講義に出ていない私が友人に丸ごと頼んだ日、返ってきたのは1つの質問でした
講義と重なる時間に、私はシフトを入れました
同じ必修を取っている友人は、毎回その教室にいました。前期が始まってすぐ、私はこの講義と重なる時間にバイトのシフトを入れました。抜けると人が足りなくなると言われ、断らないまま続けてしまいました。休んだ回のレジュメは手元にありません。次に行っても紙が足りず、足りないまま座っているのが重くて、また休みました。前期を通して私があの教室にいたのは、14回のうち3回でした。座ったのはうしろのドアのそばで、終わるとそのまま教室を出ました。
全部と言えば、説明せずに済みました
提出の回が近づいても、私の手元には組み立てる材料がありませんでした。最終回の日、学食で食器を返して席に戻ると、私は向かいの友人に言いました。「プリント全部見せて」。友人は聞き返しました。「全部って、最初の回から?」私はうなずきました。「うん。写真撮るだけだから、すぐ返す」。そのときにはもう、スマホの画面を明るくして、友人のファイルの上へ手を伸ばしていました。回を指定すれば、そこ以外は分かっている前提で話が進みます。ここが抜けていると口にした瞬間から、その前後を聞かれることになります。全部と言ってしまえば、どこから分からないのかを説明しなくて済みました。
答えられなかった質問と、渡された1枚
友人はファイルに手を置いたまま、こう聞きました。「どこが分からないの?」何回目のどこ、と言えるだけの中身を、私は持っていません。ストラップの先をつまんで、友人の手元をながめていました。しばらくして、友人はとじ具を外し、最終回の分だけをこちらへ寄こしました。「今日の分だけ。ここから始めて」。私は「ありがとう」とだけ返して、その1枚を鞄に入れました。あとで開くと、印刷された文の下の余白に、提出の条件が書き足してあり、端に付箋が貼ってありました。その回に座っていた人の紙だと、字を見れば分かります。写真を撮って手に入るのは、印刷された部分だけでした。
そして...
後期のシフトから、この講義と重なる時間を外しました。余白はまだ埋めきれませんが、分からない回の端に付箋を貼るようにしています。教室の前のほうに座っていると、隣に友人が来て、私のものとは色の違う付箋を出します。全部見せてとは、もう言いません。
(20代女性・大学生)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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