友人の結婚報告に「おめでとう」の前の本音を送れなかった私、慌てて消したメッセージを打ち明けた日
祝いの言葉の前に書いたこと
学生時代からの付き合いになる友人から、メッセージが届いたのはその少し前でした。「結婚式の日取りが決まったよ」。私はすぐに返事を打ち始めました。ただ、打ち始めたのはお祝いの言葉ではありませんでした。「実はね、婚約がなくなったの。ごめん、まだ素直におめでとうって打てない」。送った瞬間に、我に返りました。彼女の大事な報告に、自分の話をかぶせようとしている。読まれる前に消さなければ。取り消しを終えてから、私は打ち直しました。「おめでとう。よかったね」。式場を見に行く話まで出ていた相手と別れたのは、そのしばらく前のことでした。
長い下書きと、短い返事
それからの数週間、彼女からは式場の写真や準備の報告が届きました。長い返事を打っては消して、結局、当たり障りのない短い返事だけを送っていました。打ち明ければ、彼女は私の前で式の話をしにくくなる。何より、哀れまれるのが怖かったのです。強がりでも思いやりでもなく、ただの逃げでした。そんなとき、「久しぶりにお茶しない?」と誘いが届きました。断る理由を探して、見つけられませんでした。
カフェラテが冷めるまで
待ち合わせのカフェで彼女の前に座っても、何から話せばいいのか決められずにいました。注文したカフェラテには、口をつけられないままでした。近況の話が途切れたころ、彼女が聞きました。「あのとき取り消したメッセージ、なんて書いてたの」。ごまかしは、思いつきませんでした。少し間を空けて、私は答えました。「婚約ね、なくなったんだ」。口に出すと、それが本当のことなのだと、認めた気がしました。「おめでとうの前に、自分のことばっかり書いてて、読ませたくなくて慌てて消したの」。彼女の手が伸びてきて、私の手に重なりました。「消さなくてよかったのに」。責める色のない声でした。店を出たところで、私はようやく言えました。「今度こそ、ちゃんと言わせて。おめでとう」
そして...
数日して、彼女は招待状を直接渡してくれました。封筒を両手で受け取ると、裏に小さく書き添えられた言葉が目に入りました。あれから、伝えたいことを打ったら、読み返しすぎる前に送るようにしています。消したあのメッセージの代わりになる言葉を、これから少しずつ増やしていくつもりです。
(30代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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