モデルプレスのインタビューに応じた生駒里奈 (C)モデルプレス

生駒里奈「1個悩みがなくなった」2019年に克服したこと・見つけた課題「大人になった分、しんどいと思うことも多い」<「モマの火星探検記」インタビュー>

2019.12.28 07:00

2017年8月の上演以来、約2年半ぶりに舞台『モマの火星探検記』に続投する女優の生駒里奈(いこま・りな/23)の、モデルプレスインタビュー前編。

  

舞台『モマの火星探検記』

宇宙飛行士の毛利衛氏が書いた同名児童文学が原作で、劇団・少年社中と東映がプロデュース。主人公モマが少年時代の自分に語りかけながら火星での冒険を振り返る物語と、ロケット作りをする少女ユーリが宇宙を夢見る物語『ハイレゾ』をミックスし、新たな物語として舞台化。2012年に初演、2017年に再演と実施した少年社中の代表作品の一つ。

2020年、1月7日~20日の東京・サンシャイン劇場20公演を皮切りに、2月にかけ、愛知・大阪・福岡をまわる。

生駒里奈、舞台『モマの火星探検記』続投に喜びと課題

― 続投のオファーを受けたときはどんな心境でしたか?

生駒:素直に嬉しかったです。前回千秋楽を終えた瞬間から「ユーリにもう一度会いたい」「もう一度この景色を見たい」と思っていたので、さらに気合を入れてやりたいなと思いました。

― 続投というのは役者冥利に尽きることですよね。

生駒:すごく嬉しいですし、社中さんは色んな役者さんが目標に掲げる劇団ですけど、私も2年前に出会えたことで役者をやっていきたいと思えたので、その恩をこれから一生かけて返していきたいし、まずはここで皆さんを「おお!」と思わせたいです。

― 内容としては前回と違いはありますか?

生駒:キャストが変わるので、細かい演出は変わるかもしれませんが、大まかな流れは変わらないと思います。

― 2年半の間で生駒さん自身にも相当な変化があったと思うんですけど、どう今回のユーリを演じたいですか?

生駒:前回は当時乃木坂46のメンバーでもあったので、ユーリの不器用でまっすぐで夢のために一生懸命仲間たちと頑張るという部分が、自分自身と重なりました。技術的に言えば今もまだまだですけど、あのときの自分のベストが出せたと思っていて、観た人に「ユーリがいる」と思わせるエネルギーがあったと思っています。今は、見える景色も心も見た目も変わったので、今の自分が出せる新たなユーリをつくれていけるかが課題だと思っています。

― 同じ役をやるのはある意味難しいことだと思います。

生駒:難しいです。だから、果たしてどんな風に今回のユーリを作り上げていくのか、このお話を頂いてから、ずっと考えてきました。

― 前回の方が等身大の生駒さんに役柄が近かったんでしょうか?

生駒:近かった気がしています。周りの方には「全然そんなことないよ、今もユーリだよ」と言ってもらえるかもしれないけど、自分はそれを超えていきたい、という目標があるので、今から初日のことを考えると緊張しますが、絶対お客さんに「おお~!」って思わせたいです。

― モマ役の矢崎広さんを始め、再共演のキャストさんも多いですね。

生駒:鎌苅健太さんと鈴木勝吾くんも同じですね。あとはもちろん劇団員さんの方も。今思えば前回から勝吾くんは共演もそうだし、他の舞台を観に来て下さったり、ずっと私の成長を見守ってくれていて。ここで出会った人が本当に“兄弟”みたいな存在になったなと思います。

生駒里奈、梶裕貴から教わったこと「1個悩みがなくなった」

― 前回の舞台『暁のヨナ~烽火の祈り編~』のインタビューで「今年は朗読劇(『逃げるは恥だが役に立つ』)も初めてやって、1番のコンプレックスである声に向き合うことがすごく多かった」とおっしゃっていたんですが、その部分を改めて詳しく聞いてもよろしいでしょうか?

生駒:まだ課題は多いんですけど、先輩が「粒立って聞こえるようになったよ」と言って下さったのが嬉しかったです。台本上だと文章は繋がって書いてあるけど実際に全部繋げて話す人はいなくて、人それぞれ話すときのブレスのタイミングって違うじゃないですか?『逃げ恥』で共演した声優の梶裕貴さんに台本を見せて頂いたときに、自分のタイミングで切ってみると「ここは繋げた方がいい」と分かったりして、そうやって自分がどういう風に会話をするかを想像して切っていいと聞いて、実践したらかなり改善するようになったので、「なるほど、声優さんすごい!」と思いました。ただ文章を読むという段階を超えられて、自分の中でお芝居を噛み砕けるようになりました。

それまでは、ら行とな行が苦手で、「生駒里奈」と言うのも実は苦手だったんです。ヨナのときには「じゃあますますちゃんと踊らなきゃじゃない」というセリフがすごく言いにくかったんですけど、それもすっと言えるようになりました。すごくその教えが効いて1個悩みがなくなったし常に本番中も自分の声が聞こえるようになったので、「あ、ここの音ちょっとダメだったから、次こういうところまで上げてみようかな」とか舞台上でちょっとずつ落ち着いて考えられるようにもなりました。入り込むことも大切だけど、人に見せるものである以上、誰かを自分の笑顔で幸せにしたいし、より美しい姿を見せたいと思うようになった、そんな1年でした。

― 声のコンプレックスというのは舞台を通して感じていたことですか?

生駒:いや、舞台では目を使ってお芝居をするので、伝わるんです。よく”覇王色”って言っているんですけど(笑)、技術が足りていなくてもプラス気持ちで持っていくことができてしまう。でも、音声、ドラマになったときにそれができなくて全部同じ色になっちゃうんです。元々マイクにのった自分の声が嫌いだったので、それが課題でした。

― 2019年の一番の成長はその部分?

