<倖田來未インタビュー>20周年目前の今「自分のことをかっこいいなって思えるようになってきた」
2019.11.13 08:00
views
11月13日の自身の誕生日にニューアルバム「re(CORD)」(読み:リコード)をリリースするアーティストの倖田來未(37)がモデルプレスのインタビューに応じた。今年の12月6日にデビュー20周年を迎える彼女が、今、考えていることとは?
倖田來未、“re”へのこだわりのこだわりと「-re(LIVE)-」を振り返る
― 10月25日に千秋楽を迎えた「KODA KUMI LIVE TOUR 2019-re(LIVE)-」は、「Black Cherry」「JAPONESQUE」の両方とも過去を思い出しつつも進化したライブで、今回のアルバムもですが、“re”へのこだわりを感じました。倖田:これからも自分自身をアップデートして、挑戦し続けなければいけない。でも、そこで過去の自分を切り捨てて、新しく生まれ変わるっていうのは、私には合わないなって思っていて、常にアップデートするけど、それは基盤があるからできる。そんな気がして、“re”というのは、過去を常にリスペクトした上で、アップデートしていくというのをテーマにして、今年は過去のツアーを復刻させました。
― もうすぐデビュー20周年を迎えるわけですが、19年目もご自身の“アップデート”にこだわったんですね。
倖田:そうですね。20周年が始まったら新しいことをやっていかなきゃと思っているから、20周年を迎える前に、過去の自分をリスペクトしたいと思いました。もしかしたら倖田來未のためだったのかもしれませんが、今年はやっぱり大きな挑戦でした。例えば、今まで大きなアリーナでやっていたツアーをホールでやる。かつ、昔100点満点だと思っていたものを、どうやって200点満点にしようかなと。これが100点中30点だったら、やり直せるけど、元々自分の中で100点だと思っていたから、これをさらに良くするのはすごく大変。でも、過去を超えるのではなく、過去のものはリスペクトし、そのまま表現するけど、ほかのところで差をつけて進化させていく。例えば、「さよならの向う側」では、「KODA KUMI LIVE TOUR 2013 ~JAPONESQUE~」のときはただリフトが上がって、黄色いドレスがひらひらしていただけだったけど、今回はそれにプラスして映像みたいな。そういうプラスアルファで作っていくようにしました。
― 大変と言いつつも、そのアイディアが出てくることに驚かされます。
倖田:アリーナではなく、ホールにしかできない演出があるんですよ。「hands」ではミストを使った演出をしたのですが、アリーナだと演出が全然見えない。そういうのは逆手に取って考えました。
― すごいですね…
倖田:でも、正直どうなるんだろうって思いながらやっていました。
― 不安だったんですか?
倖田:めちゃくちゃ不安でした。ファンのみんなが「擦り切れるくらいDVD観てから行きます」ってインスタにコメントくれるんですよ。それから、演出ももちろんですが、原曲がいいから、崩してもいい曲と崩したらダメな曲があるなって、そのバランスが絶妙でした。
― 私は「Black Cherry」で水中から出てくるのは無理なんじゃないかなと思っていたので、それが再現されていて感動しました!
倖田:私のキングオブライブは「Black Cherry」だったので、やるなら絶対水中から登場したいって言っていて、(ツアーの情報)解禁する2日前にホールの方からOKをもらい、再現しました。もしだめだったら、「Black Cherry」じゃなくて、「Kingdom」になっていたかもしれません。
― そうだったんですね。
倖田:そういうのも含めて、挑戦だったと思います。それに「あの頃のくぅちゃんの方が歌上手かった」って言われるのも悔しいし、ビジュアルも…。やっぱり年齢を重ねると、良くなっていくところと、劣ってしまうところって必ずあるから、ピラティスに通ったり、ヒールで踊るシーンをいつもより多めに使ったり、ボイトレ含めて結構自分自身を追い込んでいました。だって、1日2公演やるから、合計5時間くらいライブやっているんですよ。それが3日連続だったりするので、体力と声が1番心配で、今までにない努力をしました。
倖田來未、12年ぶりシングル連続リリース
― 今回発売されるアルバムに収録されている楽曲は、7月から10月にかけて、シングルで配信リリースしていたものですが、12年前の12週連続シングルリリースを思い出しました。倖田:そのときはミュージックビデオの撮影もあったから、今回は全然大変じゃなかった(笑)。私が普段CDを作るときって、歌詞を書いて、レコーディングをして、それをミックス、マスタリングして。1曲にかかる工程が5つくらいなのですが、それにMVが入ってくると、衣装合わせして、フリリハして、撮影して。そこから編集したりするので、12年前に比べたら、1週間に1曲シングル出すくらい全然でした(笑)
― ファンのみんな驚いたと思いますよ。
倖田:時代が変わって面白いなって思うのは、最後にいつシングル出したんだっけって遡ったら、2年前の「NEVER ENOUGH」という(ライブ)会場とファンクラブ限定のシングルでした。2年もシングルを出していない。しかも配信でした。私もびっくりで、結構盤にこだわってリリースする派のアーティストだったので、そんなに気にしていなかったので、私もついにこういう時代が来たのかって思いました。
― そもそもなぜ今回9曲連続でシングルリリースしようと思ったのでしょうか?
