ミステリアス美少女・橋本愛、恋愛観&芝居への想いを語る モデルプレスインタビュー

2013.01.25 11:02

「このミステリーがすごい!」大賞受賞作の映画化「さよならドビュッシー」(26日公開)で、自身4度目となる映画主演を果たす橋本愛。その唯一無二の存在感と瑞々しい演技で日本映画界の新ヒロインとして注目を集めている彼女だが、クールビューティな美貌も相まってその素顔はなかなか見えてこない。インタビューを通して、謎に包まれた彼女の恋愛観・仕事観に迫った。

  
「自分を重ねることができなかった」役作りの苦労を明かす

― 最初に脚本を呼んだ時の印象はいかがでしたか?

橋本:このお話をもらう前、ちょうどドビュッシーが好きだった時期に本屋で原作を見つけて気になっていたんです。結局その時は読まなかったんですが、こういう形で再会できたので「こんなお話だったんだ」という一読者としての視点で脚本を読みました。原作の帯に書いてあったことも覚えていたので、それはこういうことだったんだ、という発見がありましたね。

― 今回橋本さんが演じる主人公の「遥」という少女は、バックグラウンド的にも複雑な状況を抱え、さらには障害を負っているという難しい役でした。演じる上で苦労した点・意識した点などはありますか?

橋本:この主人公の女の子と同じ境遇の人って、なかなかこの世の中にいないと思うんです。日常ではないし、むしろあってはいけないことだと思うし…その点ですごく特殊だと思いました。だからこそ「遥」の抱く感情はもともと私が知らないものだったり、その感情を抱くまでのルーツが自分にはなかったりしたので、自分を重ねることができなかった。一から自分の中で彼女を産まなきゃいけなかったし、今回はほとんど想像でのお芝居だったのですごくエネルギーを使いました。

― ミステリーの要素が盛り込まれた作品ですが、物語の最後で明かされる大きな仕掛けについてはどう思いましたか?

橋本:なるほどな、って思いましたね。展開がガラっと変わるストーリーは個人的にすごく好きなので、普通に楽しませてもらいました。祖母がミステリー好きで、家にたくさん本があったので、私もよく読んでいました。

― 「遥」はピアニストを目指す少女ということで、劇中にはたくさんの演奏シーンが出てきます。苦労した部分はありますか?

橋本:もともとピアノをやっていたわけではないので、技術的なことはもちろんですが、精神と身体のコントロールも含めてやらなきゃいけないことがすごく多かったんですよね。その分ひとつのことを突き詰めるということよりも、全体のバランスを自分の中で保つことが必要とされていたので、重たかったですね。

橋本愛
17歳・橋本愛が明かす恋愛観とは

― 現役ピアニストでもあり、今回が演技初挑戦となる清塚信也さんとの共演した印象はどうでしたか?

橋本:演じることが好きなのか、ドラマや映画の世界が好きなのかわからないですけど、お芝居も含めてこういうお仕事が好きなんじゃないかなと思いました。すごく楽しそうに演じていましたし、小さい頃から映像作品を見てきたと言っていたので「だからお芝居が上手いんだ!」って納得できました。

― 清塚さんが演じる岬という男性は、ピアノへの情熱が凄まじいですよね。ああいったアーティスティックでストイックな男性には魅力を感じますか?

橋本:出会ったことがないからわからないですけど…。「遥」のようにすごく狭い世界に生きていて、身の回りにいる男性が家族以外にその人しかいなくて、その人が一番自分の魂に近いところに寄り添ってくれたとしたら、好きになるのは必然なのかなと思います。

― ご自身の恋愛観にも共通する部分があるのでしょうか?

橋本:私は経験上、知らない間にふと気づいたら好きになっていたことしかないです。“いいところがあるから好き”っていうより、“好きだからいいところを知っている”っていう感じ。自分はそういう恋愛の仕方だなっていうことは、すごく思います。だからこそ「遥」の気持ちもわかる部分がありますね。

― 外見的なタイプはありますか?

橋本:かっこいいなと思う人はいっぱいいるけど、そこに一貫性があるわけではないです。逆に最初見た時は特別容姿に惹かれることはなくても、中身を知ったらかっこよく見えちゃうということはありますね。恋愛以外でも、人として内面に惹かれた人はみんなかっこよく見えます。

― なるほど。それでは逆に、内面で魅力を感じる部分に一貫性はありますか?

橋本:やっぱり「勘違いしない人」は好きだし、一緒にいて安心します。でも、自分が見ている“自分”と周りが見ている“自分”が一致していて、それが高いところにあれば、たとえナルシストでも別に構わないです。

橋本愛
芝居に対する想いを変化させたある出会い

― 橋本さんは現在、雑誌「Seventeen」でモデルとしても活躍していますが、モデルと女優の切り替えはどうしているんでしょうか?