生駒:それとより俯瞰で周りを見られるようになりました。『ヨナ』のお陰で先輩の立場に立つ経験もできて、(『ヨナ』で共演した)M!LKの方々には「今、あなたの音・声がこういう音に聞こえるから、私とこういう風に被っているので、調整しましょう!そうすると、もっと良いお芝居をいっしょにつくれるんだよ」とかアドバイスすることによって自分もさらに理解が深まるし、自分もこれまで先輩方にそういうことをやってもらっていたんだなと思いました。

― 先程「1個悩みが減った」とおっしゃっていましたが、技術的な部分で1つ克服した分、より表現についても考えられるようになりましたか?

生駒:そうですね。でも悩みは尽きません。だからさらにしんどいと思うことも多いです。乃木坂46のメンバーで10代だったときは無責任に「大人嫌い」と思うこともあったけど、今は本当に「若かったな。大人の皆さんごめんなさい」と思います。大人になった分、1つ1つを「頑張ったな」で終わらせちゃいけないと思ったときから、どんどんどんどん「このままじゃダメだ」と思うことが増えました。

― より自分に対して厳しくなった?

生駒:それに囚われて悩むことはないんですけど、より厳しくなっています。

生駒里奈、2020年の目標

― そんな2019年でしたが、2020年はどんな年にしたいですか?

生駒:10代のときの”寝れば治る”みたいなことができなくなってきたので、体は資本だし、ちゃんと食べて準備をすることはしっかりやっていかなきゃいけないと思っています。行き当たりばったりとか、一生懸命やったら何かが変わるとか、そういう考えももう終わりにしたいなと。

年齢的にも経験的にも今はがむしゃらにやらなきゃいけないと思っていますが、追い込み過ぎると破裂しそうな気もしてるので、バランスをとっていかないといけないとも思うんです。「苦手を克服すること」が正義!という風潮もあると思うんですけど、そればっかりに囚われないで、苦手なことともうまく付き合っていければいいかなと最近ふと悟りました。なので、自分を大切にしたいし、せっかく1人の女優として活動しているので自分のことも可愛がろうと思いました。そういう意味で自分を大切に過ごしていく一年にしたいです。

生駒里奈の“夢を叶える秘訣”

― 最後にこれまでも聞いている質問なんですが、今の生駒さんの”夢を叶える秘訣”を教えて下さい。

生駒:夢って叶うものだし、私は叶えた夢が多いと思うんですけど、そのためにできなかったことも沢山あります。“天使と悪魔”は存在していて「これをあげるからこれを下さい」の繰り返しだと思うから、夢を叶えるために努力し続けることは何かを犠牲にしてそのためにどれだけ時間を割くことができるかだと思うので、何かを諦めることも“夢を叶える秘訣”だと思います。欲張って何でもかんでもは手に入らないし、欲張って手に入れたものは自分に残らないと思っているので、叶えるために取捨選択することは悪いことじゃないと改めて自分にも言い聞かせています。

― ありがとうございました。

生駒里奈、多忙スケジュールも「憧れていたこと」

生駒里奈 (C)モデルプレス
インタビューを行ったのは、主演舞台『暁のヨナ~烽火の祈り編~』の千秋楽からもまだ日が浅い11月末。多忙ぶりを心配すると、「舞台を次々やるというのは憧れていたことだし、常に自分を高められることをしていたいので、とっても嬉しいです」と笑顔で即答。

舞台と舞台の稽古の合間にはしっかり休みもとれているといい、「アイドルとして過ごしてきた日常とは自由度が違うので、舞台を観に行ったり、自分への投資ができるようになったことが嬉しいです」と話す充実した表情からは、芝居にかける愛情の強さが伝わってきた。

※プライベートや最新の美容・ファッションについても聞いた後編を後日配信予定!

(modelpress編集部)


少年社中・東映プロデュース『モマの火星探検記』公演情報

東京公演:2020年1月7日(火)~1月20日(月)サンシャイン劇場
愛知公演:2020年2月1日(土)~2月2日(日)岡崎市民会館 あおいホール
大阪公演:2020年2月7日(金)~2月11日(火・祝)サンケイホールブリーゼ
福岡公演:2020年2月15日(土)~2月16日(日)福岡市民会館

原作:毛利 衛「モマの火星探検記」(講談社)
脚色・演出:毛利亘宏

出演:
井俣太良 大竹えり 田邉幸太郎 堀池直毅 廿浦裕介 加藤良子
長谷川太郎 杉山未央 内山智絵 竹内尚文 川本裕之

矢崎 広 / 生駒里奈

諸星翔希 松村龍之介 山崎大輝 伊藤昌弘
鎌苅健太 赤澤 燈 鈴木勝吾 / 小須田康人

公演特設サイト=http://www.shachu.com/moma2020/

生駒里奈(いこま・りな)プロフィール

生年月日:1995年12月29日/出身地:秋田県/血液型:AB型/星座:やぎ座/身長:153cm

2018年5月に乃木坂46を卒業。乃木坂46ではデビューシングル『ぐるぐるカーテン』から5枚目シングル『君の名は希望』まで連続でセンターを務めるなど、グループの顔として活躍した。卒業後もドラマ、映画、舞台と出演作が絶えない。映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』が12月21日公開。映画『光を追いかけて』(2021年公開)、W主演の舞台『-4D-imetor』(2020年5月/東京・大阪)などへの出演を控える。

スタイリスト:鬼束香奈子
衣装協力:ジャケット、スカート、Tシャツ ともにMIYAO(03-6804-3494)、靴 JeffreyCampbell(03-6434-0335)、アクセサリー e.m.(03-5785-0760)
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