<Hey! Say! JUMP山田涼介インタビュー>“どすっぴん”の初挑戦…同世代にライバル意識は?メンバーの活躍をどう思う?“絶対的エース”が明かす今と未来
2017.09.20 07:00
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Hey! Say! JUMPの山田涼介(やまだ・りょうすけ/24)が、モデルプレスのインタビューに応じた。昨年1月に「第39回日本アカデミー賞」新人俳優賞を獲得し、アイドルとしてだけでなく俳優としても確固たる地位を築いている山田が、東野圭吾氏の小説を実写化した映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(9月23日公開)で主演を務める。今作の撮影エピソードや、俳優としての思いを語ってもらった。
目次
ほか尾野真千子、村上虹郎、寛 一 郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、荻原聖人など、勢いのある若手俳優から実力を備えた豪華俳優たちが出演。廣木隆一監督がメガホンをとり、映画を見応えのある物語へと盛り上げていく。
山田涼介が“どすっぴん”!衣装を自宅でも着用する徹底した役づくり
― 今回、山田さんが主演ではありますが、キャスト1人1人にスポットが当たっている印象が伺えました。山田さん自身は、敦也をどのように受け止め、どのように役づくりをしましたか?山田:僕は、敦也が歩んできたバックボーンを頭に置きながら小説を読ませていただきましたが、最終的に敦也は心を入れ替えるので、そこへのアプローチの持って行き方をすごく考えました。でも、実際に現場に立った時には「こうしなきゃ、ああしなきゃ」というのは何も考えずに、虹郎と寛 一 郎、3人の中で生まれる呼吸を大事にしましたね。
犯罪に手を染めるシーンも描かれますが、それはきっと3人にとっての正義。丸光園を守るためにやれることをやってみようという考えで、自分たちなりの正義でああいう行為に走ってしまっただけだと思うので、決して悪いヤツらではないんです。根はすごく良いヤツらで、ただ孤独なだけ。孤独同士の3人が集まっているグループなので「俺たちにしかわからないことがある」というような空気感を出すために、オフの時も3人でいる時間を長くしました。
これは群像劇なので、みんなが主演に見える作品です。そういった意味では、前に出過ぎず、引くということは心がけました。
― 敦也は、山田さんがこれまであまり演じたことのない自然体な役ですが、俳優としてはすでに10年ほどキャリアを重ねていますよね。そんな中で今回の役どころを演じたことについては、どう捉えていますか?
山田:小学生の頃から演技をさせていただいていますが、その頃は正直、与えられた仕事を淡々とこなすという感じで、何も思っていなかったです。きちんとこなせていたのかもわからないですけど、今はとにかく芝居をすることが好きで、自分の中で「演技」というものを占めている割合はすごく大きいです。
この役を通して「芝居はこうやるべきなんだ。これが芝居というものなんだ」と思った瞬間があったので、新たな1ページが開けたような気がしました。
― 敦也のヘアメイクやファッションなどで、インスパイア受けたものはありますか?
山田:衣装に関しては衣装さんが決めてくださったんですけど、持って帰って家で着ていました。敦也はあまり服を持っているタイプじゃないと思うので、毛玉感が欲しかったんです。(敦也が着ているジャケットを指しながら)これも多分、盗んだんでしょう!
― (笑)。
山田:わからないですけどね(笑)。だけど、衣装に“着られている”のが嫌で、馴染み感が欲しいから「借りていいですか?」と言って、1週間くらい家で着ていました。ヘアメイクは特に何もしていないです。
― すごくナチュラルですよね。ほぼ、すっぴんですか?
山田:ほぼじゃないです。“どすっぴん”!僕はもともと髪の毛がぺちゃんこになりやすいので、現場に入るとまずワックスをつけてもらって、それでお終い。ヒゲもそんなに生えるタイプではないので、ヒゲも剃っていないです。
廣木監督が、メイクは嫌いみたいで、僕も作品的に何もしなくていいなと思ったので、廣木監督に伝えたら「俺は絶対何もやらないから」と言われて、「そうなんですね!それなら良かったです」と。でも、そんなの初めての経験なので、ちょっと恥ずかしいですよ。大丈夫かな?って。
「試されている」廣木隆一監督との出会い
― 廣木監督は、自然な空気を大事にする方ですよね。演出に関してはいかがでしたか?山田:自由にやらせてもらえたので演じやすかったですけど、その分僕たちが試されているようで、難しくもありました。だからそういった意味では、廣木監督との戦いだと思いながら演じていましたね。最後に、僕が手紙を読んで涙を流すシーンは、何度もテイクを重ねました。
― 「アドリブをやりたかったら聞かずにどんどん入れていけ」と廣木監督に言われていたともお聞きしました。
山田:おもしろいアドリブというより、現場で自然に生まれるアドリブはありました。ト書きにないリアクションや仕草を、敦也としての感情で入れていました。
― 先程、ご自身の中で演技の割合が占めているというお話がありましたが、お芝居をするのがすごく好きな山田さんにとって、廣木監督と一緒に映画を作るというのはとても幸せな現場だったのではないかと想像します。廣木監督に言われたことや感じたことなど、印象的なエピソードはありますか?