倖田:夏に「a-nation」とかのイベントで事前にみんなに耳にしてもらって、コール&レスポンスしてもらいたかったし、出来たものはどんどん出していけばいいんじゃないのかなというノリで、始まりました。そこからツアーも始まったので、ツアーでも使用していける楽曲も考えました。
倖田來未、「愛のうた」「you」をオマージュしたMVが話題の「again」
― その中でも「again」はすごく染みました。倖田:やっぱり倖田來未の良さってバラードで、昔のままじゃないですけど、歌謡曲が(世間的に)今離れてきていて。私もいろんなジャンルの音楽を聴きますが、やっぱりかっこいいなって思うんですよ。私は「again」の“日本らしい”メロディもすごく良いし、倖田來未らしさが出るので、この曲は絶対入れたいと思いました。
― 「again」のミュージックビデオは「愛のうた」「you」へのオマージュを捧げた内容になっているそうですね。
倖田:「you」は14年くらい前の曲ですが、14年経っているからagainしたいと思っても、できなかったらどうしようと思っていたのですが、再現できたのかなと思いました。画面越しに見て、私自身も「愛のうた」の頃の自分がいるって思いました。本当は進化させようかなと考えていたのですが、気付いたら(「you」と「愛のうた」)っぽい世界観になっていました。
倖田:ありがとうございます。あの頃より、画質もすごくいいし、技術も上がっているから大丈夫かなと思ったのですが(笑)
― 倖田さんらしい名曲が誕生しましたね!
倖田:名曲って歌わないと生きないと思うので、ライブとかで歌って育てていきたいと思います。でも、歌うの難しいんです(笑)。レコーディングでも、もっと感情込めたいとか、今日声に元気がないと思って、3回も撮り直したけど、結局1番最初に歌ったやつにしました。
倖田來未、郷ひろみ「GOLDFINGER ‘99」を初カバー
― 一方で「GOLDFINGER 2019」も倖田さんらしくすごく盛り上がる曲だなと思いました。倖田:めっちゃ苦労しました!もう無理かと思いました(笑)。原曲の印象的なブラスの音をまず無くしたらダメだなって。そういう印象的なフレーズを残しつつ、“ひろみさん”を超えるって難しい~って(笑)いや、越えられないですよ(笑)。でも、女性シンガーが歌っているだけでも印象は違ってくると思いつつ、今っぽいサウンドを途中で入れて、間奏ではダンサーパートを入れて、いろいろ組み合わせて作ってみました。本当にどうなるのか不安だったのですが、ライブではすごく盛り上がっていたので、ホッとしています。
― 郷ひろみさんの「GOLDFINGER ‘99」をリバイバルしたってこと自体にも驚きました。
倖田:「GOLDFINGER ‘99」をカバーできたのって、倖田來未が初めてらしいんです。実は20年くらい断っているという話を聞きました。
倖田:情熱的なメールを送りました。私自身もこの曲と同じように20周年を迎えるってことを。そしたらOKをいただけて、最初は信じられませんでした。
倖田來未、体質改善していた
― ツアーと並行してのレコーディングは大変でしたか?倖田:結構ボイトレにも通って、喉を潰さないようにしました。自分では納得できない声とかもでちゃったりして、ちょこちょこマネージャーに「いつもの來未さんじゃないですね」って言われました。ピラティスをしたりと今までにない努力をしました。
― 食事面はいかがでしたか?
倖田:今回は本気で頑張って、体質改善しました。夫が糖質オフダイエットをしていて、ストイックな時期は人参やトマトですら、糖が多いからって食べず、でも1週間に1回は爆発デーとしてビールを飲める日を作っていたら、体重と体脂肪がどんどんと落ちていっていました。その姿を見て私は、ストレスを溜めたくないし、リバウンドが怖かったので、お米は抜くけど、お肉やお魚、唐揚げとかは普通に食べて、お米はいらない状態にする食生活を送っていました。でも、お米が食べたいときは食べるという、基本的には糖質を減らすダイエットにして体脂肪率を落としました。
― 体重も落ちたのでしょうか?
