リリー・ジェームズ、ケネス・ブラナー/LA「プレミアムイベント」より(C)ディズニー【モデルプレス】

「シンデレラ」実写化で“最も重要だったこと”とは?監督が語る制作の裏側 モデルプレスインタビュー

2015.04.17 18:00

ディズニーが贈る実写版映画「シンデレラ」が、4月25日に日本で公開となる。同作は古くから愛され色褪せることのないラブストーリー「シンデレラ」を絢爛豪華な衣裳と美術、そして一流のフィルムメイカー、豪華キャストとコラボレーションし実写映画化。モデルプレスでは、公開に先駆け3月に米ロサンゼルスで行われたプレミアムイベントで現地取材を敢行し、キャスト、監督、スタッフへのインタビューを行った。

  
リリー・ジェームズ、ケネス・ブラナー/LA「プレミアムイベント」より(C)ディズニー【モデルプレス】
ケネス・ブラナー/LA「プレミアムイベント」より(C)ディズニー

豪華絢爛な世界観を映画化

3月13日には全米で公開となり、初登場1位と好スタートを獲得した同作。シンデレラ(エラ)役にリリー・ジェームズ(26)、継母役にケイト・ブランシェット(45)、王子役にリチャード・マッデン(28)、フェアリー・ゴッドマザー役にヘレナ・ボナム=カーター(48)…と豪華キャストが名を連ね、監督は「マイティ・ソー」などを手がけたケネス・ブラナー(54)が務める。

(C)2015 Disney Enterprises,Inc.All Rights Reserved.
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今回は、監督を務めたケネスのインタビューをお届け。1960年12月10日生まれ、イギリス出身のケネスは、監督業はもちろん、俳優、脚本家、プロデューサーとしても活躍。シェイクスピア俳優として有名で「ローレンス・オリヴィエの再来」と呼ばれており、2011年には「マリリン 7日間の恋」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたほか、ゴールデングローブ賞と映画俳優組合賞にもそれぞれノミネートされた。また同年、監督を務めたアクション・アドベンチャー映画「マイティ・ソー」が、世界的ヒットを記録するなど、数々の功績を残している。

監督ケネス・ブラナーにモデルプレスが直撃<SPECIAL INTERVIEW>

ケネス・ブラナー、リリー・ジェームズ/ベルリン国際映画祭より(C)ディズニー
Q.誰もが知る物語を実写化するときの楽しさと難しさを教えてください。

ケネス:人々は(作品に対して)とても個人的な思いを抱いているから、その期待を越えることはチャレンジだと思うよ。でも、彼らはストーリーにとても時間を費やしていたし、ストーリーに敬意を払い耳を傾けていた。そして、そこになにか新しい独自のイマジネーションを持ち込むことを許してくれた。こういったクラッシックな物語は、常に作り直されていて、新しいバージョンではなにか新しいことを言うことができるし、「シンデレラ」にはそれをするだけの十分な素材があるんだ。僕がこの作品をやることになったのを知った人々は、作品に対してとてもパーソナルなものを持っていたから、「ネズミたちが映画の中に出てくるのか?」とか、「ガスはまだ映画に出るのかい?」って聞いてきたよ。だから僕は喜んで彼らに、「ガスは生き残ったよ」って言ったね。

Q.現代に受け入れられる作品にするために心掛けたことは?

ケネス:ナイーブなもの、野暮なものは作らない、と決めていんだけど、実際のところはまったく反対だった。この物語は、中心に強くて力のある女性を置くことで、現代の人々にも受け入れられるものになると感じたんだ。シンデレラは、困難な状況にあっても、自分自身で決断を下し、力をつけていく。僕たちも信じないといけない。シンデレラというキャラクターをどう描くかということが、最も重要なことだった。

だから、彼女の家庭生活を描いて、彼女という人間がどのように形成されたか、そして何に影響を受けているのかを描き出そうということになったんだよ。彼女は様々な不運に遭遇することになるけど、その中でもっとも大きなことは両親を失うことだ。僕たちは、基本的に「人生とはときには辛いものなんだよ」という世界を提供しているんだ。そして、タフな人生に対処する一つの方法は、シニカルになることだ、とね。それを表現するためにも、キャスティングはとても重要だったんだよ。

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Q.シンデレラを演じたリリーの印象を教えてください。

ケネス:リリーには、ちょっととてもおてんばなところがある。彼女はとても意志が固くて、僕らがシンデレラに望むような頑固さがあるんだ。例えば、彼女は馬に鞍なしで乗っているんだ。スタントの人にやらせることもできたんだけど、彼女はそういったことはしなかった。とても意志が固かったね。あと、舞踏会のシーンを撮影していた最初の頃、彼女は風邪をひいていたから、彼女なしで撮影したんだ。そしてある夜、彼女に電話して顔が写らないようにして代役をたてて撮影することを伝えたら、彼女は「それはよくないわ。私は最初から行くようにする。ほかの人があのドレスを着る必要はないわ」って言ったんだ。彼女は完全にあの役を自分のものにしていたよ。

Q.では、ケイト・ブランシェットと仕事をしていかがでしたか?

ケイト:彼女は、僕が関わる前にキャスティングされていたんだけど、それは僕がこの映画をやりたかった理由のひとつだよ。なぜなら、彼女のことをすごく尊敬しているからね。彼女は本当に素晴らしいコラボレーターで、みんなのリーダーだよ。さりげなく、たやすく、誰でも受け入れ、ほかの役者たちに気を遣うという意味において、素晴らしい主演女優だよ。彼女とヘレナ・ボナム・カーターは、リリーに対してものすごく寛大で、ものすごく敬意を払っていた。リリーは、彼女たちを相手にして演じる用意はできていたし、実際引けを取らなかったけど、恐れおののいていたしナーバスになっていたんだ。そんなリリーにケイトは、いろんな工夫をして寄り添っていたよ。

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Q.この作品で一番大変だったことは何ですか?

