紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

紗羅マリー“今”映画初出演を決めたキッカケ語る 体に異変も?<「ニワトリ★スター」インタビュー>

2018.03.11 12:00

モデルの紗羅マリーが、映画『ニワトリ★スター』(3月17日公開)でスクリーンデビューを果たす。映画初出演にして、シングルマザーとして夜の仕事をし、覚醒剤に手を出してしまうヒロインという難しい役に挑戦した紗羅マリー。インタビューでは、映画出演を決めたきっかけや、撮影中のことについて語った。

  
同作は、くたびれた大麻の売人・草太(井浦新)、全身タトゥーで赤髪モヒカンの若者・楽人役(成田凌)が、東京の片隅にある奇妙なアパートで共同生活を送りながらも次第に予測不能な事態に巻き込まれていくバイオレンス・ラブ・ファンタジー。紗羅マリー演じる知花月海は、楽人と人知れぬ深い縁を持つ。

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
成田凌、紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

紗羅マリー、映画初出演のキッカケ

― かなた狼監督とは以前からお知り合いで、SNS経由で出演オファーが来たそうですね。

はい。SNSで「月海という役を紗羅マリーでやりたいんだけど、どう?」というようなメッセージをいただいて、演技はしたことがないにもかかわらずやりたいと思いました。その後、ストーリーを聞いて、私の日常からかけ離れた世界の話だったので、なおさらやりたいと思いました。

― これまでモデルや歌手として活動してきた紗羅マリーさんが、演技に初挑戦しようと思われたきっかけは?
 
若い頃は演技に関心がまったくなくて、「私は演技に向いていない。モデル一本で行きたい」と事務所に言っていたくらいです。でも子供を産んで、30歳を迎えた頃から、自分のできることに限界を設けていたことがバカらしくなって。知らない世界を見てみたい、もっと可能性を広げたい、と思っていたタイミングでこのお話をいただき、やるしかないと思いました。初めての演技が、体当たりできる役というのも面白そうだなと思いました。

もちろん自分にできるのかという不安や恐怖はありました。でもかなた狼監督なら引っ張ってくれるはず、支えてくれるはず、大丈夫だと思えたんです。

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

紗羅マリー・成田凌・かなた狼監督の3人で…

― 撮影前に行われたワークショップにも参加したと伺いましたが、それは映画とは直接関係ない内容だったとか…。

演技の練習はあまりなかったです。それよりも「目の前にいる人を信頼して、どこまでも自分をさらけ出せる環境」を作り出すことが目的だったような気がします。2時間くらい、成田(凌)くんと手をつないで、お互いの目を見ながら、自分の人生や抱えている傷、汚い部分について、親にも言わないようなことを話しました。月海と楽人は幼馴染の設定ですが、その10数年の年月を埋めるためにも必要な作業だったと思います。

― そこまでさらけ出すことに抵抗はありませんでしたか?

監督と成田くんと私の3人しかいない空間で、やらなければいけない空気でした(笑)。この作品では何も隠してはいけないと思わせられたというか。

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

役に入り込めたワケ

― 撮影が始まって、スムーズに月海の役に入ることはできましたか?監督は最初のシーンから紗羅さんの勘の良さに驚いたとおっしゃっていました。

現場に行くと、既に皆さんが映画の中の人間になっていて、どこまでが現実なのかわからない状況でした。その中でがむしゃらにやっていただけです。また、月海の匂いを決めていたことも役立ちました。その匂いのボディローションをつけると自然と月海になれた気がします。

― どんな香りのボディローションですか?

ドン・キホーテで買ったイヴサンローランのベビードール(のローション)です。まず、シングルマザーで夜の仕事をしている月海はどこで買い物するだろうと想像して、デパートよりは、働いているお店の近くのドン・キホーテかなと。それでドン・キホーテのブランドコーナーに行って、夜の匂いのするベビードールを選びました。値段はそれほど高くないけど、ブランド品だから職場で安くは見られない。実際、昔、新宿や六本木に行くとベビードールをつけている女性がいたんですよ。

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

撮影期間中に驚いたこと

― クランクアップ後は、すぐに役から抜け出せましたか?

私の場合、子育てという日常があるので、現場が終わったら簡単に切り替えできました。撮影が終わってもみんなの関係が切れるわけではなく、また近いうちに集まって飲むんだろうなと想像できたので、あまり淋しい気持ちにはならなかったですね。

― 完成した映画をご覧になった印象は?

