「132ヶ月」と即答したが、結婚記念日を月で数え続けてきた理由
口から出た、いつもの数え方
食事が落ち着いたころ、妻が聞きました。「何回目の記念日か覚えてる?」もちろん覚えていました。ただ、俺の中では「11年」より先に、いつもの数字が浮かびました。
「132ヶ月」考える前に答えていました。
妻は少し黙ったあと、「なんで月なの?」と聞きました。
そこで説明すればよかったのだと思います。けれど、10年以上1人で続けていたことを急に言葉にするのが照れくさく、その場ではうまく答えられませんでした。妻の表情が変わるのを見て、ようやく自分の答えがふざけて聞こえたのだと気づきました。
数え始めたきっかけ
きっかけは、結婚1年目の喧嘩でした。互いに言いすぎて、妻は荷物を持って実家へ帰りました。戻ってきたのは1週間ほどたってからです。そのとき初めて、結婚したからといって、1年後も同じように一緒にいることが決まっているわけではないのだと思いました。
妻が戻ったあと、手帳を開きました。結婚して1ヶ月たった日を「1」として、そこからその月までを数え直しました。次の月には、その続きの数字を書きました。その次の月も同じです。続いた1ヶ月を1つずつ残しておきたいと思い、それから毎月、同じ日に数字を書くようになりました。
結婚11年の記念日は、その数字が132になる日でした。
妻に言わなかった理由
妻には、数えていることを話していませんでした。最初は、わざわざ言うほどのことではないと思っていました。続けるうちに、今さら説明するのも恥ずかしくなりました。
それに、理由を話せば、結婚1年目の喧嘩まで持ち出すことになります。昔の嫌な出来事を、記念日にわざわざ思い出させたくないとも考えていました。
けれど、妻から、「真剣に考えてないでしょ」と言われて、それまで何も説明しなかった結果がこれなのだと分かりました。言葉で説明する代わりに、俺は席を立ち、寝室にしまっていた箱を持ってきました。
箱から手帳を出し、最初の数字から順番に見せました。「1ヶ月ずつ数えたかったんだ」妻は黙ってページを見ています。
「あれから、1年先まで一緒にいるのを当たり前だと思わないようにした」ようやく、そこまで話しました。俺にとってはずっと大切な数字でした。
でも妻に何も伝えていなければ、ただ変わった答えにしか聞こえません。「そんなの、言ってよ」妻にそう言われました。その通りだと思いました。「言わないで続けることに意味があるみたいに、勝手に思ってた」そう答えました。
そして...
帰りに買っていた花束も、そのときようやく渡しました。
妻は次の月の欄を開き、「133は、私も書くから」と言いました。
それまで手帳は寝室の奥にしまっていましたが、今は居間の棚に置いてあります。次の数字を書く日になると、妻のほうから手帳を出してくることもあります。
1ヶ月ずつ大事にしたいという気持ちは、今も変わっていません。ただ、1人で数字を増やすより、その意味を妻と話せることのほうが大切だったのだと、今は思っています。
(30代男性・メーカー勤務)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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