“朝の顔”北乃きいが女優として再スタート「変なプライドはなくなった」理由とは…「ZIP!」で変わった心境と生活<モデルプレスインタビュー>
2017.06.10 17:10
女優・北乃きい(きたの・きい/26)がスクリーンに帰ってきた。2014年9月より2年間、日本テレビ系朝の情報番組「ZIP!」の総合司会を務めた彼女は、その間女優活動をセーブ。6月17日公開の『TAP-THE LAST SHOW-』では久々の映画出演を果たす。モデルプレスでは今回、そんな北乃へインタビューを実施し「ZIP!」卒業後の生活や変化、今の思いを聞いた。
目次
2015年公開の映画『先生と迷い猫』に出演して以来、久々の映画出演となる北乃は、才能溢れる若きタップダンサーMAKOTO(清水夏生)の恋人・森華を演じる。
『TAP』出演 緊張感ある現場で刺激
― 久々の映画出演でしたが、撮影現場の様子はどうでしたか?北乃:水谷豊監督をはじめ、キャストの皆さんが本当に大御所の方々ばかりで、毎日とても緊張感がありましたが、とても勉強になりました。やはりお芝居の引き出しを皆さんたくさんお持ちでしたので、私は自分の芝居の引き出しを開ける、というより元々持っていない芝居の仕方を学びました。水谷さんが、テストで私の役を自分で演じて下さるんです。そこで「こういうやり方があるんだ」と発見して…。同じようには出来ませんが、近づけるように頑張って真似をしていました。新しく引き出しを作っていくような現場でしたので、本当にこの映画に携わることが出来て良かったです。
それに映画自体の出来上がりも本当にお腹いっぱいになるくらい盛りだくさんなんです。照明もちょっと暗めでフランス映画のようなかっこいい雰囲気なので、かっこいい映画・おしゃれな映画に出られて嬉しかったです。
役者と司会
― 「ZIP!」卒業後初の映画出演でしたが、役者と司会業ではお互い何か影響したことはありますか?北乃:お芝居とは全く畑が違うのであまり演技に影響はありませんが、芝居を「ZIP!」に活かすことは多かったです。眠くても笑顔とか(笑)。
― なるほど(笑)。
北乃:あとは怖くても我慢すること。生放送中に地震が来て、スタジオの上の機材がすごく揺れたことがありました。その時、私は「落ちてくるかも。怖い」と怯えてしまい、上をずっと見て視聴者のようになってしまったんです。実際に視聴者の方から「北乃きいが怖がっているからこっちまで怖い」といった声もあって、私達は伝えなくてはいけないから、怖くてもそういう顔をしてはダメなのだと気づきました。「なるほど。怖くないふりをしなくてはいけないのだ。感情移入しそうなニュースも“無”で読まないと」と分かったんです。悲しいニュースでも、淡々と読んでいるのは冷たい人間でドライになっているわけではなく、そういう風に演じることが伝えることだと思うので、そういったシーンではお芝居が使えました。
「ZIP!」を通し感じた変化
― 最近「ZIP!」の時とはまた少し雰囲気が変わりましたよね。北乃:年を取っただけです(笑)。25歳から26歳にかけてすごく変わりました。何がどう変わったかはよく分からないのですが、筋肉痛が2日後に来る、徹夜が出来なくなる、疲れが次の日寝ても取れない、寝跡がとれない、ニキビが1ヶ月後まで治らない!信じられないですよね?26歳ってそういうことなんです(笑)。大人を実感することは、もっと違うところだと思っていたのですが、そういうところから感じました。
― (笑)。「ZIP!」では朝の顔として活躍なさっていましたが、WOWOWの『連続ドラマW 社長室の冬-巨大新聞社を獲る男-』ではセクシーで勝気なエリート外資系社員。爽やかな表情とは真逆の“大人の女の魅力”を放っていました。
北乃:そうですね。でも「ZIP!」のイメージを取り除くために、これまでと違う役をやっているわけではありません。むしろ「真逆の役で『ZIP!』のイメージを払拭したい!」と思っていたら、やらなかったと思います。視聴者の方もきっとそう思うだろうから(笑)。確かに私と同年代の方には『ライフ』(フジテレビ系/2007年)などで“女優・北乃きい”を知って頂いていますが、もう少し下の年代になると、私がドラマに出ていたことを知らずに“朝の番組の人”なのだと思います。でもそれでもいいかな、と感じています。そういう役者としてのプライドは良い意味でなくなりました。
― その変化のきっかけには何かありましたか?
