「焼けすぎて誰かわからなかった笑」彼の前で同級生を笑った私が、写真を消した理由
高校の教室から続くもの
高校で同じ委員になった時から、私は彼を目で追っていました。同じクラスだった彼女は笑い方がきれいで、男子の輪でよく名前の出る人でした。放課後の教室で、彼女の描いた文化祭のポスターを彼が褒めるのを、私は自分の席から聞いていました。卒業してからも、SNSで彼女の近況を確かめる癖が抜けませんでした。同窓会の当日、私は入口が見える席に座りました。
冗談の形をした先制攻撃
入口に彼女が現れた時、真っ先に動いたのは彼の目でした。私はテーブルの下でスマホを構えて、彼女を写真に収めました。あとで、からかいの一言を添えて載せるつもりでした。近況の順番で彼女がプールの監視の話をすると、彼が身を乗り出すのがわかりました。気づけば私はグラスを持って、彼女の席の前に立っていました。「久しぶり」。手を振りながら口にした声は、思ったより大きく響きました。「焼けすぎて誰かわからなかった笑」。笑いながら言ったのは、彼に聞かせるためでした。「仕事で、どうしても焼けちゃって」。彼女の返事は、終わりのほうが聞き取れないくらいでした。「日焼け止めくらい塗ればいいのに」。言い終えた私は、横目で彼の席を確かめていました。
「冗談だって」と引き返すまで
「俺は入ってきた瞬間にわかったよ」。立ち上がった彼が、グラスを彼女の横に置くのが見えました。「夏の間、プールで子どもを見てた腕だろ。俺はかっこいいと思うけど」。周りの空気が入れ替わるのがわかりました。取り繕う言葉を探すうちに、テーブルの話は次へ進んでいました。「冗談だって」。それだけ言って自分の席へ戻る途中、俯いた彼女が袖口を握っているのが目に入りました。文化祭のポスターを褒められて下を向いた、あの放課後の彼女を思い出したのは、その時でした。
そして...
化粧室へ向かう通路で、私はさっき撮ったままだった写真を開きました。日焼けした腕より先に、前を向いた彼女の顔が写っていました。彼が見ていたのも、きっと腕ではなかったのだと思います。からかいの言葉ごと、写真を削除しました。謝りたいのに、「今さら何を」と拒まれるのが怖くて、その言葉はまだ打てていません。深呼吸を1つしてから、私はスマホをかばんへ戻し、席へ戻りました。
(20代女性・事務職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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