<勝地涼「破天荒フェニックス」インタビュー>「この不安はずっと続くもの」“夢を叶える秘訣”とは―主演ドラマで新たな挑戦
2019.12.29 08:00
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2020年1月3日、4日、5日に3夜連続ドラマとして放送されるテレビ朝日系『破天荒フェニックス』(第1・2夜はよる11時15分~、第3夜は11時10分~※一部地域を除く)で主演を務める俳優の勝地涼(33)が、モデルプレスのインタビューに応じた。
勝地涼『破天荒フェニックス』インタビュー
今作は、ビジネス小説『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(田中修治・著/幻冬舎刊)が原作。誰もが口を揃えて「絶対に倒産する」と断言した、大赤字のメガネチェーン「サンデーズ」を買収した新社長が、絶体絶命のピンチを何度も乗り越え、世界進出するまでを描いた“ウソみたいなホントの話”をドラマ化。勝地は破天荒な主人公・田村雄司を演じ、伊藤淳史、瀧本美織、稲葉友、丸山智己らが「サンデーズ」の社員として出演する。シリアスな役からコミカルな役までこなす高い演技力で数多くの作品で活躍する一方、バラエティなどで見せるノリの良い一面からポジティブなイメージが強い彼だが、今回のインタビューでは意外にも「不安」という言葉が何度も飛び出した。
それは“夢を叶える秘訣”を聞いた時のこと…しかし、その「不安」は決してネガティブなものではなかった――撮影裏話とともに語った勝地の役者としての在り方とは?
勝地涼「今までで一番練習したかもしれない」主演ドラマで新たな挑戦
― 実話をもとにした物語となっていますが、まずは台本を読んだ際の感想を教えて下さい。勝地:原作も読ませていただいたんですけど、強く真っ直ぐに正義感を持って前に進む姿勢っていうのは見習いたいと思いましたし、(田中修治)社長ならではの生き様を感じることができました。ひとつ乗り越えてもすぐ次の壁があるけど、それをまた乗り越えていくという生き方はかっこいいです。僕もアツくなりやすいタイプなのですが、男として憧れます。
― “アツくなりやすい”とは具体的に?
勝地:良いものを作りたいと思ったとき、妥協できないところとか。20年くらい役者を続けてきて、“こういうことをやりたい”ってアツい気持ちを常に持ってやってきましたし、この先40代、50代になってもその思いっていうのはなくしたくないなと思っています。チャレンジし続けていたいです。
― 今回で言うと、特に力を注いだのはどのシーンですか?
勝地:どこと言うよりは流れになるんですけど、台本を読んだときにこのドラマは会話劇だと思ったんです。僕が4行喋って、誰かが5行喋って…それがスピード感を持って進んでいく。特に伊藤さんの役だと焦って喋っている方が面白いとか、台本を読みながらニヤニヤしてしまいました。ただ、演じることを考えたとき、新鮮さを大事にしながらやりたかったので、早め早めにセリフを入れていきました。それは大変な作業でした。1日撮影を終えて家に帰ったら寝られるというのではなく、次の日のためにまたセリフを入れて…という繰り返しでした。
― 勝地さんは撮影期間中、役のスイッチを常にオンにしているタイプですか?
勝地:あまり引きずらないですし、現場でもすぐオフにできるタイプなんですけど、今回は台本を読まなきゃいけない、とにかく貯金しなきゃいけないっていう感じでした。それが最初から想像できていたので、空いている時間や移動中はとにかくセリフを入れる作業をしていました。
― 共演には、相棒役の伊藤さんをはじめ、「サンデーズ」社員として個性豊かなキャストが揃っています。また、伊藤さん演じる奥田の妻役で貫地谷しほりさんが出演されていますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
勝地:現場では、伊藤さんや皆さんと空いている時間になるべくセリフ合わせをやりました。やり過ぎても生っぽさがなくなって良くないですけど、今回の場合はテクニックが必要だったので練習した方がいいなと思って。今までの作品の中で一番練習したかもしれないというくらい結構時間をかけました。
― それは勝地さん発案で?