北乃:「ZIP!」では色々な作品をゲストの方と一緒に番宣します。自分が出ていないものを一生懸命に宣伝しているうちに、変なプライドはなくなりました。たとえば『TAP』の撮影期間も、他の作品の宣伝をしていたのですから。最初の頃は、自分が出ている作品を宣伝したい、と感じて複雑な気持ちもありましたが、これまでゲストとして行っていた場所が、自分がゲストを迎える場所になった時に変わりました。ゲストに「立ち位置はこちらです」と案内をしたり、CM中にゲストのテンションが落ちないように盛り上げたり…。そうしたことは自分がこれまでして頂いていたことでしたが、正直全く気づきませんでした。でも迎える側に回り経験したことで「CM中にこういう役割をすることも大事だな。なるほど、今までスタッフさんにこれをやって頂いていたのだ」と分かりました。
北乃きいの“顔”とは
― 新たな側面から発見があったのですね。北乃:そうなんです。最近では小さな子に「北乃きいって何をやっている人か知っている?」と聞くと「朝の人でしょ?」「アナウンサーでしょ?」と言われますが、別にそれが嫌ではないです。変なプライドをいまだに持っていたら多分「え?私は女優だけど」となっていたかもしれません(笑)。そもそも司会をする前も、歌手として歌も歌わせて頂きましたし、役者の顔だけではないんです。だから“北乃きい”を「朝の人」と言えば「ZIP!」を見て下さった方なのだ、「女優」と言えばドラマや映画を見てくれた人なのだ、と思います。印象が違うのは当たり前ですよね。
― 見る人によって北乃さんの“顔”が違いますね。
北乃:20代の方からは役者だと思われ、それより下の年代や60代以上の方だと朝の人。世代によって私のイメージや仕事が違うんです。それはそれで私の強みだと思っています。
2年間食べなかったものを…
― ではライフスタイルで「ZIP!」卒業後に1番大きく変わったことは何ですか?北乃:2年間食べなかったニンニク料理を食べられること!役者だと毎日毎日撮影もないし、1作品終わると休みがあるので食べられますけど、「ZIP!」は毎日放送があり、人との距離も近いので食べるものに気を付けていました。あとは寝る時間ですね。夜中の1時や2時まで寝ないで起きていることはありえず、むしろ起床時間だったので、寝ずにその時間まで起きているとちょっとドキドキします。「どうしよう、私寝ないで仕事行くことになる!」と思うのですが「そうだ、もうやってないのだ」って(笑)。変な感覚です。
― 元の生活リズムにはもう慣れましたか?
北乃:一瞬で戻りました(笑)。
※後編に続く。
(modelpress編集部)
TAP-THE LAST SHOW-(6月17日公開)
「相棒」の杉下右京役でおなじみの俳優・水谷豊の監督デビュー作。水谷が40年前から思い描いていた天才タップダンサーが主人公の企画を、自身の初メガホンにより映画化。監督:水谷 豊
出演:水谷 豊、北乃きい、清水夏生、六平直政/前田美波里/岸部一徳
―――舞台の向こう側にある輝く感動を超えた世界。自分のタップダンスなら、観客をもそこに連れて行くことが出来ると思っていた。危険と隣合わせ䛾高所でのタップ。自分も観客も最高潮の瞬間に、その男・渡新二郎(水谷豊)は舞台の床に叩きつけられた。…光の向こうの素晴らしい世界を垣間見て。
それから十数年…足を引きずり、酒におぼれた渡は、天才という名をほしいままにした栄光のダンサーとはかけ離れた生活を送っていた。そんな渡のもとへ、旧知の劇場支配人・毛利から「最後のショーを演出してほしい」という相談を持ちかけられる。
最高の舞台で劇場を締めたいという毛利を前に、渋々引き受ける渡。そんな彼の前に、それぞれが事情をかかえた若手ダンサーたちが集まって来る。
いつしか、自分が垣間見た世界を、若きダンサーたちに託そうと決意する渡。彼の中の止まった時間が、再び動き出す。
北乃きい(きたの・きい)プロフィール
生年月日:1991年3月15日出身地:神奈川県
血液型:O型
身長:158.0cm
趣味・特技:中国語・クラシックバレエ
2005年にティーン誌『Hana*chu→』モデルとしてデビューし、同年『ミスマガジン2005グランプリ』を獲得。2007年に映画初主演となる『幸福な食卓』では『第31回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞し、同年ドラマ『ライフ』(フジテレビ系)の椎葉歩役で、連続ドラマ初主演を務めた。また2010年にはシングル「サクラサク」でCDデビュー。『ハルフウェイ』(2009年)『武士道シックスティーン』(2010年)『上京ものがたり』(2013年)『僕は友達が少ない』(2014年)『ザ・テノール 真実の物語』など話題作に次々と出演。2014年9月~2016年9月まで日本テレビ系「ZIP!」の総合司会を担当した。
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