モデルプレスのインタビューに応じた北村匠海(C)モデルプレス

北村匠海、“困っていたら絶対に助けたい”存在明かす 活躍の2021年経て「1回立ち止まりたい」と考える理由<「とんび」インタビュー>

2022.04.09 17:00

モデルプレスのオリジナル企画「今月のカバーモデル」で2022年4月のカバーモデルをつとめたのは、8日公開の映画「とんび」に出演する北村匠海(きたむら・たくみ/24)。インタビューでは、深い絆で繋がった彼を支える存在や活躍の2021年を経て今感じていることなどを聞いた。

  

阿部寛&北村匠海で「とんび」初映画化

北村匠海、阿部寛(C)2022『とんび』製作委員会
ヤス(市川安男/阿部寛)は、愛妻との間に待望の息子アキラ(市川旭/北村)を授かったが、ようやく手に入れた幸せは、妻の事故死で無残にも打ち砕かれてしまう。親の愛を知らずして父になったヤスは、仲間たちに助けられながら、不器用にも息子を愛し育て続けた――親子の絆を描く感涙の名作で累計60万部を超えるベストセラー小説、重松清著の「とんび」を初めて映画化した同作。

劇中では4人の子役がアキラ役を繋ぎ、北村へバトンタッチ。座長の阿部とは今作が初共演となった。

北村匠海、座長・阿部寛への思い

(C)2022『とんび』製作委員会
― 劇中では高校時代から北村さんがアキラを演じられていますが、そこに至るまでの北村さんが演じられていないアキラの時間を埋めるために、役作りではどのようなことを意識されましたか?

北村:他の作品に入っていて子ども時代のアキラがいる現場は見られなかったのですが、4人のアキラたちと過ごした阿部さんがいる現場の空気感を肌で感じて、自分の思うアキラのまま飛び込んでいけばいいんだと思えました。僕の知らないアキラの時間は、阿部さん演じるヤスが穴埋めしてくれました。僕のパートは反抗期というすごく変化のある年齢からスタートしたこともあり、自分1人だったら難しかったと思うのですが、阿部さんの胸に飛び込んでいくというのを1つのテーマにしていました。

北村匠海、阿部寛(C)2022『とんび』製作委員会
北村匠海、阿部寛(C)2022『とんび』製作委員会
― 阿部さんとは初共演にして深い絆で繋がった親子役を演じられましたが、撮影中に相談することなどはありましたか?

北村:特に相談などはなかったですが、阿部さんが「とんび」という作品の中で絶対的に中心にいらっしゃったので、安心して僕が想像したアキラのまま演じることができました。そこまで1ヶ月間くらい子どものアキラパートを撮っていて、僕が現場に入ったのは後半の2週間くらいだったんです。そこまでも順撮りで進めていたらしく、阿部さんは1シーン目からアキラが年を重ねていく様をずっと見ていらっしゃったので、相談せずとも受け入れてくれる感じがしました。

― 1ヶ月間すでに撮影している現場の中に、後半から飛び込んでいくことに不安はなかったのでしょうか?

北村:少なからずありましたね。本当に直前まで「にじいろカルテ」(テレビ朝日系/2021年)というドラマを撮影していたので、すぐに次の役に入り込めないんじゃないかという思いもあって。そんな中で岡山に撮影に行ったのですが、現場の空気は本当に温かかったし、この作品をやる上ですごく大事な部分はもうできていたので、自然とその怖さもなくなりました。

北村匠海(C)モデルプレス
― 北村さんが出演されている作品には同世代の俳優さんが集まっているものも多いですが、今回は北村さんよりも年上のキャストの方が揃っていました。そのような雰囲気の中で緊張感はありましたか?

北村:確かに同世代でやった作品も多いですが、ドラマの現場などでは意外と僕が1番年下なことも多いんですよ。皆さん年齢問わず気さくに接してくださっていたのであまり気にならなかったです。

― 年上の人に好かれるというのはアキラとも通ずる部分ですね。

北村:そうですか(照れ笑い)。そういう空気は本当に自然とありました。

北村匠海、アキラの“40年間”を2週間で演じきる

北村匠海(C)モデルプレス
― ほかにアキラと北村さん自身の共通点は見つけましたか?