山田:「ああしろ、こうしろ」というのが本当にまったくない方で、オフの時には素の表情を見せてほしい感じだったので、わりとフランクに話していました。だけどオンの時は本当に無口になっちゃうから、どっちが本当の廣木監督なんだろう?と思いました。どちらも廣木監督なんですけど、オンとオフが激しいという印象ですね。
緊張はしませんでしたが、カメラ横に監督がいるという現場が初めてだったので、それはすごく新鮮でしたし、最初は正直、気になりました(笑)。
初共演で感じた西田敏行のすごさ「桁違い」
― 今はSNSの時代ですが、今作のように手紙を題材にした作品についてどう受け止めましたか?山田:僕はすごく好きですね。手紙を書くことも好きですし、もらうことももちろん嬉しいです。僕はどちらかと言うとアナログの人間なので、パソコンも得意じゃないですし、携帯も電話とメールが出来ればOK。この映画をキッカケに手紙を出したり、もらったり、というやり取りが増えてくれたらいいなと思います。
― 今までもらった手紙で、印象的な言葉はありますか?
山田:言葉と言われるとあまり覚えていませんが、ファンの方からもらうファンレターは毎回すごく嬉しいですよ。素直な気持ちを書いてくれますし、おチビちゃんは頑張って絵を描いてくれたり、海外の方が辞書を引いてなのか一生懸命書いてくれたり…僕に対するその人の思いが、字だけで伝わってくるので嬉しいですね。
― 西田敏行さん、村上虹郎さん、寛 一 郎さんとの共演エピソードを教えてください。
山田:虹郎と寛 一 郎は、役のイメージのままです。虹郎は当時19歳でしたけどしっかりしていましたし、男っぽい子。寛 一 郎は人見知りであまり喋らないですが、年下っぽい姿を見せてくれる。寛 一 郎が寝始めるとだいたい虹郎も寝るんですけど、あの2人、口を開けて寝るんですよ(笑)。
― (笑)。
山田:それを僕が起こすっていう(笑)。そういう可愛らしい姿もあったので、3人の関係性は結構素で出来ていたような気がします。西田さんは、めちゃくちゃ温かかったです。一緒にいるだけで安らぐというか、落ち着くんですよね。良い意味で、緊張もまったくしない方でした。
最初はやっぱり、「西田さんだ…」と思って緊張しましたけど、会ってすぐに緊張はほぐれました。こんなに温かい方はなかなか居ないと思います。
― そんな西田さんから吸収されたことはありますか?
山田:オンもオフも自然体でいることです。
― 山田さんは、ご自身が出演しないシーンの撮影日に、西田さんのお芝居を見に行かれたそうですね。
山田:僕は西田さん演じる浪矢さんと直接的な絡みはありませんが、最終的に話が繋がらなきゃいけなかったので、西田さんのお芝居は見ておかないと、と思ったんです。西田さんと成海璃子さんがナミヤ雑貨店の中で2人で会話をするシーンだったんですけど、台本を読んでいない喋り方をするんです。絶妙な間を挟んだり、台本には書いていない、奥さんの名前を呼んだりと、その場で生まれる空気を楽しんでいるんですよ。その空気感がすごく温かて、とても勉強になりました。
― 山田さんが、もし浪矢さんに悩み相談ができるとしたらどんな悩み相談をしますか?
山田:僕は、相談しません(笑)。自分で解決します!でも、浪矢さんではなく西田さんに悩み相談をするとしたら、芝居をする時の表情筋について聞きたいです。僕くらいの年齢からできたのかな?って。画面に映った時の画力というか、画面の支配力というか…もう桁違いですよ。表情ひとつで説得力があるんです。どうやったらできるのか聞きたいです!
― 悩み自体は、自分で解決するタイプですか?
山田:最近はもう、そもそも悩まないです。本当にどうしようもなく迷った時は、同業者には相談せず、違う角度からものを見ている一般の親友とかに相談するかな。後輩に相談されることはあります。
“絶対的エース”山田涼介、Hey! Say! JUMPへの思い
― Hey! Say! JUMPが今年デビュー10周年を迎えて、メンバーがいろいろなドラマや映画に出てご活躍されていますが、山田さんはその中でも最初の頃から“絶対的エース”というポジションで、グループを引っ張っている存在だと思います。今、メンバーそれぞれが活動の場を広げている状況についてはどう感じていますか?山田:今が理想形だと思います。みんながそれぞれドラマや映画、バラエティー、いろいろなところで活躍している姿を見るのはすごく嬉しいですし、僕自身、刺激にもなります。僕だけでなく、みんなが望んでいた理想的な形だなというふうに感じていますね。より活躍の場が広がれば嬉しいことですし、そのためにはもっと努力しなきゃいけないと思っています。
― 山田さんは、同世代の俳優の方に対してライバル意識はありますか?