勝地:発案とまでは言えませんが、伊藤さんも僕と似ていて、早めにセリフを入れて貯金をして現場に臨みたいっていうタイプみたいで、ポロッと僕がセリフを言ったらやりとりが始まるイメージ。発案とは少し違うかもしれないですけど、僕から伊藤さんにお話させていただいたのは「すごいセリフ量なのでNGもあると思うんですけど、なるべくギスギスしないようにやりましょうね」って(笑)。伊藤さんも「本当そうだよ!」って言ってくださいましたし、その会話があったからリラックスしてできたっていうのはあると思います。
― 勝地さんや伊藤さんでもNGについてお話されるほどの台本…。
勝地:セリフ量がとにかく多かったですから。あと、“NGあるある”みたいな話もしたんですよ。一回NGを出して「すみません」って言ったあと、現場がギスギスするとそれはそれでやりにくさがあるけど、「大丈夫、次頑張ろう!」って空気になってもそれはそれで「次はミスできないぞ」っていうプレッシャーになる。そうやって2人で盛り上がったので、「NGが出てもそっけなくしよう」「普通にしておこう」って話しました。これだけのセリフ量なんだから、ミスをするのもしょうがない。だからって“置きにいってOK”じゃなくて、NGを出しても逃げずに攻めてOKの方がいいよねって。
― それはどのタイミングでお話されたことですか?
勝地:初日です。空き時間はそういう話をしていました。
― 実際に撮影してみていかがでしたか?
勝地:NGはめちゃくちゃありました。誰がどうとかではなく、専門用語も多いし、それをテンション高く早口で言わなきゃいけないので、“しょうがない”という感じでした。説明セリフも多いですし、難しいなと思う部分もありました。
― アドリブを入れる余地もないような。
勝地:実際、ほぼセリフ通りです。一番余白があったシーンで言うと、伊藤さんと貫地谷さん夫婦との家でのシーン。面白いセリフの応酬なんですけど、ほぼ1日で撮ったのでメイクをしながらセリフ合わせをして。今回全3話ですけど、3話撮り終えた今、もし4、5話があれば、家のシーンでもっと遊べる時間ができるかもとは思います。
撮影自体が4週間ほどで終わったので、寂しい気持ちもあります。あっという間だったんですよ。セリフ量が多いのでハードスケジュールで日々追われる感覚はありましたけど、続編をやりたいって思えるくらい手応えを感じた作品になりました。
勝地涼「この不安はずっと続くもの」“夢を叶える秘訣”とは…
― 2000年にデビューし、『破天荒フェニックス』が放送される2020年には芸能生活20周年を迎える勝地さんが、これまでのキャリアを振り返り実感する“夢を叶える秘訣”を教えて下さい。勝地:“やってみる”ということだと思います。僕の場合はスカウトされてこの業界に入りましたけど、その時点で“やってみる”って自分で決めたわけだし、高校を卒業して大学に進学せずこれを仕事にするんだっていうのも自分で決めました。もちろん不安もありましたけど、それ以外にやりたいことがあるかって言われたら特になかったんです。今、夢を持っている方がいるとしたら、それだけで幸せなことだと思いますし、もしやりたいことがない人も何か“やってみる”ことが大事だと思います。
― “これはチャレンジだったな”を思う仕事はありますか?
勝地:全部…かな。この仕事は自分じゃない人を演じるわけで、毎回チャレンジングだと思うんです。その分、毎回不安です。今回のドラマで言うと、社長が色々な困難を乗り越えていくわけですけど、僕は会社に勤めたことがないですし、会社のお金の流れも分からない、「そういう人間が演じて説得力があるのかな」と思いました。そういう不安はいつもあります。
― その壁はどうやって乗り越えてきましたか?
