星野源(提供写真)

星野源にとっての“家族”とは――「SPY×FAMILY」エンディング主題歌起用「運命のように感じた」<「喜劇」インタビュー>

2022.04.12 08:00

星野源が、テレビ東京アニメ『SPY×FAMILY』(毎週土曜23時~)のエンディング主題歌として書き下ろした新曲「喜劇」を4月8日より配信。モデルプレスでは星野にインタビューを実施し、楽曲に込めた思いや制作の裏側、“家族”にまつわるエピソードなどについて聞いた。

  

星野源がエンディング主題歌担当 アニメ「SPY×FAMILY」


原作は2019年3月から『少年ジャンプ+』で連載中。シリーズ累計発行部数が1500万部を突破した人気コミック。とある任務を遂行するため「家族を作れ」と命じられた凄腕スパイの黄昏が、精神科医・ロイドとして、超能力を持つ少女・アーニャ、殺し屋の女・ヨルと偽装家族を築き上げ、ミッションに挑むスパイアクションコメディー。

星野の「喜劇」を使用した本予告がすでに公開されており、ロイド達のスパイアクション要素とハートフル要素をふんだんに入れ込んだ映像で話題を呼んでいる。

星野源にとっての「家族」とは エンディング映像に感動

星野源(提供写真)
― 『SPY×FAMILY』はとても人気のある注目作ですが、エンディング主題歌に起用された時の心境をお聞かせください。

星野:もともと原作が好きで読んでいて、ちょうど最新刊を読み終えたタイミングでオファーをいただいたので、すごく嬉しかったですし、運命のように感じました。すごくシリアスな設定なのに明るく楽しいコメディーとして描いていて、時折登場人物の背負っているものが垣間見える、そのバランスがすごく好きです。

― 星野さんの楽曲はいつもエンディングで流れるイメージがあるのですが、今回はアニメを観終わった後の余韻も意識して制作されたのでしょうか?

星野:今回は『SPY×FAMILY』の“FAMILY”を主なテーマとして制作してほしいという依頼を受けました。アニメのオープニングだと曲調が速いものになるだろうなと思ったので、僕はその真逆で、かつ実際に今作りたいと思っていた楽曲と今回の依頼がすごく合う気がしました。視聴者の余韻を意識するというよりは、作品や依頼のイメージと自分の今のモードが合致したということが大きいです。

― 「家族」という言葉の意味を想いながら制作したとのことですが、星野さんにとって「家族」とはどのような存在ですか?

星野:僕がホッとする家族の捉え方は、『SPY×FAMILY』で描かれているものと近い部分があったんです。少しずつ変わってきてはいるとは思うのですが今の日本の社会通念の家族像とちょっと違っていて。心で繋がっているような、そんなところが僕にとっては心地いいものだったので、それを日頃感じている僕の思いと、作品の思いとして同時に描けたら、『SPY×FAMILY』の曲にもなるし、みんなの曲にもなるんじゃないかなと思いました。

星野源「喜劇」(4月8日配信)(提供写真)
― アニメ主題歌はこれまでも担当していますが、アニメとドラマや映画主題歌での違いで何か意識していることはありますか?

星野:違いはあまり感じてないですね。物語としてのリアリティラインが違うので、楽曲の発想の元となるものは違って来るとは思うのですが、たとえば『ドラえもん』で言うと、その世界観はもちろんのこと、それと同時に「自分にとってのドラえもんとは?」という考えを歌にしたので、そういうアプローチもあると思いますし、実写だとリアリティラインがもう少し現実に近いので、逆に現実的ではない詞のほうがハマることもあると思いますし、とにかくどんな題材でもやり方は色々あると思うので、そんなに差はないと思います。

― 現在は本予告のみ公開されていますが、エンディングの映像にも期待が高まっています。星野さんはもうエンディングを観ましたか?(※取材はアニメ初回放送開始前)

星野:エンドロールとして流れるエンディングは、3話からの放送になるんです。1話は本編のBGMとして僕のエンディング主題歌が流れて、2話はエンディング主題歌が流れずオープニング主題歌が流れる。3話から流れるエンディング映像を観させてもらったんですが、ものすごく良かったです。本当に皆さんにも早く観てほしい。皆さんもきっと大好きになると思います!