ケネス:衣装が本当に素晴らしかったんだけど、それらを着るのに少し時間がかかったんだ。だから、撮影時間の調整が必要になったんだよ。舞踏シーンはロジスティックを考えて準備しながらも、あまり機械的にならないように心掛けなければいけなかった。それはとても知的なメカニカル(力学的)なゲームだったんだけど、シンプルなストーリーを語りたいというのと一緒に実現させなければならなかった。だから大きな作品が持つ力学やロジスティックに振り回されないようにした。そしてできるだけ楽しむようにしたけど、やっぱり大変だったね。

Q.映画の見どころのひとつでもある舞踏会のシーンを振り返ってみて、いかがでしたか?

ケネス:撮影は、数週間かかったよ。人々をずっとダンスさせるわけにはいかないから、大半をやったのは約5日間だったけどね。あのシーンでは、500人のエキストラにシャンデリア、オーケストラといったいろんなものが登場するけど、中心になるのは王子とシンデレラの2人の感情なんだ。いろんなことを考えなくてはいけないシーンだったけど、そのことを忘れないでいようと思っていたよ。

Q.シンデレラと王子のロマンスのシーンには、どのような想いが込められているのでしょうか?

ケネス:アニメーションとは違い、僕は彼らを舞踏会の前に会わせたかったんだ。王子をもっと肉付けすることで、なぜ彼女が彼に惹かれるようになるかが分かるようにした。彼女が彼に惹かれる理由を作らなければいけなかったし、彼は彼女の愛に敬意を払わないといけない。それに、彼らが相手が何者か知らない状態で会わせたかったし、できるだけリアリティを与えたかったんだ。そのためにも、2人を撮影前になるべく会わせないようにしたよ。出会いのシーンでは、僕らはカメラを離れた場所に置いていた。リリーとリチャードは相手の言葉を聞く能力に長けていたから、あのシーンを観ている人は2人が出会ったとき電気が走るような感覚に陥るんだ。

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Q.物語では、家族の死がとても丁寧に描かれていますが、その点についても教えてください。

ケネス:人が成長する上で欠かせない事実を、僕らは無視していないと思ったんだよ。愛する家族と一緒にいられることは幸運なことだけど、そういったことを経験するというのは大事なことなんだよ。

Q.映画の中で特にこだわったシーンは?また、どんな点に注目して観てほしいかメッセージをお願いします。

ケネス:僕が強烈にやりたかったのは、真夜中のベルが鳴るところだよ。シンデレラが、あの美しいドレスを着て、アスリートのように走っているところを見たかったんだ。それから、動物たち全部を再び変身させるということ、あひるのギャグもやらないといけないことは分かっていた。それがどういうものになるかは分からなかったけどね。あと、共通して言える基本的なことは、「彼女のキャラクターは(アニメーションと)変えよう。でも、そのほかのものは実写の世界で可能な限りの価値を与えよう」ということ。その点にも注目して観てほしいよ。

― ありがとうございました。

「夢を叶える秘訣」を語る

(左より)ケネス・ブラナー監督、ケイト・ブランシェット、ホリディ・グレンジャー、リリー・ジェームズ、ソフィー・マクシェラ、リチャード・マッデン
ケネスに「夢を叶える秘訣」を聞いてみると、「夢を叶えるのは、それらを追いかけることだ。そして、それに可能性があると信じることだよ」と返ってきた。

「毎日少しだけ将来のために時間を使う。5分だけでもいいから、将来のために使うんだ。そして自分が今いる瞬間を楽しむ。でもそれらを信じて、心に抱き続ける。その2つと熱意があればやれるよ。物事は可能性なんだ。唯一の限界は、想像力だけだよ。それ以外のことはなんとかなるんだ」。

これは、数々の夢を実現してきた彼の確かな言葉だ。ケネスが映画で描き出した豪華絢爛な世界観もまた、作品の持つ可能性とシンデレラというキャラクターの持つ力を信じていたからこそ実現できたもの。「信じること」こそが夢の第一歩であることを、彼はこの映画を通じて伝えている。(modelpress編集部)

実写版「シンデレラ」(2015年4月25日公開)

<ストーリー>
母を病気で、父を事故で失ったエラは、父の後妻である継母とその連れ子のドリゼラとアナスタシアに「灰まみれのエラ」を意味する「シンデレラ」と呼ばれ、召使いのように扱われていた。ある日、耐えきれずに家を飛び出したエラは、森の中で城で働いているという青年キットと出会い、心を通わせる。王子である身分を隠していたキットは、城に帰ると父である国王から政略結婚を勧められるが、森で出会ったエラが忘れられず、彼女を探し出すため国中の未婚女性を招いた舞踏会を計画する。

<スタッフ>
監督:ケネス・ブラナー
製作:サイモン・キンバーグ、アリソン・シェアマー、デビッド・バロン
製作総指揮:ティム・ルイス
<キャスト>
リリー・ジェームズエラ/シンデレラ
ケイト・ブランシェット/まま母(トレメイン夫人)
ヘレナ・ボナム・カーター/フェアリー・ゴッドマザー
リチャード・マッデン王子/キット
【Not Sponsored 記事】

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