「息子とは別れてほしいの」夫のいない台所で義母が突然そう言った→帰りの車で、夫が口にした思いがけない一言
「いいから座ってて」と皿を取り上げる義母
お盆も年末年始も、過ごすのは決まってこちらの家。新幹線で4時間かかる私の実家には、結婚してから一度も帰っていません。早めに着いて台所に立ち、最後の皿を拭き終えるまで席に戻らない。それが、この家に馴染むための私なりのやり方でした。
ところが最近の義母は、私がスポンジを手に取るたびに皿を取り上げます。
「いいから座ってて」
そう言って、背中を向けて洗い物を続けるのです。手伝いさえ断られるほど嫌われたのか。帰り道でそう考える日が増えていきました。
その日の食卓で、義母が煮物を取り分けながら言いました。
「お正月は、たまにはご実家に帰ったら?」
もう来なくていいと言われた気がして、笑顔を作りました。
「私はもうこっちの家の人間ですから」
義母は菜箸を置き、隣で黙って味噌汁をすすっていた夫を、じっと見ていました。私のことで、息子に何か言いたいのだろうと思いました。
2人きりの台所で告げられた言葉
食後、夫が義母に頼まれた醤油を買いに出ると、台所には義母と2人きりになりました。その日に限って、義母は皿を取り上げようとしません。
蛇口の水音の中で、義母が手元の布巾に目を落としたまま言いました。
「息子とは別れてほしいの」
泡のついた皿を持ったまま、水だけが流れ続けていました。聞き返そうとして、先に出たのは別の言葉です。
「私、何か至らないことがありましたか」
「あなたのためよ。考えておいてね」
理由を聞く前に、玄関の戸が開いて夫が戻ってくる音。義母はいつもどおりの顔で醤油の袋を受け取り、残りの皿は私がすすぎ終えました。
帰りの車で、夫が口にした一言
帰りの車の中で、台所でのことを夫に話しました。3年通い続けた結果が、あの言葉なのか。そう口にすると、自分でも分かるほど早口になっていました。
夫はしばらくウインカーの音だけを鳴らしてから、前を見たまま言いました。
「怒られてるのは、俺のほうなんだよ」
何のことか分からず聞き返しても、夫は「母さんから電話があってさ」と言ったきり、ハンドルを握り直しました。
「じゃあ、どうして私に別れてなんて言うの」
そう聞いても、夫は黙ったまま、信号が変わるのを待っていました。続きを待つうちに車は高速に乗り、その先の言葉は聞けないままになりました。
取り上げられた皿も、夫に向けられた視線も。冷たいと思っていた態度の裏に、私の知らない何かがあるのかもしれない。そう思うと、食卓で聞いた「お正月は、たまにはご実家に帰ったら?」が、違う響きで耳に残りました。
そして...
家に着いてから、義母に送るメッセージを何度も打ち直しました。謝るのもお礼を言うのも違う気がして、残ったのは短いメッセージです。
「お正月は、先に実家へ顔を出してから伺ってもいいですか」
返信はすぐに届きました。
「もちろんよ。ゆっくりしてらっしゃい」
隣に座った夫が「次は俺が洗うから」と言いました。手帳の年末のページには、3年ぶりに「実家」と書き込みました。
それでも、義母がなぜ「別れてほしい」とまで言ったのか。その理由は、まだ聞けずにいました。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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