勝地:現場に入ると安心することが多いです。監督がいて、プロデューサーさんがいて、スタッフさんがいて、一緒にお芝居をするキャストの方がいて、そもそも脚本があって…その空間に入ると、その流れに沿ってやることがいまやるべきことだからって思えるというか。とは言え、やっぱりどの現場も不安です。
例えばテレ朝さんなら、『BG~身辺警護人~』(2018年※1話ゲスト出演)も。「(主演の)木村(拓哉)さんとアクションやるんだ…大丈夫かな…」って不安でした。だって、木村さんですよ!?ずっと見ていた人なので、現場に入るまでは不安で…。でも、結局お会いすると木村さんは素敵な方だし、その不安って自然と薄れていくんですよね。
僕らの仕事ってこれが正しいって教科書があるわけではないですし、自分が正しいと思って準備していったものが「その表現は違う」と言われるのが当たり前の世界なんです。答えがないまま行って、毎回転校生のような気持ちで現場にお邪魔していますけど、それはこの先も変わらないんだろうなと思います。そういう意味では、この不安はずっと続くものだとも思っています。
― その経験を作品毎にしているからこそ“やってみる”というメッセージ。
勝地:何をするか決めたら期限も決めて、とにかく進む。何も動かずいると、頭がモヤモヤしたままになってしまうと思うので何事もまずはチャレンジしてみてほしいです。
― インタビューは以上になります。ありがとうございました!
(modelpress編集部)
勝地涼(かつぢ・りょう)プロフィール
1986年8月20日生まれ。東京都出身。スカウトされ2000年にデビュー。近年の出演作は、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018年)、『マスカレード・ホテル』(2019年)など。
『破天荒フェニックス』あらすじ
小さなデザイン会社を経営している田村雄司(勝地涼)は、ある日突然、倒産寸前のメガネチェーン「サンデーズ」を買収。メガネ業界ナンバー1を目指して、付き合いの長い弟分・松尾秀和(稲葉友)、口説き落として半ば無理やり仲間に引き入れた元エリート銀行員の奥田吉弘(伊藤淳史)とともに、意気揚々と「サンデーズ」に初出社する。しかし、そんな雄司らを待ち受けていたのは、冷ややかで反抗的な態度を取る社員たちだった…。そんな中、雄司は社内でも目立たない席でひっそりと仕事を続ける神戸麻美(瀧本美織)の作った決算書に目を奪われる。その細やかな気配りと、丁寧な仕事ぶりに才能を感じた雄司は、彼女を社長直属のプロジェクトチームに抜擢する。
こうして新生「サンデーズ」が動き始めた矢先、雄司は突拍子もないことを言い始める。未来の「サンデーズ」を象徴するような新店舗をオープンし、全国の店舗スタッフ、そして本社の社員みんなで商品コンセプトやブランドイメージの認識を統一しようというのだ。奥田は、売上不振に陥っている店舗の閉店と社員のリストラで大胆なコストカットを図るべきだと主張するが、“人は宝”と考える雄司はリストラを断固拒否。さらに、すでに新しい店舗は契約済みだと宣言…、奥田らは頭を抱えることに。
そんな折、喫煙所で休憩していた雄司は、窓際部長・橋本悟(丸山智己)から「私に商品部を任せてください!」と直談判される。橋本は前職が大手アパレルのバイヤーで、商品生産のノウハウや業者との交渉にも自信があるという。そんな橋本の熱い思いを受け入れた雄司は、あっさりOK、その場で橋本を商品部の部長に任命する。
一方、「サンデーズ」を世界一のメガネチェーンにするという目標を掲げ、雄司らが走り始めた矢先、敵対心をむき出しにした営業部長の三上英司(宮崎吐夢)らが辞表を叩きつける…。
資金ショートやライバル店からの妨害…次から次へと襲い掛かってくるピンチを乗り越えて、雄司らはフェニックスのように羽ばたけるのか…?
【Not Sponsored 記事】