夫の転勤先で、4人のグループチャットだけが私の話し相手だった
引っ越してからの日課
春、夫の転勤が決まり、私は勤めていた会社を辞めて知らない街へ来ました。夫の帰りは遅く、近所に知り合いはいません。歩いて行ける場所は、スーパーと小さな公園くらいでした。
学生時代からの友人4人のグループチャットが、その日にあったことを話せる唯一の場所でした。「今日のお昼はオムライスだった」と写真を送り、テレビの話を書き、みんなへの質問で締める。返事がなくても、吹き出しを並べている間は、誰かと話している気持ちになれたのです。
増えない返事と増える既読
けれど返事は少しずつ減っていきました。子どもが生まれたばかりの友人はスタンプ1つになり、転職したばかりの友人は数日に一度。ある日、友人の1人から「ごめん、バタバタしてて。落ち着いたら返すね」という書き込みが届きました。
既読の3という数字だけが増えて、誰の言葉も続かない画面を、私は何度もスクロールしました。楽しい報告のつもりだった吹き出しが、急に催促の列に見えてきたのです。
送るのをやめた数日後
私は送信をやめました。打ちかけた文面を消して、そのまま画面を閉じる。それだけの日が続きました。レジで交わす一言だけが、その日の会話になる日もありました。数日後、あの書き込みをくれた友人から、個別のメッセージが届きました。
「最近書き込みがないけど、元気にしてる?」
迷惑がられていると思っていた相手からの1通でした。私は洗濯物を取り込んでから、ようやく返事を打ちました。「迷惑になってるって、気づいたの」続けて、胸の内を全部書きました。
「知らない土地で、話し相手はあの画面だけだったの」
送ってから、誰かにこんなことを打ち明けたのは、引っ越して初めてだと気づきました。
そして...
「全部には返せないけど、ちゃんと読んでるよ」という返信のあと、4人は月に一度の通話を約束しました。手帳には、通話の日に話したいことを書き溜めています。今は1日1通だけ、夕飯の写真を送っています。返事がなくても、読んでくれている人がいると知っているからです。
(30代女性・主婦)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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