タメ口の下書きを毎回消して敬語で送り直していた僕、挨拶のない短い質問が届いた夜、初めて消さずに送った文
2度作られるメッセージ
写真のSNSで彼女と知り合い、やりとりがメッセージ機能に移ってからも、僕の癖は続いていました。最初に浮かんだままの文を打ち、いったん全部消して、敬語で組み立て直す。書き出しは決まって「お忙しい中、ご返信ありがとうございます」でした。予測変換の候補には、僕が消してきた言い回しばかりが並んでいました。彼女の写真の感想を伝えたいだけなのに、送信ボタンを押す前に、失礼な箇所がないか何度も読み返しました。
崩せなかった理由
前に、別のSNSで仲良くなった相手がいました。うれしくなって距離を詰めた僕のメッセージは、ある日を境に開かれなくなりました。「軽い人だと思わなかった」。それが最後に届いた言葉でした。またあの終わり方をするのが怖くて、僕は彼女のくだけた言い回しに気づいても、同じ温度では書けませんでした。拒まれるのが怖いだけの、ただの逃げでした。それでも、やめ方がわかりませんでした。大事にしたい相手ほど、文章は硬く、長くなっていきました。
挨拶のない質問
その画面に、挨拶も前置きもない質問が届きました。「もしかして、私に気を使っていますか?」。開いてすぐ、僕はいつものように言い訳の敬語を打ちかけて、途中でやめました。取り繕った文を送れば、きっと同じことの繰り返しでした。既読だけを先につけて、僕は返事のない画面を彼女に見せ続けていました。書いてはやめてを重ねて、最後に残ったのは、飾りのない本音だけでした。「送る前に、いつも文章を書き直しています。失礼なことを書いてしまったら、このやりとりが終わってしまう気がして」。送信ボタンを押すまでに、ずいぶん長い時間がかかりました。
そして...
少ししてから、彼女の返事が届きました。「敬語、なしにしませんか?」。僕は最初に浮かんだ文を、今度は消さずにそのまま送りました。「今度の写真展、一緒に行かない?」。今も、送る前に文章を読み返す癖は残っています。ただ、消すためではなく、ちゃんと伝わるかを確かめるために読み返しています。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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