「たかが本でそこまで言う?」借りた小説に線とメモを書いた私へ届いた、友人から最後の連絡
書き込みながら読む癖
受験期からの癖で、私は読めない漢字にフリガナを振り、気に入った箇所に線を引きながら本を読みます。私の本棚に並ぶ本は、どれも書き込みや線だらけです。「話題になってたあの小説、私も読んでみたいな」。彼女にそう送ったときも、いつも通りに読むつもりでいました。受け取った本は面白くて、線を引きたい箇所が何度も出てきます。最も濃く引いたのは、終盤の場面でした。読み終えて、「貸してくれてありがとう。じっくり読ませてもらったよ。郵便受けに入れておいたからね」と送りました。感謝のつもりでした。
届いた1枚の写真
その日のうちに、彼女から本のページの写真が届きました。「本に書き込みした?」。責められている、とまでは思いませんでした。「読みながら線を引くのが癖なんだよね」と返し、深く考えずに「気になるなら消せばいいでしょ」と続けます。鉛筆なのだから、消せば元に戻る。本気でそう思っていたのです。けれど次に届いたのは、「借りたものに書き込むのは違うと思う。同じ本を新しく買って返してほしい」という文面でした。
返せなかった返信
「たかが本でそこまで言う?」。打った瞬間は、本音のつもりでした。ただ、送ったあとで彼女のSNSを見返すと、あの本の感想が丁寧に書かれていて、発売日に買ったことも記されています。謝りたい気持ちと、言い返したい気持ちの間で、私は返信を打っては消していました。既読だけがつく日が続いたあと、本の値段とリンク、そして「本の代金を送ってください。これで最後にします」というメッセージが届きました。
そして...
金額を打ち込んで、送金ボタンを押しました。添えられたのは「送った」という言葉だけ。それ以上の文は、どれも言い訳になる気がして書けませんでした。今は自分の本棚の前で、線だらけのページをめくっています。借り物を自分の本と同じように扱い、指摘されても相手が気にしすぎていると決めつけました。彼女との連絡は、送金を最後に途切れました。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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