式の1週間前に「やっぱり延期したい」と告げた婚約者、母の写真で知った本当の理由
席次表の前で告げられた延期
私たちの結婚式は1週間後に迫っていて、その日は2人で招待客の席次表を仕上げたところでした。向かいに座り直した彼は、私の目を見て「やっぱり延期したい」と言いました。理由を尋ねても、返ってきたのは「理由はまだ言えない。でも、信じてほしい」だけ。式場への連絡も費用のことも全部自分がやるから、と彼は繰り返しました。私は仕上げたばかりの席次表を封筒に戻し、その日は彼と別々の部屋で過ごしました。
コートから出てきた包み紙
翌日から彼は、休みのたびに出かけるようになりました。行き先を聞いても、彼ははっきり答えません。尋ねるたびに返事は短くなり、私は式の話を口にできなくなっていきました。延期の本当の理由と関係があるのか、考えたくない想像ばかりが頭の中で増えていきました。そんなとき、クリーニングに出そうとした彼のコートのポケットから、小さな包み紙が出てきました。私の実家の近くにある、和菓子屋のものでした。あの店を彼に教えたことは、一度もありませんでした。
母のメッセージに添えられていたもの
数日後、母からメッセージが届きました。「内緒にしてと言われていたけれど、あなたには知る権利があると思って」。添えられた写真には、実家の玄関先で深く腰を折る彼の後ろ姿が写っていました。帰宅した彼に写真を見せて、私は尋ねました。「お父さんのところに通ってたの?」。彼はしばらく黙ってから、うなずきました。「お義父さんに心から笑って出席してほしいんだ」。結婚の挨拶の日、父は彼に「まだ君に娘を任せる気にはなれん」と言いました。私が「気にしないで」と笑って流したあの言葉を、彼は1人で抱え続けていたのです。彼が休みのたびにどら焼きを提げて父のもとへ通っていたことも、延期がそのための時間だったことも、私は何も知りませんでした。
そして...
式は3か月後になりました。当日、父は式場の入口で「娘を頼む」と彼に頭を下げました。新居の棚には、式の日に父と彼が並んで撮った写真を飾っています。延期された3か月は、家族が1つ増えるための時間だったのだと、今は思っています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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