年)、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日本テレビ系/2019年)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK/2019年)、「ソロモンの偽証」(WOWOW/2021年)など。出演ドラマ「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)が放送中。待機作に「アキラとあきら」(2022年8月26日公開予定)がある。女優業のほか、adieu(アデュー)の名義でアーティストとして活動するなどマルチな才能を発揮している。
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