「笑いに変えたほうが、楽になるでしょ」私の失恋を飲み会のネタにした友人、帰り道で伝えた、まだ笑えない理由
半年ぶりの集まりで、私は失恋のことをまだ話していませんでした
大学のころからの4人で、半年ぶりに集まりました。交際していた人と別れたのは3か月前です。そのことを話しているのは、この中では友人1人だけ。別れた日の電話で、みっともないところまで全部聞いてもらいました。最後まで切らずにいてくれた相手なので、話したのを後悔したことは一度もありません。
料理がひととおり出そろったころ、別の友人が恋愛の近況を聞きました。私が答えを探している間に、隣で友人が身じろぎしたのがわかりました。
目が合ったのを、私は確認だと受け取りました
そのとき、友人と目が合いました。話していいかの確認だと受け取ったのは、私のほうです。うなずきも首も振らないまま迷っているうちに、話は始まっていました。
「追いかけてる途中で、片方の靴まで脱げたんだよ、この子」
並べられたのは、私が電話で伝えたとおりの細部でした。改札の手前で呼び止めたこと、走った拍子に片方の靴が脱げたこと、拾って戻ったときにはもう相手がいなかったこと。順番まで同じでした。
「シンデレラじゃん」と別の友人が言って、3人が同時に笑いました。私も、少しおくれて笑いました。おかしかったからではなく、笑わないほうがこの場では目立つからです。
話題が別の人の近況に移ってからも、取り皿に箸を伸ばせずにいました。3か月間抱えてきたことが、短い笑い話として片づけられたように思えたからです。
「笑いに変えたほうが、楽になるでしょ」
解散して、同じ路線の友人と歩き出したところで、私は切り出しました。
「さっきの話、まだ笑えないんだ」
友人は足を止めて、私のほうを向きました。
「ごめん。でも、重くしたくなかったから」
それから、こう続けました。
「笑いに変えたほうが、楽になるでしょ」
責めたいわけではないと伝えたくて言葉を探しましたが、うまく続きませんでした。言い方から、悪気がないことはわかってしまったからです。私はうなずいて、次の角で別々の道へ進みました。
そして...
数日後、友人から「あの話、私がしていい話じゃなかった」と連絡が届きました。私は「ありがとう」とだけ返しました。
つらかったのは笑われたことではなく、もう笑っていい話だと私より先に決められたことでした。
あの日に履いていた靴は、片方だけかかとが削れたまま、まだ玄関に置いてあります。手放すかどうかは、もう少し先の私が決めます。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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