彼女の「もう別れよう」に、いつも長い引き止めを返してきた俺、今回だけ画面を開かなかった理由
何度目かの「もう別れよう」
その日、俺は「ごめん、週末の約束、仕事になりそう」と送りました。付き合って1年になる彼女から返ってきたのは、「もう別れよう」でした。喧嘩のあとや、返信が少し遅れたとき、彼女はこの言葉を合図のように送ってきます。
俺はそのたびに謝り、長い引き止めの文面を打ち、彼女の機嫌が直るまで通話を続けてきました。でも今回は、通知を開くのをやめました。いつもの謝罪を頭の中で組み立てはじめている自分に気付いて、急に疲れてしまったからです。通知を残したまま、帰り道の信号をいくつもぼんやり見送りました。
引き止めない返事
翌日、そのままにしていたメッセージを開いてから、俺は短い返事を1つだけ送りました。
「別れたくない。ただ、その一言が届くたびに、どう繋ぎ止めるかばかり考えるようになってた」
飾りのない、それだけの文面です。送信してすぐ、画面が彼女からの着信に変わりました。出ると、聞こえてきたのは、いつもの強気な文字からは想像できない、細い声でした。
「本気で言ったことは、一度もないの」
それなら、と俺は聞きました。「じゃあ、どうして送るの」返事はなく、長い間だけが続きました。
電話越しに聞いた理由
長い間の終わりに、彼女は言葉を探しながら話し始めました。
「先にいなくなるふりをすれば、置いていかれずに済む気がしてたの」
俺の「仕事になりそう」に後回しにされたと感じたこと。試すつもりの言葉に俺が黙ったことで、彼女自身が一番怖がっていたと気付いたこと。彼女はそれを順番に打ち明けてくれました。最後に聞こえた謝罪は小さくて、でもはっきりしていました。俺は責める代わりに、お願いを1つ伝えました。
「次は、別れようじゃなくて、不安になってるって送ってほしい」
そして...
数日後、彼女から「不安になってる」と届きました。俺は文字を打たずに、その場で電話をかけました。用件のない、5分ほどの通話でした。2人のチャット画面では、「もう別れよう」があの日を最後に止まったままです。
増えていくのは、そういう短い通話の履歴のほうです。あの言葉は、握り方を間違えた助けの求め方だったのだと、今は分かります。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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