倖田:体重はこれまでと変わらず、筋肉量を増やして、体脂肪を減らしました。それだけでも、腹筋の形がめちゃくちゃ変わって。私、いつの頃からか運動するのが嫌になって全然しなくて…(笑)
― それでもキープできていてすごいです!
倖田:家の中では、洗濯や掃除のとき、脂肪燃焼サプリを飲んで動く。リハーサルが始まったときも飲んでいますが、結構汗が出るようになります。だから、代謝がよくなかったのかなと思っています。
倖田來未「すごいアットホーム」ファンの変化を感じる
― そして、来月には20周年を迎えますが、“アーティスト倖田來未”はどのように進化していくのでしょうか?倖田:来年もツアーをやろうと思っているので、またみなさんに楽しんでいただけるものを作っていこうと思っています。
― 20周年目のライブも楽しみにしています。
倖田:私、初めてツアーができるとき、“彼女が彼氏を連れてくる”そういう場所にしたいと思っていたんですよね。それが、家族というカテゴリーになって、観に来る人が増えて、そこからまたグループができて、今は若い子たちがダンスを観に来てくれたりする。そこで「倖田來未いいじゃん!」って思ってもらえるのが、1番だと思いました。今は、本当にファンという大きな家族が増えて、すごいアットホームだなと感じています。
― ライブ会場に行く度に倖田さんのファンは、友達同士だけじゃなくて、カップルや家族が多いなと感じます。
倖田:セクシーなことしたりとか、ステージ上ではやりたい放題なのですが、私は“移動遊園地”というか、連れて来られたお父さんも楽しい、誰が来ても楽しかったねと思ってもらえるショーを目指しているので、コンサートというよりかは、エンターテインメントショーに近いのかなと思っています。でも、コンサートって歌をしっぽり聞かせる場所でもあるので、夢の世界というか、嫌なことを忘れられる、まだ帰りたくないって思ってもらえる空間作りを目標に頑張っていたら、こういう形になっていました。
倖田來未、愛息子の影響を明かす
― 家族で観にくるファンが増えたということで、倖田さん自身も息子さんに影響されたり、息子さんの意見が反映されたりすることもあるのでしょうか?倖田:しますよ!今回で言うと、「Black Cherry」は大好評で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観ているときに「やっぱりCGはこれくらいやった方がいいよ」って7歳の子どもに言われるんですよ(笑)。「これ、ハリウッドだし、お金かけているから」なんて会話をしていると、今の子だからCGを観てこの映像が面白いとか、参考になることもあります。それに「IS THIS TRAP?」を3歳のときに縦ノリしていたんですよ。その後、ファンの間でも「IS THIS TRAP?」がバズったので、うちの息子はファンの子に近い感覚を持っているのかなって。今回のアルバムに収録されている「Eh Yo」も1回聴いたら口ずさんでいたので、「この曲どう?」って聞いたり。
― 今回のアルバム「re(CORD)」には1回聴いたら忘れられない曲が多いなと思いました。
倖田:ありがとうございます。「プチョヘンザッ!!!」は絶対ファミリーで踊って欲しいなと思っています。もちろん、倖田來未というカテゴライズがされている中で選曲しているのですが、かっこいいの中にも“キャッチー”なフレーズを忘れないようにしています。
倖田來未、20周年を迎える心境は?
― 20周年を迎えるにあたって、気持ち的にプレッシャーを感じることはあるのでしょうか?倖田:具体的にやりたいことは決まってないのですが(笑)、こうやってみんなで楽しく話していると、いろいろとアイディアが出てくるので、このまま上手くいくんじゃないのかなと思っています。逆に不安なことはないかな。安心感があって、来年もきっと笑っているんだろうなっていう気がしますね。
― もう20年だったんだと思ったのですが、倖田さんもこれまでを振り返ったりしましたか?
倖田:本当は20周年で復刻ライブをすると思っていたんです。それを19年でやってしまいました(笑)。でも年々、良い意味で「私、倖田來未ってかっこいいな」って思えるようになってきました。人前で肯定すると、「自分のことすごいって言っている」とか、「お前みたいなもんが」って思われるのが嫌だったのですが、今は胸を張って「倖田來未ってかっこいい、なにが悪いの?」って言える自分がいて。そういう意味でも、昔より自分らしくいられている気がします。
― 自分のことを肯定できるようになったきっかけがあったのでしょうか?