橋本:静止画と動画ということ以上に、まったくの別物として考えています。類似点がないので、切り替えが大変だと思ったことはないです。見せるものが違うので、それぞれ求められるものに応えている感じですね。

― 今まで共演した中で、影響を受けた女優さんはいますか?

橋本:貫地谷しほりさんや松たか子さん、樹木希林さんですかね。その時は気づかなくても、たとえば松さんと共演させていただいた時を振り返ると「すごいものを近くで見れていたんだなぁ」と改めて思います。「実はやばかったんだなぁ、あれ」っていう出会い方は多いですね。

― 映画そのものや演じること自体、もともとお好きだったんでしょうか?

橋本:最初はどちらも好きじゃなかったです。「好き」っていう感情がないままやっていたので、それがスクリーンから漏れていたというか、バレていたと思います。やっぱりそういうものは滲みでるし、なぜか根拠のない自信があってある意味勘違いしてたのかなと思います。どちらも好きになったのは今年に入ってからですね。そのきっかけとなったのは、ちょうど一年前「桐島、部活やめるってよ」という映画で会ったキャストさんたち。彼らが演技や映画というものに対してものすごい愛情を持っていたので、私もちゃんと好きになった上でやらないと失礼だな、一緒に立てないな、と感じて。そこで逃げることも辞めることもできたけど、自分から「そのステージに行きたい」って思えたのは、その人たちがすごく素敵だったから、好きになる要素がたくさんあったからだと思います。

― 素敵な方たちとの出会いが橋本さんの意識を変えたんですね。

橋本:そうですね。私、前までは家族のためにこの仕事をやっていたんです。自分がやりたいことが全然わからないまま、家族が喜ぶからという理由だけでやっていたけど、やる理由が自分の中にできてからは苦しいとか辛いと思う対象が変わりました。去年は「なんで頑張ってるんだろう」っていう状態が一年間ずっと続いていたけど、今は人のためだけじゃなくて、頑張る理由が自分の中にちゃんとある。すごく極論ですけど、前の私ならもし家族がいなくなるようなことがあったらこの仕事を辞めていたけど、今なら多分辞めないです。改めて、ほんとに好きじゃないとできない仕事だなと感じています。色々な人のお陰でやっと新しい自分が産まれた、という感じで。出てくるまでがちょっと遅かったんですけどね。

橋本愛
「好きな人達に会えたことが一番」

― 劇中の「遥」にはピアノが救いとなっていますが、ご自身の救いになっていることは?

橋本:“好き”っていう感情です。東京にきてもうすぐ一年経ちますけど、私はこっちに友だちもいなかったので、去年はずっと駄々をこねていました。でも一気に、たくさんの素敵な出会いがあったので、すごくよかったなぁと思います。好きな人達に会えたことが一番。今でも東京は好きではないけど、愛情は生きる理由になるし、「ここにいたい」「私には居場所が二つある」って思えるようになりました。

― 今後チャレンジしてみたいことはありますか?

橋本:今まではスクリーンという一枚の壁を通してお客さんと向き合っていただけで、一体になったり、融け合ったりすることをまったくしてこなかった。同じ人間なのに異物だったんだろうなと思います。これからはスクリーンを通して“天然な自分”を届けて、お客さんと融け合いたい。別に親近感を求めているわけではなくて、どこかで共存していることをアピールしたいという気持ちがあります。

― 最後に、この作品の見どころを教えてください。

橋本:観てくださる方によって感じ方や受け止め方が違う物語になっていますし、何かを持って帰ってもらえる映画だと思います。お金を払っても損はしないと思うくらいの作品になっているので、是非映画館に足を運んで欲しいですね。

― ありがとうございました。

彼女が紡ぐ言葉の一つ一つに哲学的な響きを感じ、思わず引きこまれてしまいそうになる。「新しい自分が産まれた」という言葉通り、ふつふつと沸き上がる芝居への情熱が垣間見えた充実のインタビューとなった。未完の大器の予感を感じさせる女優・橋本愛のさらなる成長と進化を楽しみに待ちたい。(モデルプレス)

橋本愛
橋本愛プロフィール

生年月:1996月1月12日
血液型:O型
出身地:熊本県
身長:165cm
趣味:漫画
特技:バドミントン

雑誌「Seventeen」のオーディションでグランプリを獲得後、同誌専属モデルとして活躍。09年「Give and Go」で映画デビュー、10年のヒット映画「告白」で重要な役どころを演じ注目を集めて以降、その高い演技力から主演作が相次いでいる。4月よりNHK「あまちゃん」O.A。春には映画「くちづけ」「俺はまだ本気出してないだけ」の公開が控えている。

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