たまたまなのですが、僕がすごく大好きな演出家の方が映像の演出を担当されていて、かなり前にお会いした時に「いつか一緒に仕事ができたらいいですね」とお話ししていたんです。今回こういった形で実現できてすごく嬉しかったですね。本当に素晴らしいので、このエンディングは飛ばせないと思います。

“星野源ワールド”炸裂 楽曲制作の裏側に迫る


― 楽しみです!「喜劇」を聴いていると、サビで少し発声が変わるのが印象的でした。歌い方でこだわった点はありますか?

星野:サビではファルセットと、オクターブが下の地声を同時に出して、コーラスも入っているのですが、僕はその声を重ねるやり方がすごく好きなんです。昔は、僕はあまり音域が広くないので、ファルセットと地声を重ねて歌っただけなのですが、それが他にないいい音像を生むなと感じて。今はこれが自分の色にもなっているので、今回の楽曲を作っていく中でも、そこに合わせてキーを設定して作曲しました。

― 「お茶目な星」「命繋ぐキッチン」など、毎度のことながら星野さんの言葉選びに感心しました。そのフレーズはどんな時に思い浮かぶのでしょうか?

星野:「歌詞を書こう!」と思った時ですね(笑)。あまり自然には浮かばないです。歌詞って伝えたいことを細かく書いていると文字数が全然足りないんです。だから削るか、ものすごく短い言葉で表現することになります。比喩を使ったり、言葉を新しく作り直したり、メロディーの高低差によっては「ここは子音が目立ったほうが気持ち良い」「ハ行が気持ち良い」「ラ行が来るとやりやすい」「カ行がここに来ると主張が強すぎるからやめよう」というふうに変えて、試行錯誤したうえで、この言葉選びに辿り着いています。

― とても地道な作業ですね。歌詞を読みこんでいくうちに、「喜劇」とはいえ、同時に「悲劇」も描いているのではという深読みをしてしまいました。

星野:「喜劇」という言葉にはあらかじめ「悲劇」という意味がこもってる気がするんですよね。そもそも僕の楽曲の作り方として、「楽しくて明るい」だけでは作れなくて、誰しも楽しさの裏側にはしんどい思いや悲しい思いがどうしてもあると思うので、そういう隠れた部分を描きつつも「それでも楽しい」という部分を描きたいと思って楽曲制作に臨んでいます。そうでないと、その楽しさが軽くなってしまう気がして。特に今回の『SPY×FAMILY』の登場人物は過去に傷を負っているけれど、それでも安らげる温かい場所を守ろうとする物語なので、自然とこういう歌詞になりました。

― 最後に改めて「喜劇」を聴いてくださる方へメッセージをお願いします。

星野:ぜひ何度も聴いていただいて、楽曲のサウンドや歌詞の細部を紐解いていただきたいです。あと、3話から流れるエンディング映像が相当楽曲を聴き込んで制作してくださったんだなと愛情を感じるくらい、素晴らしい映像になっています。僕もオンエアをすごく楽しみにしていますし、とにかく早く皆さんに観てもらいたいという気持ちが強いです。なのでそれまで「喜劇」をたくさん聴いていただいて、待機していただければと思っております。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

星野源(ほしの・げん)プロフィール

1981年1月28日生まれ、埼玉県出身。2010年に1stアルバム「ばかのうた」にてソロデビュー。2016年10月にリリースしたシングル「恋」は、自身も出演したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/2016年)の主題歌となり、「恋ダンス」が社会現象となった。2018年12月には5thアルバム「POP VIRUS」をリリース。2019年2月からは5大ドームツアー「星野源 DOME TOUR 2019 『POP VIRUS』」を開催し、計33万人を動員。2019年11月からはワールドツアーも開催した。2020年には、コロナ禍で「うちで踊ろう」を生み出し、外出自粛期間に日本中を勇気づけた。

俳優としては、映画『箱入り息子の恋』(2013年)、『地獄でなぜ悪い』(2013年)に出演し、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も映画『引っ越し大名!』(2019年)、『罪の声』(2020年)、大河ドラマ『真田丸』(NHK総合/2016年)、ドラマ『コウノドリ』シリーズ(TBS系/2015年・2017年)、『MIU404』(TBS系/2020年)など、数々の話題作に出演している。

作家としては、著書「そして生活はつづく」、「働く男」、「蘇える変態」、「いのちの車窓から」などを刊行。2016年3月からは、ラジオ番組『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でパーソナリティも務めるなど、多彩に活躍中。
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