山田:ないですね。勝ち負けじゃないし、その人それぞれの良さがあると思います。メンバーでいったら、(中島)裕翔には裕翔の良さがあって、裕翔に出来ることで俺が出来ないことなんてたくさんあるし、俺が出来ることで裕翔が出来ないこともたくさんある。それぞれにそれぞれの良さがあるから、その人に合った役が来ると思うので、ライバル意識みたいなものはないです。
― ジャニーズの方々は、純粋に俳優だけをやられている方と比べて俳優としての時間がどうしても少なくなってしまうと思うのですが、そういう部分での焦りや葛藤はありますか?
山田:僕らはいろいろなことをやらせてもらっている中の1つが「俳優」という職業なので、「自分は俳優です!」と胸を張って言うことはできません。そう言うと、僕は俳優1本でやっている方たちに対して失礼に値するかなという気持ちがあるんです。
だけど、この『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で、俳優としてのスタートラインにやっと立てたのかなと思えたので、ここからいろいろな人に嫉妬されるような役者になっていければいいなと感じています。勝ち負けではないけど、すごく演技が上手だと思う人に対して「羨ましいな」「その才能良いな」と思ったりするので、僕も今後そういう存在になれたらいいですね。
夢を叶える秘訣
― 敦也は人を信じることが出来ず、将来に夢を見いだせないという役どころですが、今の若い方は、夢や目標がない方が少なくはないと思います。そんな方たちへ、夢を見つけるためのアドバイスや、夢を叶える秘訣を教えてください。山田:僕の場合は少し特殊ですけど、「○○になりたい」という夢はもうないんです。ここで頑張っていく、というざっくりとした決意のようなものしかないんですが、僕は目標を決めてしまうとそこにしか突っ走らなくなってしまうので、何も考えずにとにかく何事もやってみるのがいいと思います。
そこから太い道が見えたならそっちに行って、違う道が見えたらこっちにも行って…そういう生き方で生きていきたいなと思っています。上手くアドバイスするのは難しいですが、自分が歩んでいった中で何か見つかった時に、「これやってみようかな」って。人生は意外と長いから!大きい失敗をしても、生きている限り何度でもやり直しがきくし、何度でもチャンスはあります。失敗してなんぼです。
― すごく男らしいですね。山田さんは、アイドルの顔と俳優の顔にギャップがあるのが魅力のひとつだと思うのですが、ご自身の中でメリハリをつけているんですか?
山田:言ってしまえば、僕は商品です。たとえばアパレルの仕事をされている方は、マネキンにシーズンごとの流行りものを着せますよね。それと同じで、現場によって常に変わっていかなきゃいけし、自分磨きを怠っちゃいけない。
その分プライベートは、髪の毛ボサボサだし帽子でごまかしちゃうけど(笑)、仕事はプロのメイクさんがいるので、曲調やパフォーマンスに合わせてメイクを変えたりします。それは自分なりのこだわりでもあるし、そっちの方が見ていて楽しいかなと思うんです。ワンパターンの僕よりも、いろいろなパターンの僕を見て欲しいから。
「みんなが見たい山田涼介」よりも「みんなが見たことない山田涼介」を
― これから俳優として、どんな作品に携わりたいですか?月9「カインとアベル」では恋愛模様が絡んだ人間ドラマにも挑戦していましたが、いわゆる “壁ドン”が登場するような王道なラブストーリーは、意外にもまだ出られていないですよね。山田:僕の立場的には出ていてもおかしくないと思うんですけど、オファーが来ないということは、きっと当たり前すぎるからだと思います。殺し屋にしろ、今回の不良っぽい役にしろ、意外な僕が多い。「みんなが見たい山田涼介」よりも、「みんなが見たことない山田涼介」が求められているのかな、と解釈しています。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
2017年9月23日全国ロードショー原作:東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(角川文庫刊)
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
主題歌:山下達郎「REBORN」
出演:山田涼介/村上虹郎、寛 一 郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、萩原聖人、尾野真千子/西田敏行
山田涼介(やまだ・りょうすけ)プロフィール
1993年5月9日生まれ、東京都出身。Hey! Say! JUMPとして2007年に「Ultra Music Power」でメジャーデビュー。2008年には「スクラップ・ティーチャー~教師再生~」(日本テレビ)で連続ドラマ初主演。以後、様々な作品に出演し、2015年3月21日公開の主演映画『暗殺教室』では、「第39回日本アカデミー賞」で「新人俳優賞」を受賞した。今年9月23日に『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、12月1日に『鋼の錬金術師』の公開を控える。
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