倖田:やっぱり結婚したことかな。旦那さんが褒めてくれるんですよ(笑)。すごくリスペクトしてくれて、そういう意味で、なにかあったときこの人が守ってくれるんじゃないのかなって。昔はそれが自分の両親とかでしたが、自分に家族ができて、近くに肯定してくれる存在が増えた。そういうことが1つの大きな要因なんじゃないのかなって思っています。もう結婚して8年になるんですよ。子どもだって7歳だし、びっくりでしょ(笑)
倖田來未、第2の倖田來未を輩出!?
― ほか、なにかやってみたいことはありますか?倖田:第2の倖田來未を出すこと(笑)。でも私、本当は講義がしたいと思っているんです。スタッフにも、デビューする前の子、デビューして4~5年頑張っているけど、なかなか伸びない子たちに。幸せなことに、私のことを尊敬してくれている後輩アーティストがいてLIVEにも遊びにきてくれるんですよ。本番後に楽屋に遊びに来てくれて、話していると、話を聞いている周りのスタッフさんにプロデュースしてみたらどうですか?と言っていただけるのですが、私はやっぱり倖田來未が1番好きだから。例えば、アイディアが浮かんだら、自分のライブでやりたくなりそうで(笑)。あとは、人の人生を動かすのは怖いなって。具体的なことは決まっていませんが、そういうことも考えてみたいと思いました。そう思うとマネージャーってすごい仕事だなって思います。
倖田來未、夢を叶える秘訣を語る
― 最後に毎回お聞きしているのですが、夢を追いかけているモデルプレス読者に向けて、夢を叶える秘訣を教えてください。ちなみに、いつも倖田さんは「努力」と語ってくれています。倖田:努力はもちろん大事ですが、今の私が伝えるならやっぱり人生楽しむこと。私は嫌なことがあっても悪循環にならないようスイッチを切り替えるようにしています。ミスした人に次会ったとき笑顔で接したいけど、ミスを言わないのもよくならないと思います。自分がこうしてほしかったとかもそうですが、“今できるなら、次も絶対やろう”という切り替えが大事なんじゃないのかなって思います。だから全てに通ずるのは笑いながら、楽しみながらやれば、失敗も怖くないと思います。
― 楽しむと努力は一緒のもの?
倖田:そんな気がします。「今日はしんどい~」って熱を計っても全然ない日ってあるじゃないですか。やっぱり病は気からと言う通り、気持ちをどんだけ楽しい方向に持っていくかだと思います。努力を努力と思わないことで、気持ちも老けないんだと思います。そうすれば、諦めることなく、夢を掴むことができると思います。
― でも、人生どうしても挫折しそうになるときがあると思います。その場合、倖田さんはどう乗り越えたのでしょうか?
倖田:そのときは誰かが必ず側にいてくれました。今は家に家族がいますからね。そうやってボキッと折れそうになったときは、誰かに頼って癒してもらう。彼氏とかでもいいと思います。私も辛いとき支えてくれた彼氏がいました。“人”はやっぱり誰かに支えてもらわないと、立てないと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
倖田來未のニューアルバム「re(CORD)」
11月13日発売}アルバムの収録楽曲は、グローバルトレンドを掴みつつも、オリジナリティを深めた内容に。
ともに世に出て20周年目を迎える「GOLDFINGER ’99」をラテンチックにアレンジした「GOLDFINGER 2019」、自身の代表曲「CHANCES ALL」をセルフサンプリングした「Rich & Famous feat. Sean Paul」、一斉を風靡した「愛のうた」「you」へのオマージュを捧げたMVが魅力の新たなるラヴバラード「again」など、計14曲が収録されている。
【収録楽曲】
01 DO ME
02 GET NAKED
03 STRIP
04 k,
05 Rich & Famous feat. Sean Paul
06 again
07 Merry Go Round
08 Eh Yo -re(CORD)edit-
09 GOLDFINGER 2019
10 プチョヘンザッ!!!
11 Summer Time
12 OMG
13 SHUTOUT
14 Livin’La Vida Loca
倖田來未(こうだくみ)プロフィール
京都府出身。2000年「TAKE BACK」にてデビュー。以後数々のヒット曲を生み、ベストアルバムのダブルミリオンセールス、2度の東京ドーム公演、海外公演も開催するなど数多くの実績を残す。特にライブでの圧倒的な歌唱力、ダンスパフォーマンスは国内外から「Queen of live」と高い評価を得ている。自身の活動だけではなく国内外のアーティストとコラボレーションを積極的に行う中、写真集やフォトエッセイ等、アーティスト活動のみならずファッションアイコンとしても幅広い活動を行っている。今年2019年は、2007年と2013年に開催されたツアーの復刻全国ホールツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2019 re(LIVE)』を開催。7月から10月にかけてシングル9作品を配信リリースした。
【Not Sponsored 記事】