「楽ちゃん、こんなに私たちのこと守ってくれていたんだ」という気持ちが大きかったです。もちろん撮影前に台本は読んでいましたが、現場に入ってからは、劇中で楽人が月海とティダに見せないようにしていた世界は私もあまり見ないようにしていたんです。完成した映画で楽人が月海とティダのために頑張っている姿を見て、月海として「ありがとう」と言いたい気持ちになりました。

成田凌、紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
(左)紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
― 今回演技に初挑戦されて、あらためて俳優とはどういう仕事だと感じましたか?

俳優さんたちは魔法使いだなと思いました。撮影中、今までに経験したことのない感覚を何度も味わいました。たとえばある緊迫したシーンの撮影中、涙がどうしても出なくて、監督に「ちょっと休憩しろ」と言われたんですね。それでトイレに行って鏡を見たら、いつもドライアイで瞬きの多い私がずっと瞬きをしていなかったことに気づいたんです。1分半くらい瞬きをしていませんでした。きっとものすごい量のアドレナリンが出ていたのだと思います。

また、撮影期間中に歯の治療に行ったら、びっくりするくらい麻酔が効かなくて「こんなに効かないのは薬物中毒者くらいだ」と歯医者さんに言われました。私は薬物をまったくやっていないのに……。「今、薬物中毒の役をやっているんです」と伝えたら、「そういう体になっていると脳が錯覚しているんだね」と。

このように普段はできないことが現場ではできたり、役に体を乗っ取られたりする経験を俳優は現場ごとにしているのだとしたら、魔法使いのような人種だと思いました。脳の普段使っていない部分をフル稼働させている、ある意味もっとも人間らしい人種なのかもしれません。人間って面白いですよね。もっとこの世界について知りたいと思いました。

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

“女優”紗羅マリーの今後

― 今後はどのような作品に挑戦してみたいですか?

最初の作品が普通じゃないとても刺激的な作品だったので、次も普通ではない面白い作品に出合いたいです。ダークなもの、あるいはすごくコミカルなものもやってみたいですね。

― では最後に、紗羅さんが思う『ニワトリ★スター』の見どころを教えてください。

この作品には、月海と楽人の愛、月海とティダの愛、楽人と草太の愛、草太と家族の愛など、さまざまな形の愛が登場します。そして一つひとつの愛がものすごく強い。観てくださる方たちには、映画からいろんな愛を感じていただけると嬉しいです。予告編だけ観ると、グロテスクで重くて心がえぐられるような印象が脳裏に焼きつくかもしれませんが、映画を最後まで観ていただければ、愛の強さに救われるかもしれません。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

映画『ニワトリ★スター』ポスタービジュアル(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

紗羅マリー(さらまりー)プロフィール

紗羅マリー(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会
生年月日:1986年12月12日
出身地:愛知県
サイズ:T164 W80 W58.5 H85.5
趣味:絵画・音楽
特技:服や小物のリメイク

13歳の時からモデルとして活動を始め、「nicola」や「ViVi」などの女性ファッション誌を中心に活躍。現在は、「SPRiNG」「Gina」「VOGUE」「VOGUE girl」「FRaU」など多くのファッション誌に出演。数々のファッションショーにも出演し、その人気は国内にとどまらず、台湾や香港、北京をはじめとするアジアでのショーやイベントにも出演している。

また、自身の強い想いにより2010年4月7日、1stシングル「Cherry/Gossip」で歌手デビュー。同年7月7日にリリースした2ndシングル「Mirror Mirror feat. COMA-CHI」は『パンテーン』のCM曲として話題となった。

舞台「RENT」(2017)ミュージカル初出演、映画「ニワトリ★スター」(2018年)映画初出演など、女優としても活躍の幅を広げている。

映画「ニワトリ★スター」(3月17日より公開)概要


出演:井浦新、成田凌、紗羅マリー、阿部亮平、LiLiCo、鳥肌 実、津田寛治、奥田瑛二/山田スミ子、海原はるか・かなた、裵・ジョンミョン、ペロンヤス、名倉 央、DAY(Thaitanium)、佐藤太一郎、水橋研二、尚玄、辰巳蒼生、村上新悟、石橋穂乃香、シャック、マグナム弾吉、中澤梓佐

監督・音楽:かなた狼

脚本:いながききよたか、かなた狼

原作:たなか雄一狼「ニワトリ★スター」(宝島社文庫)

主題歌:「碧の空」ナカムラ(モアリズム)

<ストーリー>

東京の片隅にある奇妙なアパートで共同生活を送る草太(井浦新)と楽人(成田凌)は自堕落でそれなりに自由で楽しい日々を送っていたが、楽人が思いを寄せるシングルマザーの月海(紗羅マリー)とともに生きようと願った時、終わりを告げる。ヤクザの魔の手。どうにも抗えないシビアな運命。彼らは次第に予測不能な事態に巻き込まれていく…。
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