北村:僕自身はあまり反抗期がなかったのですが、アキラの10代ならではの悶々とした感じや、ヤスみたいな父を持って「自分がしっかりしなきゃ」と一皮剥こうとしている姿、社会に出てたくさんの経験をしながらも自分で決断して色々なものを掴んでいく姿は、勝手に自分が大人になっていく期間と重ねていました。

僕も18歳の時は悶々としながら生きている時期もあって、そのまま社会に飛び込んで行って。それでもこの仕事が好きだから続けて、色々なものを吸収して今この「とんび」という作品に出ることができているので、アキラの生き方は自分とも重ねられるなと感じました。

― アキラの高校時代から晩年まで、約40年間を1人で演じられている振り幅にすごく驚きました。どのように年齢の変化を表現されていたのでしょうか?

北村:声色などは結構気にしていました。高校生の時には声変わりはもう終わっているだろうし、僕自身も18歳の時と声は変わっていないのでアキラも大きく変わることはないのですが、声の深みが出るように意識していました。それから姿勢や歩き方、立ち方なども少しずつ変えています。

― その40年をたった2週間で演じられたというのも驚きです。

北村:もう毎日年齢が違いましたね(笑)。

北村匠海(C)モデルプレス
― 平成生まれの北村さんが実際には経験していない昭和の時代を演じる上で、苦労などはありましたか?

北村:苦労というより、とても新鮮でしたね。今までも昭和の時代を生きることは役者としていっぱいありましたが、今回は特に美術がすごかったのでより入り込むことができました。この「とんび」の世界を作る上で昭和の懐かしい風景というのはとても重要ですが、それが見事に表現されていて、しかも時間が経つにつれて町も変わっていく。時間の経過を町が感じさせてくれるので、行く度にびっくりしていました。

― 確かに商店街など細かな部分まで作り込まれていて、より物語に引き込まれました。

北村:いや本当にすごかったですね…!あれも全部作られたセットなんです。

北村匠海が“困っていたら絶対に助けたい”存在とは

北村匠海(C)モデルプレス
― 北村さんと言えば、20歳の誕生日の時にご両親から「育児満了のお知らせ」メールを受け取ったというエピソードが印象的です。ユーモアのある素敵なご両親ですよね。

北村:変わった親なんですよね(笑)。でもすごく仲が良くて、コロナ禍になってより一層距離が近くなった感じがします。出歩いたり友達と会ったりする機会が減った中で家族と会う時間はすごく増えましたし、連絡も頻繁にとったりとか。それこそ「とんび」も試写会で観てくれて。

うちの父がアキラと同年代で、2つくらいしか年齢が変わらないんです。父は秋田出身なのですが、じいちゃん・ばあちゃんの反対を押し切って上京してきていて、色々な部分が重なったらしくて。じいちゃんは亡くなってしまったのですが、「すごく泣けた」と言っていました。

北村匠海(C)モデルプレス
― アキラは照雲さん(安田顕)やたえ子さん(薬師丸ひろ子)など家族以外の方からの愛も受けて育っていきますが、北村さんにとって家族と同じくらい大切な存在はいますか?

北村:DISH//のメンバーももちろんそうですが、困っていたら絶対に助けたい友達もいます。役者仲間でかけがえのない友人です。

その友人達とはお互いに何かあれば助け合うみたいな空気感があって、何も連絡をとっていない時期にふと「生きてる?」みたいなメッセージが送られてきたり…。そういう時って大体自分が落ちている周期だったりするし、お互い察して連絡し合う時は「繋がってるな」と思います。

でも、僕らの時代って親戚付き合いとか町の人との交流が少なくなってきているじゃないですか。なので地元に帰るとどうしても家族との思い出話ばっかりになっちゃうんですけど、だからこそ街の皆に愛されて育てられたアキラにすごく憧れます。やっぱり東京だとなかなか難しいのかな…。だんだんとそういう時代でもなくなってきてしまったのかなとも思ったりします。

