「最近どうしたの?なんか優しい」と聞かれた俺が、「お前は練習台」と返した本当のわけ
「誕生日おめでとう」から先が打てない
誕生日のメッセージを作ろうとしても、「誕生日おめでとう」から先が続きませんでした。6年間作ってくれた弁当のこと、部活の迎えに車を出してくれたこと。言いたいことはあるのに、文にすると照れくさくて消してしまっていたのです。
考えてみれば、付き合って1年の彼女にも「了解」か「おつ」しか送ったことがありませんでした。そこで思いついたのが、先に彼女で練習する方法でした。
「雨なのに傘こっちに寄せて、駅まで送ってくれたよね。ありがとう」
打ちながら、これが練習のためだけの文ではないことは分かっていました。ずっと言えずにいたことも、練習という理由があれば送れたのです。
打っては消した、本当の返事
2週間ほど続けたころ、彼女から「最近どうしたの?なんか優しい」と届きました。
「ずっと言いたかった」と打っては消し、結局送ったのは「バレた?」と「お前は練習台」、それに親指を立てたスタンプでした。本当のことを書けば、母への誕生日メッセージのために練習していたことも、彼女に送った文が本気だったことも、まとめて打ち明けることになる。その照れくささに負けたのです。
「練習台って何?」と届いても、「そのうち話す」と送るのがやっと。次の日からはメッセージを「おつ」に戻し、彼女からの返信も「おつかれ」だけになりました。
母が先に送っていたお礼
それから3日後の母の誕生日、長いメッセージを送信。弁当のこと、迎えのこと、最後に「ありがとう」。追伸には「こういうこと書くの苦手だから、最近は彼女にありがとうって送って練習してた」と書き添えました。
母からの返事は2通で、「泣かせないでよ」と「彼女さんにもお礼送っといたよ」でした。どう送ったのか聞く前に、彼女から「お母さんから連絡きたよ」と届きました。
慌てて「え、マジか」、続けて「練習台って言い方、ごめん」と送りました。練習台と呼んでおいて、本番の相手を彼女に明かしたのは、結局母のほうでした。
そして...
次に届いたのは「私への本番は、いつ?」でした。
すぐに開いたものの、返事は何度も打ち直しました。練習台と呼んだ文は、全部本番のつもりだった。そう打っては、また消す。そのまま送る度胸は、まだありませんでした。
送れたのは「次に会う日、ちゃんと口で言う」だけで、スタンプは付けずにおきました。
送信してから、玄関に置いたままだった段ボールを畳み、野菜の隙間にあったメモを冷蔵庫の扉に貼りました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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