<吉沢亮インタビュー>芝居の在り方に思い巡らせた一年 2021年の抱負、その先に待つ景色の想像
今年も4本の映画が公開され、来年に控える大河ドラマの撮影とミュージカル出演を並行するなど全力で走り続けた吉沢亮(26)。25日に公開される主演映画『AWAKE』では、AI将棋のプログラミングに新たな夢を見出した一人の青年の“再生”を熱く演じている。テイストや規模感も様々、自ら納得して選び取った作品や役柄一つ一つに真剣に向き合ってきた吉沢が「初めて自分が出ている作品を純粋に“面白い”と思えた」と語る今作は、まさしく2020年の“吉沢亮納め”に相応しい一本。モデルプレスのインタビューではそんな今作のエピソードに加え、世界が未曾有の事態にさらされたこの一年で感じた率直な想いも打ち明けている。
役作りで増量「寝る前のカップラーメン、絶対にダメ」
― 2015年に実際に行われた“棋士 VS コンピュータ”の対局に着想を得て、山田篤宏監督が書き下ろした完全オリジナルストーリー。吉沢さんは元々、将棋の知識はありましたか?吉沢:僕はもう、からっきしです。この作品が決まってから対局の映像を見たり、監督からいただいた将棋の一式を使って家でひたすら指し手の練習をしたりしました。
― 実際に経験してみて、将棋の魅力をどのように感じましたか。
吉沢:やっぱり日本のものだなという感じがしました。駒の置き方一つとってもこだわりがあるし、戦術は無限大じゃないですか。単純に一つの競技としても楽しいし、伝統や形式を大事にしている感じが、すごく日本っぽいなあと思いながらやっていました。
― 完成した作品をご覧になった感想をお聞かせください。
吉沢:「面白かったな」と素直に思いました。僕は自分の出ている作品を観ると、自分の芝居ばかり見てしまって冷静に全体を見れなくなってしまうんです。「あー、ここダメだな」ってダメなところばかり気になっちゃうんですけど、今回はもちろんそういう部分もありつつ、作品として「すごくいい作品だな」という風に観られたので、自分の中ではすごく新鮮でした。自分が出ている作品で純粋に「面白い」と思えるのはなかなかないので。
― 特にどの部分が吉沢さんに刺さったのでしょう?
吉沢:こういうテーマの作品なので、ある種地味に見えがちなのかなと思うんですけど、全くそんなことはなく、テンポや間も全く気にならない。普通に作品としてクオリティが高いと感じて、すごく好きでした。普通の将棋の映像を見ていると淡々と進んでいくイメージがあって、それこそ今回のモデルになった対局も映像だけで見るとどうしても「気づいたら終わってた」みたいな印象でしたけど、その前後に物語をつけて、それぞれの棋士の表情を追うことによって、こんなにもドラマチックになるんだなと。すごく楽しかったです。もちろん役者さんのお芝居も素晴らしいです。
― 吉沢さん演じる英一が登場してからしばらくセリフがないシーンが続き、将棋を指す姿勢や表情など、繊細な役作りが際立ちます。セリフ以外の部分で特に意識したことをお聞かせください。
吉沢:やっぱり将棋を指すシーンは自分の中でもわかりやすく作ったなという印象があります。最初の方は特に、表情や仕草だけで状況を説明しなければいけない部分もありますし、単純にそういうのが表に出ちゃう人っていうのをわかりやすく作ったほうが面白いかなというのもあって。あれがリアルな棋士としてどうなのかというのはちょっとわからないんですけど、“将棋以外何も持っていない男”っていう部分を見せる上でも、最初の方の対局は心情をわかりやすく表に出しながらやっていました。
― 英一の細かい仕草は吉沢さんご自身のアイデアでしょうか?
吉沢:(将棋を指す)指に関してはずっと教えてもらっていましたけど、体や目線の動かし方、ちょっとした癖みたいなものは、その場で自分で考えてやっていました。
― 今回、役作りで増量されたそうですね。
吉沢:体重計に乗っていないので何kg増えたとかは全然わからないんですけど、結構太りました。毎日寝る30分前に缶ビールを2本飲み、カップラーメンかカップ焼きそばを1個食べて寝るという生活をしていて。太ったし、めちゃくちゃ浮腫んで、それが結構映像に出ているかなと。体調が悪すぎて最悪でした(笑)。寝る前のカップラーメンは、絶対にダメだなって思いました。朝起きた時に体が重くて。
― 寝る前のビールは元々の習慣ですよね?(笑)
吉沢:普段は発泡酒を飲むことが多いですが、この時はちゃんとビールを飲んでいました(笑)。
将棋に人生をかけて集中できる英一が羨ましい
― 英一はプロになる夢に破れて冴えない大学生活を送る、いわゆる “陰キャラ”ですが、演じる中での面白さや、やりがいをどのように感じましたか?吉沢:すごく暗い役なんですけど、それだけじゃないというところ。僕の中で英一という役はわかりやすい“主人公”でした。将棋以外何も持っていなかった人間が、それを一度手放すことによって新たな目標を見つけていく、という成長もすごくわかりやすい王道の青春ストーリーだなと。僕は意外とそういう役をやったことがなく、どっちかと言うと主人公でも陰が強かったり、ミステリアスな役が多かったので、今回周りに振り回されていく役をやってみて結構楽しかったです。
― 英一に共感したポイントはありましたか?
