「私がいちばん盛れてるから」と写真を選ぶ友人のSNSで、顔を隠されていた私
写真を選ぶ基準はいつも
友人とは学生時代からの付き合いで、月に1度カフェを巡るのが恒例でした。彼女は席につくと、料理に手をつける前にまず何十枚も写真を撮ります。角度を変え、髪を直し、撮り直しは料理が冷めても続きました。
その日も撮影を終えた彼女は、画面をスクロールしながら言いました。
「この写真にしよ。私がいちばん盛れてるから。」
のぞき込むと、確かに彼女は気に入った角度で写っています。ただ、隣の私は目をつぶっていました。
スタンプで隠された私
「私、目つぶってるんだけど」
そう伝えると、彼女は画面を見たまま答えました。
「スタンプで隠しとくね」
帰宅してSNSを開くと、投稿はすでに上がっていました。彼女の言葉どおり、私の顔には笑ったマークのスタンプが重ねられています。コメント欄には、彼女の写りをほめる言葉が並んでいました。
消してほしいとメッセージを書きかけましたが、やめました。文章にすると、責める言い方ばかり浮かんだからです。
その夜、アルバムに残った写真を開くと、私が目をつぶっていない写真も何枚かありました。それでも彼女が選んだのは、自分が一番よく写っている1枚でした。
次に会った日に伝えた言葉
数日後、同じカフェで彼女と向かい合いました。
注文を終えてから、私は考えてきたことを伝えました。
「写真って、写ってる全員のものだと思うよ」
彼女は私の顔を見ました。
言い返されることも考えていましたが、少し間を置いて返ってきたのは謝罪でした。
「ごめん。載せる前に、ちゃんと聞くべきだった」
私が嫌だったのは、顔をスタンプで隠されたことだけではありません。私がどう写っているかを気にしないまま、投稿する写真を決められていたことでした。
彼女はその場で最初の投稿を削除しました。それからアルバムを開き、「どれなら大丈夫?」と私に画面を見せました。2人で選んだ写真が、その日のうちに投稿されました。
そして...
あれから、彼女は投稿する前に必ず画面をこちらへ向けてくれるようになりました。
「これで大丈夫?」
そう聞かれて、2人で写真を選ぶことも増えています。
私のアルバムには、以前より自然に笑っている2人の写真が増えました。あの日の、私だけ目をつぶっている写真も消してはいません。
見るたびに、写真に残るのは写りだけではなく、そのとき一緒にいた人との時間なのだと思います。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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