北村匠海、2022年は「1回立ち止まりたい」

北村匠海(C)モデルプレス
― 2021年は俳優としてさらに存在感を発揮し、DISH//としても「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど飛躍の年となりましたが、今年の目標を教えてください。

北村:今年は1回立ち止まりたいなと思っています。というのも、やっぱり去年は自分にとってもすごく流れが良かったというか、色々な出会いがありました。自分がコロナに感染した時もありましたが、それでも止まることなく作品を生み出し続けることができたと思うんです。19歳くらいの時から、ここ数年はアウトプットすることが多かったので、今年から少しずつですがインプットの時間をとったり、このまま押されていくのではなく1回立ち止まったりしたいですね。なので、なんというか“内に籠もる”1年にできたらなと思っています。

― インプットしたいことというのは、具体的に考えているものがすでにあるのでしょうか?

北村:例えば何か曲を作ったり、作詞したりするのにもやっぱりそのインプットというのが必要なんです。忙しいと何も浮かばないし、何も手につかなかったり、何も考えずに1日が終わってしまったりもする。だから自然に触れたり、川を見たり、ちょっと外に出てみる。それだけでインプットになります。「仕事だけじゃない自分の人生を考える」というのは今年に入ってからずっと意識していますし、実際もうすでに去年の1年間より休めていたりするので、そうやって地に足をつけてみる、自分を見つめてみるというのは大事だと思いました。

― 立ち止まることで、新たな気付きはありましたか?

北村:いっぱいあります。自分が立ち止まっている最中に世の中の情勢が色々と変わり、それで考えることもたくさんありますし、より一層自分がこの世界にいる意味や届けるべき・やるべきことが見えてきたと思っていて。心から「やりたい」「好き」といった衝動で作品を生み出すことが大事なのではないかなと感じています。

(左上から時計回りに)薬師丸ひろ子、安田顕、大島優子、北村匠海、杏、阿部寛(C)2022『とんび』製作委員会
― 最後に改めて、北村さんが「とんび」という作品からどのようなメッセージを受け取ったか教えてください。

北村:アキラは環境的には特殊かもしれないですが、この作品に描かれている家族愛など作品のメッセージとしてはやはりすごく普遍的で。色々な人に届く作品だからこそ小説もベストセラーになったのだと思うし、この映画も同じように年代を問わず届いてくれるだろうなと。会えてなかったとしても自分を産んだ両親は確実にいるし、こんな時代だからこそ、この映画を観て家族の存在を思い返したり、連絡をとったりしてほしいです。1回周りを見渡して家族と目を合わせてみるとか、そういう当たり前に散りばめられている幸せがどんなに人を繋げてくれるのかというのが、この作品を通して伝えられるのではないかなと思っています。

― 貴重なお話をありがとうございました。

北村匠海(C)モデルプレス
一つ一つの質問に真摯な姿勢で答えてくれた北村。穏やかで柔らかい雰囲気の奥には熱い魂を秘めており、アキラとも通ずる部分があった。インプットの2022年――彼のさらなる進化に期待したい。(modelpress編集部)


北村匠海(きたむら・たくみ)プロフィール

北村匠海(C)モデルプレス
1997年11月3日生まれ、東京都出身。小学3年生のときにスカウトされて芸能界入り。「DIVE!!」(2008年)で映画初出演を果たした。2011年にダンスロックバンド・DISH//を結成。リーダーとして、メインボーカルとギターを担当している。

アーティスト・モデル・俳優と幅広い活動を続けており、映画「君の膵臓をたべたい」(2017年)の演技で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2021年もドラマ「にじいろカルテ」(テレビ朝日系)、「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)、映画「砕け散るところを見せてあげる」、「東京リベンジャーズ」、「明け方の若者たち」など数多くの作品に出演。3月28日に最終話を迎えたドラマ「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)にサプライズ出演し、大きな話題を呼んだ。前編4月3日、後編4月10日放送のスペシャルドラマ「名探偵ステイホームズ」(日本テレビ系)で地上波ドラマ初主演をつとめる。

モデルプレスオリジナル企画「今月のカバーモデル」4月表紙 北村匠海(C)モデルプレス
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