吉沢:わからないからこそ批判しちゃう感じだったり、本当はそこに何か憧れがあるのに、それを素直に「憧れている」と思えない人間としてのダサさなんかは僕も共感できました。逆に自分と違うなと思ったのは、一つの物事に対する執着心。あそこまで人生をかけて集中できるというのは羨ましいなと思います。僕はすぐに飽きてしまうし、何か一つのことに没頭できるような人間ではないので、そういう部分は羨ましいです。
― デビュー以来、役者業に没頭されてきたのでは?
吉沢:難しいですが、“没頭”と言われると、少し違うかもしれません。
― 作品が変わるごとに、新鮮さを感じられるのかもしれませんね。
吉沢:そうですね、だから続いているのかもしれないです。毎回変わるごとにちゃんとリセットできるから、何かを引きずるってこともない。それは大きいかもしれないです。
― “挫折からの再生”が描かれていますが、吉沢さんご自身は挫折を味わった時、どう切り替えていますか。
吉沢:お酒を飲んで忘れる!(笑)それが乗り越えなきゃいけない挫折なのか、忘れていい挫折なのかにもよると思うんですけど、僕はもう忘れます。全部忘れて、気づいたらもう乗り越えてる、みたいな。その瞬間すごく考えてしまっても、ちょっと時間が経って冷静になると、割と俯瞰で見られる感じがするので。
― ライバル役の陸を演じた若葉竜也さんとの共演で刺激を受けた点をお聞かせください。
吉沢:今回、実は4シーンぐらいしか一緒にならず、セリフもちゃんとした会話は一切していないんですけど、その中でも若葉さんのお芝居はすごく印象に残っています。ただ2人で目を合わせているだけのシーンでも、何かすごいことを考えているんだろうなっていう感じが伝わってくる表情をしていて。そのおかげでいいシーンになりましたし、素晴らしい役者さんだなと思いました。
「考えることはいっぱいあった」一年 来年の目標は
― 2020年は吉沢さんにとってどのような一年でしたか?吉沢:皆さんそうだと思うんですけど、すごく特殊な一年でした。今まで当たり前だったものがガラッと変わり、新しい常識みたいなものがどんどん生まれてきて。それに対応しようするんだけど、なかなか慣れないなと思いながら日々過ごしていました。でも、考えることはいっぱいあったなと思います。今まではマスクをしながらお芝居をするなんて考えられなかったし、それはベストの状態でお届けするためにやっていることではあるんですけど、大変だなと。
― 特に思いを巡らせたのは、やはりお仕事のことでしょうか。
吉沢:そうですね。リモートでのやり取りもすごく増えたじゃないですか。リモートで芝居を届けるというような試みも出てきて、僕はまだそういう作品はやっていないですけど、今後それが当たり前になっていったらどうしようかなと。「人と実際に会わずにお芝居なんてできるだろうか?」とか考えたりして、ちょっと不安になったりもしました。
― 2021年はいよいよ大河ドラマ『青天を衝け』がスタートします。どのような年にしたいですか?
吉沢:2021年は大河のことしか考えないです。もちろん他にもやることはありますが、とにかく大河を乗り切るということが、僕の中で来年の一番の目標というか、課題です。大河が終わった後に何をするかというのが楽しみですね。
― そこでどのような景色が見えるか。
吉沢:仕事面でもそうだし、プライベートも…そろそろグランピングしたいな。ずっと言っているんですけどね。
― (笑)
吉沢:「アウトドアの趣味がほしい」と、モデルプレスさんでも死ぬほど言っていると思うんですけど、そろそろ見つけたいです。来年か、再来年。大河が終わったタイミングで、本格的に見つけに行こうかなという風に思っています。
― 完走した時の解放感はすごそうですね。
吉沢:すごいと思います!
― 来年もご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。
(modelpress編集部)
映画『AWAKE』(12月25日、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー)
出演:吉沢亮 若葉竜也/落合モトキ 寛 一 郎/馬場ふみか 川島潤哉 永岡佑 森矢カンナ 中村まこと監督・脚本:山田篤宏
<ストーリー>
大学生の英一(吉沢亮)は、かつて奨励会(日本将棋連盟のプロ養成機関)で棋士を目指していた。同世代で圧倒的な強さと才能を誇る陸(若葉竜也)に敗れた英一は、プロの道を諦め、普通の学生に戻るべく大学に入学したのだった。幼少時から将棋以外何もしてこなかった英一は、急に社交的になれるはずもなくぎこちない学生生活を始めるものの、なかなか友人もできない。そんなある日、ふとしたことでコンピュータ将棋に出会う。独創的かつ強い。まさに彼が理想とする将棋を繰り出す元となるプログラミングに心を奪われた英一は、早速人工知能研究会の扉をたたき、変わり者の先輩・磯野(落合モトキ)の手ほどきを受けることになる。自分の手で生んだソフトを強くしたい―。将棋以外の新たな目標を初めて見つけ、プログラム開発にのめり込む英一。数年後、自ら生み出したプログラムを<AWAKE>と名付け、コンピュータ将棋の大会で優勝した英一は、棋士との対局である電王戦の出場を依頼される。返答に躊躇する英一だったが、相手がかつてのライバル、若手棋士として活躍する陸と知り―。
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